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北朝鮮と日本人 金正恩体制とどう向き合うか

アントニオ猪木と辺真一の対談




2017年1月23日(月)

ゴングが鳴った「トランプvs金正恩」の危険な「ガチンコ対決」

 予想されたように正月早々からトランプ大統領と金正恩委員長との「ガチンコ対決」となった。

 事の発端は、金正恩委員長が元旦の新年辞で「我々の門前で戦争演習騒動を止めないならば、核武力を中枢とした自衛的国防力と先制攻撃能力を引き続き強化する」と警告したうえで「大陸間弾道ロケット(ミサイル)試験発射準備が最終段階に達した」と威嚇したことによる。

 金委員長の「挑戦」にトランプ大統領は自身のツイートで「そのようなことは起きないだろう!」と軽くいなしたが、北朝鮮問題ではここしばらく音なしの構えだったトランプ大統領が「金正恩発言」に敏感に反応したことで、二人の「対決」のゴングが鳴ったと言っても過言ではない。

 問題は、「そのようなことは起きない」とのトランプ大統領の発言の意味だ。

 一つは、北朝鮮はICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射する能力を有していないので発射は無理との解釈だ。

 米国務省のジョン・カービンスポークスマンは昨日「北朝鮮は核と弾道ミサイル技術を同時に追求しているが、まだ核弾頭を弾道ミサイルに搭載する段階には達してない」とのコメントを出していた。

 ロイター通信(1月1日)によれば、トランプ次期大統領が当選後、真っ先に情報当局にブリーフィングを求めたのは北朝鮮の核ミサイルの機密に関するものだったことを明らかにしていた。従って、北朝鮮の技術能力、レベルからして米本土に到達するICBMの発射は非現実的と判断したうえで「そのようなことは起きない」との感想を述べた可能性だ。

 次に、「そうはさせない」との北朝鮮への警告の表れとの解釈だ。

 発射させない手段の一つとして、中国に圧力を掛け、制止させることを検討しているようだ。

 トランプ大統領は40分後に掲載したツイートで「中国は完全に一方的な米国との貿易で莫大な金や富を奪っている。それなのに、(中国は)北朝鮮に関しては(米国を)助けない。素晴らしい!」と、中国を皮肉っていた。

 トランプ大統領は「中国は北朝鮮の核問題も全く助けてくれないのに、なぜ(米国では)『一つの中国』の原則にとらわれなければならないのか」と発言していた。これは、今後中国が北朝鮮の核やミサイル開発を阻止しなければ、中国が警戒している北朝鮮と関係のある中国企業を標的にした「セカンダリー・ボイコット」の適応だけでなく、中国が嫌がっている台湾へのコミットメントを強めることを示唆したことに等しい。

 中国が影響力を行使しない、あるいは中国が規制しても北朝鮮が核開発やミサイル発射を止めない場合は、次の手段として軍事力行使による阻止を念頭に入れた発言と解釈することもできる。

 トランプ大統領は大統領選挙期間中に「今日の世の中で核兵器が最も大きな脅威」としながら「この人物(金正恩氏)が突き進むのを放っておいてはならない」と、こぶしを振り上げ支持者に訴えていた。M・ペンス副大統領も副大統領候補TV討論で「トランプ候補が大統領になれば、北朝鮮に米国のパワーを侮るようなことさせない」として「我々は力による平和の時代に戻る」と、共和党政権になれば軍事力を通じた対北圧力措置を取ることを示唆していた。

 トランプ大統領は17年前に出版した著書「我々にふさわしい米国」で「北朝鮮の核能力は米国に直接的な脅威」とし「経験がある交渉家として見る場合、北朝鮮が核・ミサイルをシカゴとロサンゼルス、ニューヨークに落とす能力を備えることになれば、その時はこの狂った人たちとの交渉は効果がないだろう」と書いていた。

 トランプ政権のホワイトハウス顧問内定者であるケリーアン・コンウェイは1月3日、CNNとのインタビューで、トランプの発言について「北朝鮮を制止しようとする意志を表わしたもの」と説明したうえで「トランプは北朝鮮のミサイルがシアトルに飛んで来るのを黙ってみてないだろう」と語り、安全保障関係者と協議し、何らかの措置を取ると語っていた。

 最後に「トランプ発言」は北朝鮮と交渉して「止める」という解釈も考えられるが、今の時点での北朝鮮との対話は金委員長の脅しに屈したとの印象を与えかねない。また、そうしたリスクを犯して、仮に交渉したとしても、米朝双方の溝が深いだけに決裂の可能性の方が高い。そうなれば、「私は核戦争(thermonuclear war)を望まないが、交渉が失敗する場合、北朝鮮が実質的な脅威を与える前に、我々が先に無法者を狙って精密打撃するべきだと考える」と述べていることから先制攻撃というオプションが現実味を帯びるかもしれない。

 北朝鮮が北朝鮮初のICBMを発射すれば、朝鮮半島の緊張は一気に高まることになるだろう。



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