メールマガジン「辺真一のマル秘レポート」(有料)発刊!!

 ブログやホームページでは書けない貴重なニュースをお届けするために メールマガジン「辺真一のマル秘レポート」を2014年1月から毎月2〜3回発刊します。 月額540円、初月は無料ですので以下からご登録をお願いします。

ご登録はこちらから

2018年9月27日(木)

昨年とは180度変わった安倍総理の国連での「北朝鮮関連発言」

安倍総理を前に金正恩委員長の親書を自慢するトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)


 安倍晋三総理の国連演説での北朝鮮関連発言は昨年とは180度異なっていた。一つは北朝鮮に割いた時間と、もう一つはその内容である。

 昨年は「私の討論をただ一点,北朝鮮に関して集中せざるを得ない」と断ったほどで、北朝鮮関連が全体の80%を占めていたが、今年の演説では北朝鮮関連は全体の10%程度と短かった。

 内容面でも昨年とは大違いで、常套句の「圧力」という単語は一切使うことはなかった。

 昨年の演説では北朝鮮を「犯罪集団」、金正恩委員長を「ロケットマン」と扱き下ろし、「北朝鮮を完全に破壊する」と発言したトランプ大統領に連帯し、金委員長を「史上最も確信的な破壊者」「独裁者」と規定し、「全ての選択肢はテーブルの上にある」とする米国の立場への全面的な支持を表明していた。実際、昨年の演説で印象深かった発言を幾つか列挙してみよう。

 「我々が営々続けてきた軍縮の努力を北朝鮮は一笑に付そうとしている。不拡散体制はその史上最も確信的な破壊者によって深刻な打撃を受けようとしている」

 「冷戦が終わって二十有余年,我々はこの間,どこの,どの独裁者に,ここまで放恣にさせたでしょうか。北朝鮮にだけは我々は結果として許してしまった。かつ,これをもたらしたのは,対話の不足では断じてない」

 「我々が思い知ったのは対話が続いた間,北朝鮮は核,ミサイルの開発を諦めるつもりなどまるで持ち合わせていなかったということである。対話とは北朝鮮にとって我々を欺き,時間を稼ぐためむしろ最良の手段だった」

 「対話による問題解決の試みは,一再ならず,無に帰した。なんの成算あって我々は三度,同じ過ちを繰り返そうとするのか。必要なのは対話ではない、圧力だ」

 今年はどうか?

 安倍総理は「昨年この場所から、拉致、核・ミサイルの解決を北朝鮮に強く促し、国連安保理決議の完全な履行を訴えた私は、北朝鮮の変化に最大の関心を抱いている」と冒頭に述べた上で「今や北朝鮮は歴史的好機を掴めるか、否かの岐路にある。手つかずの天然資源と、大きく生産性を伸ばし得る労働力が北朝鮮にはある」と北朝鮮の潜在力を強調し、「拉致、核・ミサイル問題の解決の先に不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す日本の方針は変わらない。私達は北朝鮮がもつ潜在性を解き放つため助力を惜しまない」と北朝鮮にラブコールを送っていた。

 また、懸案の拉致問題の解決に向けて「私も北朝鮮との相互不信の殻を破り、新たなスタートを切って、金正恩委員長と直接向き合う用意がある」と金委員長に対して対話を呼び掛けていた。

 安倍総理は明らかに圧力から対話に舵を切っている。そのことは、河野太郎外相の発言をみても明らかだ。

 河野外相は昨年9月、米コロンビア大学で講演し、北朝鮮の核・ミサイル開発を「これまでにない重大かつ差し迫った脅威」と位置付けた上で、「160カ国以上の国が今一番の世界の脅威である北朝鮮と国交を結んでいるという事実を信じられるだろうか」と疑問を提起し、「今は朝鮮半島の非核化に向けた具体的な行動を促すよう国際社会全体で圧力を最大限強化すべきである」として北朝鮮と外交関係を結んでいる160以上の国々に対し「外交関係・経済関係を断つよう強く要求する」と圧力一辺倒だった。

 安倍総理も河野外相も北朝鮮の弾道ミサイルが立て続けに日本の上空を飛び越えてきたことへの怒りと同時に強固な日米関係を内外にアピールするため強硬に対応せざるを得なかったと言えるが、それにしても随分と様変わりしたものだ。

 北朝鮮が2月に平昌五輪への参加を表明し、韓国の文在寅大統領との南北首脳会談に応じる意向を表明した際には日本政府は「北朝鮮は時間稼ぎしている。北朝鮮の微笑外交に惑わされるな」と露骨に警戒心を露わにし、トランプ大統領までもが金委員長との首脳会談に応じるや「文大統領も、トランプ大統領も北朝鮮に騙されている」と警鐘を鳴らしていたが、今やその面影は微塵もない。

