2017年2月9日(木)

 日米共同開発の新型迎撃ミサイルで北朝鮮のICBMを迎撃?

米国の対北迎撃ミサイル(写真:ロイター/アフロ)


日米が共同で開発中の新型迎撃ミサイルの初の発射実験が成功したとして、その映像が公開された。

映像にはハワイのカウアイ島から発射された弾道ミサイを最新型の米イージス駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」がSM−3ブロック2Aを発射し、命中させたシーンが映っていた。

SM−3ブロック2Aは従来型のSM−3-ブロック1A(直径34センチメートル)より本体の直径が約20センチメートル大きく、53センチメートル。搭載可能な燃料も増したことで射程も拡大し、2000キロメートルまで延長されている。

最大射高従来よりも伸び、1000キロ―メートルを超えるとのことだ。(従来型SM−3ブロック1Aは最大射程1200、最大射高500キロメートル)。射高が高くなったことで仮に北朝鮮が中距離弾道ミサイル「ムスダン」を日本に向けてロフテッド方式(山なりの弾道)で発射しても迎撃が可能とのことである。

(参考資料:日本は北のICBMに集団自衛権を行使するか

射程距離3000〜4000kmの「ムスダン」は日本を標的にしたミサイルではなく、太平洋上の米軍基地であるグアムを標的にした中距離弾道ミサイルである。昨年6月22日に6回目で成功したとされる「ムスダン」は高角で発射され、1400kmまで上昇し、発射地点から400kmの目標値に着弾していた。

大気圏は通常、地面から高度600〜800キロメートルぐらいまでの高さを指す。SM−3ブロック2Aの最大射高が1000キロメートルならば大気圏外での迎撃も可能ということになる。

今回の実験の成功により、米国は北朝鮮からグアムに向かう中距離弾道ミサイル「ムスダン」あるいは長距離弾道ミサイルを日本近海からでも迎撃が可能との見方もなされている。

SM−3ブロック2Aは今回、初の実験に成功したが、模擬の標的ミサイルとSM−3ブロック2Aの迎撃ミサイルの速度及びどの高度で迎撃されたのかは不明。模擬ミサイルが上昇中に迎撃したのか、それとも落下時に迎撃したのかは定かではない。

北朝鮮が昨年6月に発射に成功したとされる「ムスダン」について米国防総省は宇宙空間に進入した後「大気圏に再突入してから402.336km飛行していた」ことを確認している。事実ならば、大気圏外からの弾頭の再突入には6千度前後の高熱に耐える技術が必要とされるわけだから北朝鮮はその技術を取得したことになる。

「ムスダン」は大気圏進入直前にマッハ15〜16を記録したと言われているが、落下時の速度はより加速される。マッハ10以上で落下してくる弾頭をマッハ4〜5のミサイルで直撃させるのはピストルの弾丸をピストルの弾丸で撃ち落すのと同じぐらい難しいと言われているが、今回、それに成功したならば、大きな成果といえる。

北朝鮮は昨年、弾道ミサイルを16回、延べ26発を発射したが、主な内訳を見ると、日本の全域を射程に収めた中距離弾道ミサイル「ノドン」(1200〜1300km)が4回で計9発、「ムスダン」が6回で計8発、そして「敵(日米韓)の後頭部を叩くことができる」(金正恩委員長)潜水艦弾道ミサイル(SLBM)が3発がある。そして、そのすべてが、日本列島を飛び越えず、手前の日本海に落下していた。

一連のミサイル発射は昨年2月23日の「第一次攻撃対象は青瓦台(韓国大統領府)と反動統治機関、第二次攻撃対象はアジア太平洋地域の米帝侵略軍基地と米本土」とする最高司令部の重大声明に基づくものであるが、まだ一度も発射実験をしてないのが米本土を照準に収めた長距離弾道ミサイル(ICBM)である。

ICBMについては新年辞で金正恩委員長が「最終段階に達した」と言及したことから発射はいつでも可能な状態にあるようだ。試射するICBMが長距離弾道ミサイル「KN−08」を指すのか、それとも改良型の「KN−14」なのか定かではないが、どちらにせよ射程が1万キロメートルあるので今度は、日本列島を飛び越え太平洋(米国)の公海上に落ちる可能性が極めて高い。

北朝鮮のICBM発射の動きについてカーター前国防長官はNBC放送(1月8日)とのインタビューで「もしそれが我々を脅かすものであれば、また我々の同盟や友人を脅かすならば撃墜する」と北朝鮮に警告していた。

(参考資料:北のICBMを迎撃する?しない?できない?

今回、SM−3ブロック2Aの模擬試験に成功したならば、北朝鮮のICBM試射は日米にとっては「飛んで火にいる夏の虫」で迎撃するには格好の機会となる。

本当に当たるのかどうか、実戦で通用する代物なのか、本番で試してみたらどうだろうか?

(参考資料:北朝鮮のICBMを迎撃するのは米国、韓国、それとも日本のイージス艦?