2009年8月31日(月)

韓国と日本の政権交代の違いは

 民主党圧勝、自民党大敗。日本ではめったに見ることのない政権交代の歴史的瞬間だ。

 米国や韓国で政権交代は普通のこと。政権交代そのものは別に大騒ぎすることではない。むしろ、2000年の米大統領選挙で民主党のゴアー候補が共和党のブッシュ候補に歴史的僅差(誤差)で敗れ、民主党が政権を失ったことのほうが驚きだった。1票差でも、負けは負け。惨敗も完敗も所詮同じことだ。

 自民党は下野したが、それでも、政治報復されないだけましというもの。「勝てば官軍、負ければ賊軍」とはよく言ったもので韓国は、負ければ実に惨めなもの。大統領中心制なので、国会で多数を占めていても、大統領選挙で負ければ、その瞬間政権を失う。

 政権が交代すれば、官僚のトップから公共機関、半官半民団体、組織の長は全員首が飛ぶ。失業だ。それだけではない。前政権に対する不正や汚職の追及が始まり、前任大統領が刑務所にぶち込まれたり、投身自殺を強いられる。日本は、政治報復がない分、救われるというもの。

 選挙の終盤、形勢を挽回しようと、麻生総理は必死だった。「民主党が勝てば、喜ぶのは、北朝鮮だ」となりふり構わなかった。

 制裁・圧力一辺倒だった麻生政権を北朝鮮が嫌っていたことは間違いない。麻生政権を金正日政権のレジームチェンジを画策した安倍政権の亜流とみなす北朝鮮は、この1年間、福田政権下で約束した拉致被害者の再調査に応えず、また選挙期間中に麻生政権を利するような北風(再度のテポドンミサイル発射や核実験)も自制した。逆に、選挙公示直前にはクリントン元大統領の訪朝を実現させ、麻生外交を窮地に追いやった。北朝鮮なりの麻生政権への政治報復なのだろうか。

 選挙結果について、北朝鮮がどう論評するのか、また、民主党政権にどう反応するのか、関心の的となりそうだ。