 安倍総理自らが平昌冬季五輪レセプション会場で金永南最高人民会議常任委員長に接触する一方、金委員長との首脳会談に臨む文大統領に「日朝平壌宣言に基づき、国交正常化を目指す考えに変わりはない」との金委員長宛のメッセージを託す一方、トランプ大統領との共同記者会見(4月18日)や日中韓首脳会談(5月9日)では「北朝鮮が正しい道を歩けば、日朝平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算し、国交正常化の道も開かれるだろう」と連呼していた。「経済協力」についても口にしていた。

 金正恩委員長についても「核心的な破壊者、独裁者」から一転「速いスピードで、非常にダイナミックな判断をしている。会った人によると、最終的に一人で判断し、判断に自信を持っているようだ。国際社会の出来事を熟知し、自分の国にどういう問題があるかよく知っているという。問題を解決する必要性について十分に認識している可能性はある」と評価が変っている。

 安倍総理は6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談の直前から「拉致問題は最終的には私と金正恩委員長の間、朝日間で解決しなければならない」(6月7日)と言い出し、米朝首脳会談後には「相互不信という殻を破って一歩踏み出し、解決したい。信頼関係を醸成していきたい」(16日)という言葉を使い始めたが、今回の国連演説でも「北朝鮮との相互不信の殻を破り、新たなスタートを切って、金正恩委員長と直接向き合う用意がある」ことを強調していた。

 金正恩委員長は安倍総理のメッセージを伝えた文大統領に「適切な時期に日本と対話し、関係改善を模索する用意がある」と日朝首脳会談に応じる意向を表明したようだが、「適切な時期」が今年中なのか、来年なのか、二回目の米朝首脳会談の時期同様に関心を払わざるを得ない。



2018年9月21日(金)

「金正恩ソウル訪問」に韓国は歓迎!北朝鮮は反対!の不思議な現象

訪朝した文大統領を街頭で熱烈歓迎する平壌市民(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)


 文在寅大統領の平壌訪問による今年3度目の南北首脳会談(9月18−20日)が終わった。

 韓国側は今回の会談での成果は金正恩委員長が早い時期のソウル訪問を約束したことだとしている。文大統領の平壌訪問随行を拒否し、一回目の「板門店宣言」同様に今回の「平壌宣言」にも批判的な立場の野党第一党の自由韓国党も「金正恩ソウル訪問」の確約を取ったことだけは評価していた。

 首脳会談、首脳外交は相互主義、クロス訪問が原則だ。相手の首脳を招請すれば、今度は答礼訪問するのが基本だ。しかし、南北に限っては一方通行だった。

 韓国からは2000年に金大中大統領が訪朝し、史上初の首脳会談を行った際、北朝鮮のパートナーである金正日総書記は「適切な時期に(韓国を)訪問する」と約束したものの金大中政権下(〜2002年2月)で実現しなかった。盧武鉉大統領が2007年に平壌を訪れたことで二度目の南北首脳会談が実現したものの結局のところ金正日総書記は死去する2011年12月まで韓国を一度も訪問することはなかった。

 本来ならば、文在寅大統領が先に平壌を訪れるのではなく、金正日総書記の後継者である金正恩委員長がソウルを訪問し、首脳会談を行うのが礼儀なのだが、11年ぶりに開かれた今年4月の板門店での首脳会談が、軍事境界線上にある板門店の韓国側エリアで実現したことで「次は韓国の番」として文大統領は北朝鮮側の招請を受け、「今秋の訪朝」を約束したようだ。しかし、6月に今年2回目の首脳会談が今度は文大統領が軍境界線を越え、板門店の北朝鮮側内で行っているのでやはり順番からすれば、今年3度目の首脳会談は金委員長がソウルを訪問して行われるのが筋であった。

 順序は逆になったが、それでも金正恩委員長はソウル訪問を約束したことで、早ければ今年4回目となる首脳会談はソウルで開催されることになる。

 それにしても不思議なことがある。「金正恩訪韓」を韓国側が歓迎しているのに北朝鮮が反対していることだ。文大統領の随行者の一人である文正仁大統領統一外交安保特別補佐官は金委員長のソウル訪問について「金正恩委員長の周囲は誰もがソウル訪問に反対していた。しかし、誰も(金委員長を)引き止めることができなかった」とソウル訪問は「金委員長の独自の決定である」とブリーフィングしていた。

