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北朝鮮と日本人 金正恩体制とどう向き合うか

アントニオ猪木と辺真一の対談




2016年5月22日(日)

金正恩委員長はトランプ大統領誕生を待望!?

 共和党大統領候補の指名が確実となったドナルド・トランプ氏は5月17日(米東部時間)、英ロイター通信とのインタビューで、金正恩委員長について「対話することに何ら問題はない」と大統領に当選したら核問題で話し合う用意があることを示唆した。

 それでも、その後、米国のMSNBC放送とのインタビュ―(5月20日)では「北朝鮮には行く気はない」とも語っている。「訪朝しなくても対話できる」とのことだが、ならば、対話の場所は米国、もしくは第三国となるが、トランプ氏が金委員長の訪米を招請しない限り、米国での対話は不可能である。

 このトランプ氏の発言を北朝鮮の政治局員である楊亨變最高人民会議常任副委員長は「誰が大統領になろうと関心はないが、(トランプ氏の発言は)悪くはない」と歓迎の意向を表明していた。

 トランプ候補は金委員長をこれまで「狂人」扱いし、核とミサイル開発を止めない北朝鮮に対しては軍事力行使も辞さないと強硬な発言を繰り返してきた。実際に共和党予備選でも「今日の世の中で核兵器が最も大きな脅威」としながら、「この人物(金正恩氏)が突き進むのを放っておいてはならない」と、こぶしを振り上げ支持者に訴えたばかりだ。

 昨年8月にアラバマ州バーミンガムのラジオ放送WAPIの「The Matt Murphy Show」に出演した際には金委員長について「頭がおかしいか、そうでなければ天才」と「人物評」をしていたが、金委員長との対話の可能性に言及したのは後にも先にもこれが初めてのことである。

 好戦的な発言から一転対話重視のこのトランプ発言を北朝鮮は当然、歓迎するだろう。その理由は、米朝首脳会談は金日成時代からの北朝鮮の悲願であるからだ。米朝首脳会談で休戦協定を平和協定に変え、駐韓米軍を撤収させ、国交を正常化し、経済制裁を解除することが北朝鮮の一貫した対米基本方針である。

 米朝間では過去に一度、オルブライト国務長官と趙明録軍総政治局長による実質No.2クラスの相互訪問が2000年に一度あったものの首脳による相互訪問は一度もない。金日成政権下の1994年6月にカーター元大統領が、金正日政権下の2008年8月にクリントン元大統領が訪朝したが、いずれも元大統領で、現職大統領の訪朝は一度もない。

 北朝鮮にとって最も惜しまれるのは、2000年のクリントン大統領の電撃訪朝が土壇場で流れたことだ。

 オルブライト国務長官の訪朝報告を受けクリントン大統領は任期最後の年の2000年11月に訪朝を検討していたが、中東問題に追われ、土壇場で挫折してしまった。そのことについてクリントン大統領は回想録「我が人生」で「当時、私の任期は残り10週間しか残されてなかった。アラファトの袖をつかみ、彼の目を見ながら、北朝鮮の長距離ミサイルを中断させるための協定を結ぶために北朝鮮に行かなければならない、と言ったところ、アラファトから、今回で中東和平協定を結ぶことができなければ、5年は無理と、直訴された」と、断念した理由を述べている。大統領を止めた後もクリントン氏は「あの時、北朝鮮に行けば、ミサイル協定を締結できると確信していた。任期中にそれが実現できなかったことが最も悔やまれる」と述懐していた。

 信じられないことだが、北朝鮮は共和党のブッシュ政権下でも首脳会談を密かに期待し、実現のため画策していた。

 ブッシュ大統領は政権発足間もなく「北朝鮮は国民を飢えさせながらミサイルと大量殺傷破壊兵器で武装する政権だ。イラク、イランと並ぶ悪の枢軸国である」(02年1月28日の一般教書で)と烙印を押し、金正日総書記については「取るに足りない男である。食卓で行儀なく振舞うガキである」(02年5月16日の共和党上院議員らとの会談で)と辛辣であった。時には「我々の自由と生命を守るため先制措置(先制攻撃)を取る」(02年6月1日の米陸軍士官学校の卒業式で)と発言し、北朝鮮を威嚇していた。

 しかし翌2003年になると「(北朝鮮に対して)安全を文書で保証する用意がある」(10月20日)と表明し、2005年9月には6か国協議の場で北朝鮮を攻撃しないとの軍事的担保と国交正常化の約束を盛り込んだ共同声明を北朝鮮との間で交わした。

 さらに翌2006年11月18日にハノイを訪れたブッシュ米大統領は北朝鮮が核兵器を廃棄する場合「朝鮮半島の平和体制構築に向け金総書記と朝鮮戦争の終結を宣言する文書に共同署名する」と発言し、金総書記と会う意思があることを表明。2007年にはライス国務長官の訪朝も検討していた。ライス国務長官の訪朝が実現すれば、その先にブッシュ大統領の訪朝も視野に入っていたが、これまた任期切れとなり、実現しなかった。

 北朝鮮にとって米朝トップ会談と同時に熱い視線を送っているのがトランプ候補の駐韓米軍に関する発言だ。

 トランプ候補は北朝鮮が朝鮮戦争休戦(1953年)以来撤収を求めている在韓米軍について「韓国が自国にある米軍の駐留費負担を画期的に多く負担しないならば、喜んで米軍の撤収を考慮する」と遊説で再三にわたって言及し、ニューヨークタイムズとのインタビューでも「在韓米軍防衛金分担を増やさなければ(大統領)当選後に在韓米軍を撤収することもある」と主張している。

 トランプ候補は、現状では明らかにオバマ政権下の国務長官時代に酷評していた民主党のヒラリー・クリントン大統領候補よりも北朝鮮にとってベターな候補に映っているのかもしれない。

 しかし、トランプ候補が16年前の2000年大統領選に改革党の候補として出馬した際に「私は核戦争を望まないが、交渉が失敗する場合、北朝鮮が実質的な脅威を与える前に、我々が先に無法者を狙って精密打撃するべきだと考える」と発言し、さらに「私は好戦狂ではないが、北朝鮮の核脅迫と米国の人命被害を防げるなら、大統領として通常兵器を利用して北朝鮮の目標物を打撃する命令を下す準備ができている」と述べていたことを北朝鮮は決して忘れてはならない。



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