2012年2月23日(木)

米朝協議は決裂か、合意か!?

 米朝協議が北京で再開される。協議はボズワース氏の後任であるグリン・デービース北朝鮮問題特別代表と北朝鮮の金桂寛第一外務次官との間で行われる。

 昨年の7月(28−29日、ニューヨーク)、10月(24−25日、ジュネーブ)に続き3度目の協議だが、金正日総書記死去後初の米朝協議となることから金正恩後継体制の出方が注目されている。

 協議は過去2回とは異なり、今回は僅か1日で終了する。米国務省によると、協議再開は北朝鮮からの要請によるとのことだ。従って、米国とすれば、6か国協議再開の条件であるウラン濃縮を止める用意があるのか、韓国との関係改善に応じる用意があるのか、北朝鮮からの回答を聞くことが主たる目的なので、協議は1日で十分とのことのようだ。

 協議は1日しか行われないのにそれにしてはホワイトハウス安全保障会議や米国家情報局(DNI)から北朝鮮情報担当官が、国防省からは北朝鮮戦略担当官が、また国務省からは東アジア太平洋北朝鮮政策担当官と核非拡散担当官の二人が、さらに米財務省からも北朝鮮制裁担当官が加わる。協議再開への意気込みが感じられる陣容だ。

 では、北朝鮮はどうか?なぜ、1日で合意したのだろうか?北朝鮮も1日で十分と考えているのだろうか?そして、金第一次官は米国が期待する「Yes」を伝えるために中国に赴いたのだろうか?

 北朝鮮が仮に「Yes」を返答するにせよ、おそらくその条件として、27日から開始される米韓合同軍事演習の中止を強く要求するかもしれない。北朝鮮は先月28日、朝鮮中央通信を通じて今回の演習がこれまでに増して「耐え難い」と非難していたからだ。

 北朝鮮は過去2回の協議では食糧支援を第一の条件、制裁の一時停止を第二の条件にしていたが、今回の協議では新たに米韓合同軍事演習の中止を加えるのではないだろうか。

 米国は前回の協議では北朝鮮に対して非核化の措置として具体的には濃縮ウランの停止と国際原子力機構(IAEA)監視員の復帰、さらにはミサイル発射の留保を求めていた。一方の北朝鮮は外務省報道官が1月11日に「米国に信頼醸成の意思があるのかを見守る」と述べ、米国が3年前に約束した50万トンの未納分(33万トン)の食糧支援と金融制裁の一時停止を要求していた。

 但し、食糧はその後、金正日総書記死去後に中国から50万トン確保する見通しが付いたこともあって食糧支援だけで濃縮ウランの停止に応じることはなさそうだ。食糧支援の中身と規模が今回の協議では争点になりそうにないことは、米国の代表団に食糧支援を担当するキング北朝鮮人権問題担当特使が含まれてないことからも伺い知ることができる。

 協議が決裂し、米韓が予定通り、27日から合同軍事演習に入り、北朝鮮が最高司令部の名で全土に「戦闘動員態勢」が発令されれば、軍事的緊張が高まるだろう。2009年の時と同様に北朝鮮によるミサイル発射の動きも出てくるかもしれない。