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北朝鮮と日本人 金正恩体制とどう向き合うか

アントニオ猪木と辺真一の対談




2016年6月19日(日)

不仲だった中朝は寄りが戻るか?

 外交・国際問題担当の李スヨン党中央委員会副委員長(前外相)が訪中(5月31日)を機に中朝関係の行方が注目されている。

 李氏率いる北朝鮮党代表団は北京に到着したその日の5月31日に宋濤中国共産党対外連絡部部長を団長とする中国共産党代表団と会談。夜は前部長の王家瑞・全国人民政治協商会議副主席が催した宴会に出席。そして、翌6月1日に習近平主席との会談が実現したことで2013年2月の北朝鮮の3度目の核実験で亀裂が生じていた中朝関係が修復する可能性も出てきた。

 中朝は周知のように習近平政権、金正恩政権発足後一度も首脳会談が行われてない。緊密化する中韓関係をよそに中朝は悪化の一途を辿ってきた。一時は中朝のバトルが表面化したことで決別は時間の問題との雰囲気すら漂っていた。実際に李訪中までの過去8カ月間の中朝のバトルを整理すると、どうみても修復は困難と予測された。

・中国戦勝記念式典(9月3日)に出席した崔龍海政治局員に対する中国の冷遇
・モランボン楽団の北京公演ドタキャン(12月12日)
・北朝鮮の「水爆実験」(1月6日)
・北朝鮮非難の中国外交部代弁人談話(1月7日)
・環求時報に「衛星発射すれば、新たな代価を払うことになる」との記事が掲載(2月4日)
・北朝鮮の「衛星」(テポドン)発射(2月7日)
・武大衛6か国首席代表が「北朝鮮は自ら墓穴を掘った」と発言(3月2日)
・新華社通信が「北朝鮮は必要な代価を払わなくてはならない」との記事を配信(3月2日)
・中国が国連制裁決議「2270」に賛同(3月3日)
・習近平主席が「国連決議に基づき対北制裁を完全に履行する」と言明(3月31日)
・労働新聞に「一部大国が米国の卑劣な脅迫と要求に屈従している」との記事が掲載(4月2日)
・国防委員会代弁人が「米国の強盗的要求にやみくもに追随し、国連決議に包装された対朝鮮敵視政策に同調したことにより貴重な過去の遺産と伝統を根こそぎに壊した代価は何をもってしても補償できない」との中国を非難する談話を発表(4月3日)
・中国人民日報に「北朝鮮は中国の脅威になっている」との記事が掲載(4月7日)

 李訪中を中朝どちらが打診したのかは不明だが、仮に中国が打診、招請したとするならば、なぜ中国は関係修復に動いたのか?そのヒントは、中国共産党の機関紙「人民日報」の姉妹紙「環球時報」の4月25日付の記事に隠されている。

 「環球時報」は「国連安保理がさらに厳格な制裁を論議すれば、中国はこれ以上庇うことが難しくなることを平壌ははっきりと知るべきだ」と北朝鮮にこれ以上緊張をエスカレートしないよう自制を求める一方で「オバマ大統領は再び中国に対して対北圧力を加重するよう求めているが、中朝が敵対関係になるのは彼ら(米韓)が望んでいる」と北朝鮮を諭し、そのうえで「中国は朝鮮全体と政権を窒息させることには参与しない」と書いていた。

 そして、北朝鮮の第7回党大会に中国共産党指導部は「中国の党と政府は中朝関係を高度に重視している。中朝友誼は先代指導者らが真に真心こめて育ててきたことで光り輝く歴史的伝統を持つ両国共通の貴重な財富である」との祝電を送ったが、人民日報はこの祝電を1面で扱っていた。

 また、新たに党委員長となった金正恩氏に対しては習主席自らが「両国の老世代指導者らが自ら作り上げ、手間暇かけて育ててきた伝統的な中朝親善は両国の共通の財富である。中国の党と政府は中朝関係を高度に重視している」との祝電を送っている。

