2016年9月7日(水)

 安保理の対北非難「声明」は北朝鮮にとっては「不渡り手形」

安保理で北朝鮮の挑発を非難する日米韓の代表(写真:ロイター/アフロ)


「ノドン」とみられる中距離弾道ミサイル3発を非難する国連安全保障理事会(安保理)の報道向け声明が今日、全会一致で採択された。声明の採択は中国もロシアも同調した満場一致の決定による。

前回と比べて、安保理が緊急会議を招集したその日に声明が発表されたわけだからスピーディな対応と言える。

安保理は10日前の8月26日にも、その2日前に発射された潜水艦弾道ミサイル(SLBM)の発射を問題にし、報道向けの声明を出したばかりだった。今年に入っての安保理による北朝鮮非難声明はこれで9度目だ。

「声明」は5日の弾道ミサイルの発射は、弾道技術を使ったいかなる発射も禁じている国連決議「1718号」(2006年)、「1874号」(2009年)、「2087号」(2012年)、「2094号」(2013年)、「2270号」(2016年)の「深刻な違反である」として、北朝鮮に対して核実験を含む追加の挑発を自制し、国連決議を順守するよう求めている。また、北朝鮮の今後の動き注視し、先月の安保理の声明に従い、追加措置を取ることでも意見の一致を見ている。

安保理は「8月26日の声明」でも「追加措置を取る」と言っていた。ところが、ロシアのモルグロフ外務次官は先のウラジオストークで朴槿恵大統領がプチーン大統領との首脳会談で北朝鮮に対して厳しく対応するよう求めたにもかかわらず、「来月(10月)の国連総会まで北朝鮮がミサイルを発射しなければ、なかったことにして、これ以上、安保理では問題にしない」(9月3日)と北朝鮮に自制を求めていた。

それでも北朝鮮は無視するかのように外務省代弁人声明(8月28日)で「事変的行動措置を段階的に見せつけてあげる」と予告したとおり、8日後の9月5日にミサイル発射を強行している。北朝鮮が何度も国連の勧告を無視しているのに今回もまた、法的拘束力のある「決議」でも、「議長声明」でもなく、拘束力のない報道向けの声明である。

北朝鮮が2006年7月5日に日本海に向けて7発(3発目はテポドンで失敗)発射した際には「非難決議」(1695号)が採択されていた。「人工衛星の打ち上げ」と称して2009年4月5日、2012年4月13日と長距離弾道ミサイルが発射された際にはいずれも「議長声明」だった。これに比べると、再三に亘って決議違反しているのに拘束力のない報道声明しか出せない安保理の対応は軟弱と言わざるを得ない。

「過去20年で最強の制裁決議である」(サマンサ・パワー駐国連米大使)3月3日の制裁決議「2270号」が採択された以降、北朝鮮が「ノドン」9発、「ムスダン」6発、「SLBM」3発含め弾道ミサイルを乱射しているのに国連安保理はその都度、報道機関向けの声明で終始している。イエローカードに例えるな、この半年間ですでに9枚も出したことになる。すべて無視されている。「制裁決議」というレッドカードも5枚も出しているのにこれまた無視され続けている。

参考資料:国連の北朝鮮制裁決議は本当に「最強」?――核・ミサイルを止められない5つの理由

北朝鮮にとって安保理声明も決議も「屁の河童」なのだろう。むしろ、新たなミサイル発射や核実験のための口実というか、大義名分にしている感もある。米国の敵対政策がレッドラインを超えたら「核抑止力を一層強化するための新たな形態の核実験も排除しない」とか、「我々の自主権や生存圏を脅かすなら、自衛的な対応措置を取らざるを得ない」と逆に安保理を脅す始末だ。

何しろ、14回(22発)も弾道ミサイルを発射して、決議違反しているのに今回の「声明」で北朝鮮の核・ミサイル開発にブレーキが掛けられるとはとても思えない。

参考資料:過去最強の国連制裁の最中に平壌国際商品展覧会に参加する外国のリスト