2009年8月22日(土)

注目を浴びる北朝鮮の金大中国葬弔問団

 北朝鮮の弔問団が良くも悪くも脚光を浴びている。たった一泊二日の、まる24時間のソウル滞在だが、一行の一挙手一投足に韓国国民の視線が集まっている。

 注目を浴びる理由は、昨年2月に李明博政権誕生以後一貫して拒んできた韓国当局との接触の可能性が取り沙汰されたためだ。結局、午前中に弔問団No2の対韓実務責任者の金養建統一戦線部部長と玄仁沢統一部長官との会談が実現した(上記写真)。金正日総書紀の特使でもある団長格の金基南書紀は部屋で待機だ。「玄・金会談」の進展次第では、一行の青瓦台表敬訪問もあるかもしれない。

 北朝鮮の弔問外交は外国にも波及し。南アフリカ駐在の北朝鮮大使がお線香を上げるため昨日、韓国大使館を訪れたそうだ。海外の北朝鮮大使館員が韓国大使館内に入るのは、過去に例をみない。おそらく、中国、ロシアなど海外のすべての大使館で同様の動きがあるだろう。

 それにしても、8月に入ってからの北朝鮮の融和外交は目覚しいものがある。5月の核実験、7月のミサイル乱射はなんだったのか。

 北朝鮮の方針転換は、8月6日のクリントン元大統領の訪朝によるところが大きい。

 金正日総書紀はクリントン氏を通じて核問題を米国との対話で解決する意思と用意があることを伝達したとの情報がある。ならば、その意思の表れとして、米国が要請していた韓国との関係修復に乗り出すことにしたのではないだろうか。米朝両国とも直接交渉を開始するには韓国の反発を和らげ、理解を得る必要があるからだ。1994年6月に核問題解決のためクリントン当時大統領の特使として訪朝したカーター元大統領の要請に応え、当時金日成主席が金泳三大統領(当時)との首脳会談に同意したケースと全く同じだ。

 オバマ大統領はクリントン氏を通じて金総書紀に対して米朝交渉の条件の一つとして拉致問題解決のため日本との協議再開を求めたとも言われている。ということは、選挙後の新政権に北朝鮮は拉致被害者の再調査のための日朝交渉の再開を呼びかけてくるかもしれない。