「テロ支援国指定制裁と解除の効果」
米朝作業部会が3月5日からニューヨークで開催されることが決定したが、北朝鮮のテロ支援国指定解除が主要議題となる。
▲テロ支援国指定解除のための条件と手続き
米国の反テロ法によるテロ支援国リストから解除する方法には二つある。
一つは「該当国家の指導部や政策に根本的な変化が起き、国際テロを支援せず、今後テロ行為を支援しないことを確約する」場合で、米大統領は上記事項を確認する報告書を議会に提出しなければならない。
もう一つは、「最近6ヶ月間、国際テロを支援せず、今後国際テロ行為を支援しないことを確約する」場合で、米大統領は上記事項を45日前に議会に提出しなければならない。
米国は北朝鮮に対して@テロ放棄宣言A反国家テロ条約加入Bよど号犯らの追放C拉致問題の解決を前提条件として出しているとされている。
テロ支援国家指定は米国務省が毎年更新する行政措置事項であり、これに関連して世界テロ報告書を議会に提出している。テロ支援国解除は原則的に大統領が決定し、報告書を議会に提出しなければならないが、現実的に議会が反対した場合は、行政が強行するのは難しい。従って、議会が納得する措置が必ず先行されることになる。
▲テロ支援国指定による制裁事項
@米国軍需物資リストに含まれる品目と技術の対北輸出
A米商務省統制品目リストに含まれる二重用途(軍事用及び民間用)使用品目及び技術の無許可輸出
B対外援助法、農水産物開発法、平和奉仕団法、輸出入法による対北支援
C国際金融機関による対北借款供与
D戦利品の移転
E米国に輸出される商品への関税免除
F米財務省関連規定により許可を得ていない米国民の北朝鮮政府との金融取引
G北朝鮮で得た法人及び個人所得に対する税制の特恵
北朝鮮がテロ支援国のリストから外されれば、上記の制裁事項は自動的に解除される。仮にすべての制裁事項が解除されれば、これは事実上の北朝鮮に対する経済制裁措置が終わったことを意味する。
▲制裁解除による北朝鮮の経済効果
@国際金融機関からの借款を取り付けることができる。
但し、借款を引き出すには経済統計資料の公開及び経済体制の改革、外国専門家の政策諮問に応じなければならない。北朝鮮がこのような条件を受け入れれば、IMF(国際金融基金)など国際金融機関から貸付や金融支援の延長、技術支援などを取り付けることができる。
また、国際金融機関から円滑な資金支援を取り付けるには事前に130億ドル以上に及ぶ債務問題を債権国との交渉を通じ、解決方法に合意していなければならない。
A米輸出入銀行による対北交易及び投資米企業に対する支援
米輸出入銀行の主要機能は輸出企業に対する貸付保証及び輸出保険サービス提供、中長期年払い輸出資金、プロジェクト金融などがある。
米輸出入銀行の支援が実現すれば、米企業は対北輸出時、保険恩恵を受けることができる。北朝鮮商品の購入時には輸出入銀行の保証を受け、金融機関からの購入資金の借り入れも可能となる。
プロジェクト金融支援も受けることができ、米企業の大型建設プロジェクト事業進出可能性も高まる。輸出入銀行は航空機(中古も含む)輸出に対する財政的な支援を行っているので、民間航空機の輸出も支援する。
B先端技術の対北輸出制限の緩和
二重用途品目に対する対北輸出統制が緩和されることによって軍事用に使われる恐れがあるとして交易禁止対象品目になっていた先端技術製品の輸出が従来より容易になる。コンピューターを含む情報通信分野の輸入が増大し、米企業との協力事業も増加するものと予測される。
C米国の対北援助の増加
北朝鮮に対する援助の規制が解かれれば、北朝鮮が困難をきたしている食糧、医薬品など基礎生産物資援助が増えるものと予想される。
D対北金融取引の増加
北朝鮮との禁輸取引が認められることで米朝間の金融取引はこれまでの単純送金次元から抜け出し、幅広い商業金融取引が行われ、決済も容易になる。
E北朝鮮に納める税金に対する控除の恩恵
米国の国内税法により北朝鮮で得た所得に対する税金は控除対象に含まれることになり、北朝鮮に投資した米企業及び北朝鮮に派遣された米国人に対する税金控除の特恵が可能となる。
これは、米国の対北投資企業に対する二重課税防止協定が締結されるのと同じ効果を及ぼすので対北投資条件を有利にする要因となる。
(2007年2月号)