2019年4月12日(金)

 韓国に水産物を輸出したことのない県までも「輸入禁止指定」とは!

築地市場のマグロ(写真:ロイター/アフロ)


 福島原発事故後、韓国が福島など8県産の水産物の輸入を禁止してきた問題を最終審議したWTO(世界貿易機構)上訴委員会は韓国の輸入禁止の継続は「不当差別」とした昨年2月の1審(紛争解決機構のパネル)での判定を破棄してしまった。

 韓国が2013年9月から輸入を禁じているのは福島・茨木・群馬・宮城・岩手・栃木・千葉・青森で水揚げ・加工された28魚種の水産物。韓国の他にも日本からの水産物を規制している国は中国を含め50か国あるが、日本は2015年に韓国だけを提訴した。他の国々が段階的に制裁を緩和している中、韓国のみが制裁を強化していることへの反発と、日本と海を面している韓国に勝訴すれば、ドミノ的に他の国々の輸入禁止、規制の壁を崩すことができるからだ。

 昨年2月の1審では日本の主張が認められて韓国の継続的な輸入禁止措置は「WTO協定に違反する」として日本が勝訴していた。それだけに判定が覆ったことは日本にとっては残念極まりない。

 今回の最終審で日本の敗訴が決まったわけだが、1審がひっくり返るはずはないと確信していた日本にとってはまさに青天霹靂の判決だったに違いない。これまでの実例からして上級委員会の判断は大きい枠組みでは一審と変わることがなかったからだ。楽勝ムードが漂っていただけにショックは大きかったはずだ。

 一方、1審の判定が覆るケースは稀なだけに逆転の見込みはないと半ば諦めていた韓国にとってもビックリ仰天の判定であったはずだ。韓国はこれまで衛生や植物衛生協定絡みの訴訟で勝ったことが一度もなかった。それだけに約5年間にわたって繰り広げてきた日本との「貿易紛争」で予想を覆し、勝訴したことで韓国政府内には安堵感が広がっているようだ。

 「負け戦」を覚悟の上で韓国政府がWTOに上訴したのは、韓国の環境保護団体「環境運動連合」などが「日本産水産物の輸入が再開されれば、放射能に汚染された水産物が再び我々の食卓に上がり、食の安全が崩れる」と騒ぎ、圧力を掛けたことにも起因しているが、青森の津軽海峡で水揚げされたマグロが1本3億3360万円で競り落とされたことを、宮城の金華サバ、カツオがブランド品として日本全国に出荷され、日本人の食卓にのっている事実を知らないのだろうか。

 それにしても、海に面してもいないし、当然漁港もない、これまで韓国に一度たりとも水産物を輸出したこともない内陸の群馬や栃木までも輸入禁止リストに載せるとは滅茶苦茶な話だ。おそらく群馬も栃木も福島と隣接しているとの理由で載せたのだろう。

 残念なことに現在、群馬県と栃木県は県も含めて韓国と姉妹都市を結んでいる市、郡は一つもない。

 本来ならば、政治がぎくしゃくしている時こそ、民間交流や地方自治体による交流が何よりも求められるが、韓国のこのような対応では姉妹都市などとても無理だ。このままでは日韓FTA(自由貿易協定)などもとてもできる話ではない。また、一つ、日韓の対立、懸案が増えた。