 金委員長の周囲が反対する理由は明かにされてないが、考えられる理由としてはやはり警護の問題が一番のネックなのだろう。身の安全が脅かされる恐れがあることに尽きるようだ。

 金大中大統領も盧武鉉大統領もそして今回の文在寅大統領も街頭パレードが行われ、十数万人の平壌市民に熱烈歓迎されていたが、ソウルでは歓迎一色とはいかないだろう。

 韓国は反共国家である。共産主義、社会主義の標榜は法律で禁じられている。韓国内には「滅共統一」「勝共統一」を叫ぶ反共主義者や反北主義者らはごまんといる。朝鮮戦争の犠牲者や退役軍人、その遺族の中には「復讐心」を抱いている者も相当数いる。北朝鮮に風船ビラを飛ばしている団体にみられるように「打倒金正恩体制」を叫ぶ北朝鮮から逃げてきた脱北者らは3万人以上もいる。その中には元軍人や工作員らもいる。警護上の問題から周囲が反対する理由はわからないわけではない。しかし、北朝鮮の最高指導者が訪韓できない、訪韓しない理由はそれだけではないようだ。

 金正恩委員長の父親の金正日総書記は金大中大統領との首脳会談で「適切な時期」の訪韓を約束したが、実はこの時も韓国側は確約を取るのに随分苦労していた。というのも、金大中大統領が「この次は貴方がソウルを訪問すべきだ」と訪韓を招請したところ、金正日総書記は「私は行けない」と拒んだからだ。

 金大統領が「なぜ(韓国に)来ることができないのか?」と問いただすと「私は現在の職責(国防委員長)のままでは行けない。私が今の職責のままで行けば、我が人民はよく思わない」と、金総書記は韓国側の受け入れ態勢を問題にしたのではなく、国内上の問題を理由に挙げていた。

 金大統領が「貴方が来るべきではないか。今、貴方と私が和解と協力について互いに合意したばかりなのに、貴方が来なければ、誰も和解と協力の政策を信じないだろう。だから、貴方が来るべきだ」と再三説得したもののそれでも金総書記は「私はダメだ。個人の資格ならば、(韓国に)行って、漢拏山にも登ってみたい。金大統領も個人の資格で来るならば、白頭山で4泊5日ぐらい私と一緒に過ごすことができる。しかし、職責を持ったままでは行くのは大変難しい」と首を縦に振らなかった。

 何度促しても突っぱねるので金大統領は最後に「貴方は何度も我が国が東方礼儀之国であることを言っていたが、私は貴方よりも年寄りではないか。年上の者が訪ねてきたのにどうして答礼訪問が出来ないのか?それでは礼儀に反するのでは?」と諭したところ、この言葉に金総書記は「わかりました」とやっと納得し、共同宣言に「適切な時期にソウルを訪問する」との一筆を取り付けることができた。しかし、結局、金総書記は18年間の任期中に一度も訪韓することはなかった。

 韓国詣では▲韓国を国家として正式に認めることになりかねない▲二つの国家の存在を認めれば「全朝鮮人民を代表する国家」としての正統性が問われかねない▲最高指導者としての権威失墜に繋がりかねないなどを憂慮していたのかもしれない。

 父親と異なり金委員長は早ければ「年内にも訪韓する」(文大統領)ようだが、訪韓が実現すれば、南北関係改善に向けた金委員長の決断が本物であることが証明されるだろう。韓国が訪韓を歓迎する理由はこの一点にある。



2018年9月8日(土)

注目すべき軍事パレードでの「金正恩演説」―ICBMは登場するか

北朝鮮のICBM(労働新聞)


 北朝鮮は9月9日に建国記念日を迎える。今年は建国から70周年という節目の年にあたることから「一大慶事」として軍事パレードやマスゲームなどで盛大に祝うようだ。

 前例からすると、前日(8日)に中央報告大会が開かれる。5年前の建国65周年(2013年)の時は4.25文化会館で開かれ、党内序列2位の金永南最高人民会議常任委員長が演説を行った。ちなみに金正恩委員長はひな壇に姿を見せなかった。

 金正日政権下の60周年(2008年)の時には平壌体育館で開催されたが、この時は序列4位だった金英日総理が演壇に立った。最高指導者の金正日総書記は出席しなかったが、金総書記の欠席は、前月(8月)に脳卒中を起こし、療養中であったことが原因で、軍事パレードにも姿を現さなかった。

