2019年7月18日(木)

 「日韓紛争」は場外へ!日本はICJに、韓国はWTOに提訴へ!

ICJ(国際司法裁判所)の裁判員(写真:ロイター/アフロ)


 今日18日は、日本が日韓請求権協定に基づき元徴用工問題に関する第三国による仲裁委員会の設置を韓国に求めた回答期限日である。仲裁委設置を受け入れる気がなく、日本政府の申し入れを無視している韓国政府はおそらく何の返事もしないだろう。

 そうなれば、日本政府は見切り発車で、次の手である国際司法裁判所(ICJ)に提訴することになる。韓国同意下での共同提訴が望ましいが、仲裁委員会の設置にも首を縦に振らない韓国が応じるはずもなく、結局は日本単独提訴ということになるだろう。

 日本政府の韓国関連のICJ提訴の動きはこれまでも再三あった。

 民主党政権(野田政権)の時、李明博大統領(当時)が2012年8月10日に竹島に上陸したことに反発し、ICJでの決着を韓国政府に呼び掛け、この年の8月21日に共同提訴を求める外交書簡を送付。李明博政権が日本の提案を拒否すると、一転単独提訴に切り替え、10月にはICJに単独提訴する方向で調整に入ったもののいつの間にか立ち消えとなってしまった。

 また、2年後の安倍政権下でも安倍総理自らが国会答弁(2014年1月30日)で単独提訴を検討し、「準備を進めている」と発言していた。但し、時期については「種々の情勢を総合的に判断して適切に対応する」と具体的には言及しなかった。

 日本がその気になれば単独提訴はいつでも可能だが、現実には訴訟を起こしたとしても、韓国が応じなければ裁判は開けない。国際法上、提訴された側の韓国が同意しなければ、裁判は開けないからだ。

 そうした事情があって、提訴しなかったのか、あるいは韓国との関係を悪化させたくなかったのか、それとも、単なるブラフに使っただけなのか、提訴しなかった真意は今もって不明だが、三度目の正直で今度こそ、提訴に踏み切るだろう。韓国の反対で裁判が開かれなくても、それなりにメリットがあるからだ。

 何よりも提訴すれば、一つに、日本の正当性をアピールすることができる。

 元徴用工訴訟で日本の企業に賠償金の支払いを命じた韓国最高裁の判決は日韓請求権協定に反していることが提訴理由であることを国際社会に知らしめることができる。

 次に、両国の最高裁が真逆の判決を下した問題をICJの判断に委ねることで日本はこの「争い」を公平な場で客観的に解決する意思があることを印象付けることができる。

 三つ目に、国際法の遵守を強調することで韓国にICJの強制管轄権を受託するよう圧力を掛けることができる。

 提訴すれば、少なくともICJは強制管轄権を行使し、韓国に対して裁判への出席を強制できる。韓国が出席を拒めば、拒むほど、この問題での韓国の後ろめたさや自信のなさが露呈されることになる。

 今日にもICJに打って出るのか、それともしばらく様子を見るのか、まさに安倍総理の本気度が試されている。

 韓国がWTO(国際貿易機関)への提訴に踏み切るのもこれまた時間の問題のようだ。

 輸出規制に繋がりかねない今回の日本の輸出審査厳格化措置に端を発した日韓通商摩擦を2国間協議で解決を図りたい韓国政府は日本政府に対して今月24日までに協議に応じるよう要請しているが、日本が拒否している以上、WTOに問題解決を委ねるほか術がないようだ。

 WTOが韓国の提訴を受け入れ、紛争処理小委員会(パネル)を設置して、審議し、最終判断するまでには少なくとも1年近くかかることからWTOへの提訴には即効性はない。それでも韓国からすれば、日本の今回の措置が世界経済に悪影響を及ぼす恐れがあることを訴えることで日本に外圧を掛けることができるとの計算が働いているようだ。

 また、WTOに提訴することで、日本の第二弾、第三弾の「措置」にブレーキを掛けることもできるとの判断も作用している。

 何よりも、日本がWTOの場で安全保障上の「不適切な事案」について説明できなければ、勝てるとの「過信」もあるようだ。日本の水産物輸入制限をめぐるWTO裁定での逆転勝訴が韓国を強気にさせている一因にもなっている。

 韓国内には日本政府の今回の厳格化措置が元徴用工裁判絡みの「対抗措置」あるいは「報復」でなければ、原告側が差し押さえた日本企業の韓国内の資産を競売に掛け、現金化したとしても日本政府は貿易や輸出で「対抗措置」は取れないとみているふしもあるが、日本は第三委員会設置への韓国政府の無回答や日本企業資産の現金化とは関係なく、近々韓国を「ホワイト国」から外すことになるだろう。「韓国は国と国との約束を守らないことが明確になった。貿易管理において、守れないと思うのは当然ではないか」(安倍総理)との不信による「安全保障上の問題」だからである。

 ICJへの提訴も、WTOへの提訴も問題の早期解決には繋がらず、いわば持久戦に過ぎない。両国はどこまで「不毛の戦い」を続けるのだろうか。