2010年7月1日(木)

中台にできて、南北にできないとは

 哨戒艦事件は現在、国連安保理に委ねられている。当初の予想とおり、韓国が望んでいた制裁決議や非難決議の採択は困難な情勢だ。

 韓国は、議長声明でも構わないと譲歩しているが、「北朝鮮の攻撃」という文言と北朝鮮への非難は必ず言及してもらいたいとしている。最悪の場合でも、北朝鮮を名指しこそできなかったものの文脈から北朝鮮の攻撃であったと理解できるG8の首脳宣言のような文言にしてもらいたいと、李明博大統領自らが国家の威信と面子を賭けて、国連に働きかけている。

 すべては、中国の胸中にかかっているが、北朝鮮は、こうした韓国の外交攻勢を交わすため国連安保理に南北合同調査団のための南北軍当局者会談の開催を韓国に働きかけてもらいたいとの書簡を送ったそうだ。聞き方次第では、単独の検閲団派遣からさらに一歩進めて南北合同調査団を設置し、沈没事件を調査しようと言っているようだ。言っていることが実に面白い。

 一昨年7月に金剛山で韓国人観光客が北朝鮮警備兵に射殺された事件では韓国が真相究明のための合同調査団を呼びかけた時には反対し、今度は逆に合同調査団を呼びかけるとは。当然、北朝鮮に軍事停戦委員会の開催を呼びかけている韓国は拒否するだろう。

 合同調査をした結果、黒が白に、あるいはその逆の結果となれば、どちらかが困るという図式になっているので、そもそも合同調査の設置は南北が対立している状況下では不可能だ。要は、南北双方とも相手が受け入れないのを百も承知の上で提案しているからこの種の提案はたちが悪い。

 南北が分断から65年にわたり、外交的に経済的に不毛の消耗戦をしている間に同じ分断国である中国と台湾は昨日、ついにECFA(経済協力枠組み協定)を結んだ。

 ECFAは自由貿易協定とほぼ同じ意味を持つ。台湾海峡を挟み軍事的には緊張しているものの中台は経済的には一体感を強めている。中国も台湾もますます発展、繁栄に向かうだろう。

 チャイニーズにできて、コリアンができないとは。