2017年1月7日(土)

 原子力空母「カール・ヴィンソン」の緊急派遣は対北朝鮮、それとも対中国!?

米原子力空母カール・ヴィンソン(写真:ロイター/アフロ)


米国の原子力空母「カール・ヴィンソン」が朝鮮半島近海に向かっているようだ。

東アジア地域には横須賀に原子力空母「ロナルド・レーガン」が常時配置されているが、新たに「カール・ヴィンソン」が加われば2隻となる。極めて異例のことである。

「カール・ヴィンソン」の派遣が、金正恩委員長が新年辞で大陸間弾道ミサイル発射に言及したことへの対応か、それとも南シナ海での中国の原子力空母の機動訓練と関係があるのか、注目されるところである。北朝鮮に軍事的圧力を掛け、同時に尖閣や南沙での中国の動きを牽制するという「一石二鳥」を狙ったものといえる。

「カール・ヴィンソン」は全長333メートル、全幅76.8メートルの9万3千トン級の原子力空母で、戦闘攻撃、電子攻撃、早期警戒を担う飛行隊のほか、海上作戦や海上攻撃を行う飛行隊が搭乗しており、乗務員は士官、兵員、航空要員合わせて総勢7千5百人。爆撃機24機、対潜ヘリ10機、早期警報器4機を含め90機が搭載されている他、地対空迎撃ミサイルSAMなど迎撃ミサイルも多数搭載されている。

ブッシュ政権時代の2001年9月、米国同時多発テロへの報復として始まった対テロ戦「不朽の自由作戦」にも投入されている。韓国には2011年1月以来6年ぶりである。日本には2003年5月に横須賀基地に寄港したことがある。

駆逐艦と巡洋艦に護衛され就航することから「動く海上軍事基地」と称されており、今月中旬にハワイに寄港し、新たに護衛駆逐艦を伴い大規模空母船団となって朝鮮半島沖に向かうことになっている。

米国は横須賀に「カール・ヴィンソン」と同じ規模の太平洋艦隊所属の「ロナルド・レーガン」が配置しているが、これとは別個に新たに空母船団を東アジアに緊急配備することになったが、米軍は昨年、北朝鮮が1月6日に核実験、2月7日に衛星と称して長距離弾道ミサイル「テポドン」を発射した際には3月上旬から始まった米韓合同軍事演習に原子力空母「ジョン・C・ステニス」(10万3千トン)を派遣し、北朝鮮に圧力を掛けていた。

湾岸戦争後の1995年に就役した9万7千トンの「ジョン・C・ステニス」は全長333メートル、全幅76メートル、高さは20階建てのビルに相当する80メートル。乗務員は士官・兵員(3,200人)と航空要員(2,480人)合わせて5,680人。サッカー場3つの大きさの中にF−18戦闘機や早期警報機など100台の航空機とヘリが搭載され、これまた「動く軍事基地」と言われ、2001年の「9.11同時多発テロ」時にはペルシャ湾に向けて出航し、アフガニスタンの攻撃を支援していたことで知られる原子力空母である。

北朝鮮が人工衛星(テポドン)発射の準備していた2009年2月に警戒のため西太平洋海域に補助艦艇とともに派遣され、また3度目の核実験(2013年2月12日)で朝鮮半島が一触即発の状態に陥った2013年3月にも西太平洋を担当する第7艦隊の管轄エリアに移動し、北朝鮮を威嚇したことがあったが、朝鮮半島沖にまで来て、展開したのは昨年が初めてである。それでも釜山に入港したのは3月13日で今回の「カール・ヴィンソン」の派遣がいかに早いかがわかる。

ちなみに北朝鮮は2013年の時は3月26日に外務省が「全面対決の最終段階に入る」との声明を出し、最高司令部もまたロケット部隊に「1号戦闘勤務体制」を発令し、そして3月29日には金委員長が深夜に作戦会議を緊急招集し「米国と総決算する時が来た」と言って、ミサイル部隊に射撃待機状態に入るよう指示していた。さらに3月30日には韓国との戦時体制突入を宣言し、臨戦態勢に入っていた。

昨年もまた、金委員長はテポドン発射(2月7日)を前に召集した朝鮮労働党中央委員会と党人民軍委員会の連合会議・拡大会議で「反米全面対決戦を総決算する」との決意を表明し、全軍に最高司令官の命令に従うよう訓令し、3月からは狂ったように弾道ミサイルを乱射し、米国を威嚇していた。

さて、米国の「カール・ヴィンソン」の派遣にどう反応するのか、「最終段階に入った」長距離弾道ミサイル(ICBM)を発射できるのか、注目される。