 さらに党大会終了後の5月末には中国の男子バスケットボールの五輪チームを北朝鮮に派遣していた。バスケットボールは金委員長の趣味である。案の定、北朝鮮チームとの親善試合には金委員長が姿を現し、側近らと共に観戦していた。中国の「バスケットボール外交」が功を奏したとも言えなくない。しかし、関係が完全に修復し、かつてのような関係に戻れるかどうかは疑問だ。

 そもそも、友好国への北朝鮮による政治局員の派遣は中国に限ったことではない。序列では李外相よりも低いが、金英哲政治局員を真っ先にキューバに特使として派遣し、金委員長の挨拶を伝え、親書を伝達していた。中国だけが例外扱いだったわけではない。

 さらに、李訪中のその日に国連制裁決議に違反する中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射実験をあえて行ったことだ。中国が何を言おうが、ミサイル開発を続けるとの強い意思の表れである。

 今回も失敗したが、北朝鮮は成功するまで続けるだろう。そうなれば、米韓は中国が嫌うTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)の韓国配備を進めざるを得なくなる。ミサイルの発射実験も、THAADの韓国配備も両国の安全保障に関わるだけに双方にとって譲れない問題である。

 李副委員長は会談パートナーである宋濤中国共産党対外連絡部部長だけでなく、北朝鮮の非核化を求める習主席に対しても経済と核開発を平行して進める「並進路線」を恒久的な戦略路線として今後も堅持するとの金正恩委員長のメッセージを通告している。

 中朝関係がこじれた最大の原因は北朝鮮の核とミサイル開発、実験にある。この問題が根本的に解決されなければ、かつてのような中朝関係には戻れない。北朝鮮が一時的に核実験の凍結を約束したとしても、また一歩踏み込んで、核施設の凍結に同意したとしても、これまた日米韓が応じなければ、米朝も6か国協議も開かれることはない。

 仮に李訪中で北朝鮮が5度目の核実験を留保したしても、過去の例からしても、一時的な棚上げに過ぎない。逆に核とミサイル開発の時間稼ぎに利用されてきた。

 10年前の2006年のテポドン・ミサイル発射(7月)と史上初の核実験(10月)は金正日総書記の訪中(1月)の年に行われている。初の核実験後に中国は唐家セン国務委員(外交担当)を派遣し、金総書記に対して核実験を二度とやらないようにとの胡錦濤主席のメッセージを伝達していた。ところが、北朝鮮は3年後の2009年に再び、テポドン発射(4月5日)と核実験(5月25日)を強行した。テポドン発射の動きを察知した王家瑞中国共産党対外連絡部長が訪朝し、自制を求めたが、北朝鮮は王帰国から1か月後の2月24日に発射を内外に予告し、4月5日に発射に踏み切っている。

 さらに、2012年4月のテポドン発射も胡錦濤主席が4月11日に金正恩委員長の党第一書記就任に際して祝電を送った2日後に発射されており、同年12月12日の再度のテポドンもまた訪朝し、金正恩委員長と会談した李建国全人大常務副委員長(政治局員)が帰国してから12日後に発射ボタンが押されている。

 2013年2月の3度目の核実験も胡錦濤主席が8カ月前に訪朝した金永日朝鮮労働党書記(国際部長)ら同党代表団と会談し、自制を促していたにもかかわらず金正恩政権は強行している。

 今年1月6日の「水爆」と称する4度目の核実験も中国共産党序列5位の劉雲山政治局常務委員の訪朝から3カ月後であり、2月6日のテポドンまた訪朝した武大偉朝鮮半島問題特別代表が帰国した3日後に強行している。

 中朝関係が修復され、両首脳が相互訪問するにはその前段階として昨年ドタキャンしたモランボン楽団の中国公演が実現されなければならない。その意味では、中朝友好相互条約締結55周年となる来月(7月)11日を前後して記念行事が行われるかどうか。これが今後の中朝関係を占ううえで一つのポイントとなりそうだ。



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