 今年は70周年であることから軍軍事レードが行われるが、60周年も、65周年もいずれも人民軍正規軍による行進はなく、非正規軍である労農赤衛隊による閲兵式がメインだった。従ってミサイルは登場しなかった。また、60周年の閲兵式では金正日総書記ではなく、金英春国防副委員長(軍総参謀長)が、65周年の時は金正恩委員長ではなく、朴奉柱総理がそれぞれ演説を行ったが、65周年の時は閲兵式の後にピョンヤン群衆示威も同時に行われた。

 前例に従えば、金正恩委員長は中央大会には欠席するかもしれないが、軍事パレードは100%出席するだろう。

 注目は、軍事パレードの式典で金委員長自らが演説するかどうかにある。労働党創建70周年(2015年10月10日)の軍事パレードでは演説を行っていることから今回も自ら演説するものとみられるが、問題はその中身で、特に世界の耳目を集めている非核化について踏み込むかどうかが最大の焦点となるだろう。

 もう一つの注目は軍事パレードの規模である。

 一部では、今年2月に行われた朝鮮人民軍創建70周年並みか、あるいはそれを上回る規模になると言われているが、厳冬の2月に、それも平昌五輪開幕前日に金日成広場で行われた軍創建70周年軍事パレードには軍人が延べ1万3千人、示威には平壌市民5万人が動員されていた。また、兵士の行進では、米韓の特殊部隊に対抗して創設されたばかりの特殊作戦軍(軍団長:金英福中将)が8番目に登場し、韓国メディアの関心を引いていた。

 装甲車や戦車、タンク、長距離砲、多連装ロケットなどがお見えし、最後は戦略軍(司令官:金洛謙大将)の行進で締めていた。ミサイル開発のトリオの一人である張昌河上将(党軍需工業部副部長)が戦略軍部隊を率いていたのが印象的だった。

 パレードには新型の短距離ミサイルの他に中距離弾道ミサイル「北極星2型」、準ICBMの「火星12号」、ICBM級の「火星14号」がそれぞれ6基、そして最後に昨年11月29日に発射に成功したとされる米本土攻撃可能なICBM「火星15」が4基移動式発射台に搭載され、登場していた。

 今回は、正規軍によるパレードになるのか、労農赤衛隊による閲兵式になるのか、また、ICBMが登場するのかどうか、大いに注目されるところだが、それにしても金正恩政権は2012年に発足してから2014年と2016年を除いてほぼ毎年軍事パレードを実施している。中でも2013年は7月27日の朝鮮戦争勝利(休戦協定)60周年と9月9日の建国65周年と、2度も実施していた。

 過去の軍事パレードの特徴を挙げれば、以下のとおりである。

 ▲2012年4月の金日成主席生誕100周年軍事パレードでは金正恩委員長が初めて群衆の前で演説を行い、「軍事技術的優勢はもはや帝国主義者らの独占物ではない。敵が原子爆弾で我々を威嚇攻撃する時代は永遠に過ぎ去った」と豪語し、軍事パレードでは一度も発射実験したことがないICBM級の「KN−08」がお披露目された。

 ▲2013年7月の朝鮮戦争勝利60周年軍事パレードでは金委員長の演説はなく、当時、軍総政治局長だった崔龍海政治局常務委員が祝賀演説を行い、陸海空の部隊によるパレードでは「放射能」標識のリュックを持った歩兵部隊が登場し、話題をさらった。

 ▲2013年9月の朴奉柱総理が演説を行った建国65周年軍事パレードは陸海空の正規部隊は動員されず、労農赤衛隊を中心とした予備役らによる閲兵式となった。

 ▲2015年10月の労働党創建70周年軍事パレードは金正恩委員長が25分にわたり演説を行い、約2万人以上の軍人と一般群衆10万人が動員され、午後3時から始まったパレードは終了するまで3時間にわたって実況中継された。パレードでは無人飛行機が初めて登場し、「KN−08」の改良型である「KN−14」もお披露目された。

 ▲2017年4月の朝鮮人民革命軍創建85周年軍事パレードでは金正恩委員長は出席したものの演説はせず、2013年7月の時と同様に崔龍海・政治局常務委員が行った。約2時間50分にわたって行われたパレードではこの年の3月に発射され、日本の排他的経済水域に3発着弾した「スカッドER」のほかSLBMを地上型に改良した「北極星2型」やキャニスター(収納筒)に収められた新型中長距離弾道ミサイル「火星12号」や「火星14号」などが次々と登場した。何度も発射しては失敗を繰り返していた中距離弾道ミサイル「ムスダン」や「KN-08」の改良型と推定される長距離弾道ミサイルも登場した。



Designed by CSS.Design Sample