2019年4月19日(金)

 「自由朝鮮」に狙われた「金正恩訪露」の移動手段は列車か、飛行機か!

ウラジオストク駅(写真:ロイター/アフロ)


 ロシア大統領府は金正恩委員長がプーチン大統領の招きで「4月下旬にロシアを訪問する」と発表した。訪問の日時と両首脳の会談場所については明らかにしなかった。

 ロシアのメディアをはじめ外電を総合すると、金正恩委員長は24日から25日の間に極東のウラジオストクを訪れ、プーチン大統領と初の首脳会談を行う可能性が強まっている。

 会談場所については第1回米朝首脳会談が行われたシンガポールのセントーサ島同様に警備面では最適の場所とされるルースキー島にある極東連邦大学が有力視されている。

 同大学では2012年にアジア太平洋経済協力体(APEC)首脳会議が開催されている。またプーチン大統領は毎年、周辺諸国の首脳らを招請し、東方経済フォーラムを開催しているが、それもまたこの大学である。

 首都モスクワではなく、ウラジオストクが急浮上したのは、プーチン大統領が直後の26日から27日に中国・北京で開催される一帯一路(陸海シルクロード)首脳会談に出席することと関係しているようだ。

 金正恩委員長の訪露が実現すれば、北朝鮮の最高指導者としては2011年8月の故・金正日総書記以来8年ぶりで、金正恩委員長にとっては政権継承(2012年)から7年目にしての初の訪露となる。

 「金正恩訪露」に関して北朝鮮からの正式発表はまだない。父親の金正日総書記は17年在任中(1994年7月―2011年12月)に3度訪露しているが、初訪露がモスクワで、以後はいずれもウラジオストクであった。

 ▲事前発表は公式訪問か、非公式かによる

 初訪露の2001年7月(28−8月18日)の時は出発2日前に「間もなく訪問する」との発表があった。また、2度目の2002年8月(20−24日)の時も出発1週間前に「8月下旬に訪問する」との発表があった。いずれも公式訪問であった。しかし、3度目の2011年8月(21−25日)の時は、事前発表はなく、国境を超えた時点で発表された。この時は非公式訪問であった。

 金正恩委員長の初の訪露が公式となるのか、非公式となるのかは不明だが、金正恩委員長の昨年3月の初の訪中が非公式で電撃的に行われたことから今回の訪露も非公式の可能性が高い。

 ▲交通手段は専用列車か、飛行機か

 父親は過去3回とも専用列車で訪露していた。最後の訪露となった2011年8月のウラジオストク訪問では東シベリアのバイカル湖の南東部に位置するブリヤート共和国の首都(ウラン・ウデ)でメドベージェフ大統領(現首相)と首脳会談(24日)を行った後、帰途中国(黒竜江省や吉林省)に立ち寄って帰国(27日)していた。

 金正恩委員長が先代に倣って列車を利用するならば、平壌から日本海に面した第二の都市・咸興に向かい、そこから北上し、ロシアとの国境都市である羅先を通過して直接ロシア領(ハサン)に入るか、あるいは、羅先の手前で中国方面に向きを変え、図門、琿春を経由してロシア領に入るか、二つのルートがあるが、どちらにしてもロシアとの国境を超えた時点で訪露の事実が発表もしくは確認されることになるが、今回は飛行機を利用する可能性も考えられる。

 父親(金正日総書記)は在任中7回訪中しているが、すべて列車を利用していた。しかし、金正恩委員長は昨年5月(7−8日)の2度目の訪中では、習近平主席との首脳会談のため中朝国境に近い遼寧省・大連を専用機で訪れていた。また、6月のトランプ大統領との初の首脳会談の際も中国のチャーター機で空路シンガポールを訪れていた。平壌から会談場所のウラジオストクまで距離にして700km。列車だと半日はかかるが、飛行機を利用すれば1時間半で済む。

 特に今年2月にスペインにある北朝鮮の大使館を襲撃した武装闇組織「自由朝鮮」が3月31日付のウェブサイトに新たな声明を載せ、「我々は今、大きなことを準備している。その時まで暴風前夜の沈黙を守る」と「新たな行動」を起こすことを予告しているだけにテロを警戒し、列車でなく、飛行機を使う可能性が大だ。