2010年5月26日(水)

南北修復は南北新政権下で?

 北朝鮮が昨日、対南窓口の祖国平和統一委員会を通じて李明博政権の韓国との関係を「全面的に断絶する」と、宣言した。これにより、李明博大統領任期中の間、即ち、2013年2月に韓国で新政権が発足するまでの3年間、南北関係は修復も進展もしないことになった。

 李明博大統領は24日に北朝鮮を非難し、経済交流の中断など独自の制裁措置を発表したものの、それでも金正日総書記の責任には触れず、逆に北朝鮮の変化を求め、そのための勇気ある決断を求めた。

 北朝鮮の勇気ある決断が、李明博政権との絶交とは何とも皮肉だ。これにより「朝鮮半島をこれ以上、東北アジアの危険地帯のままにしてはならない。南北がこの問題を主導的に解決すべきである」とした李明博大統領の願いは叶わないことになった。金総書記が李大統領を相手にしない以上、李明博政権下での解決の道も閉ざされてしまった。

 韓国の対抗措置は、南北関係の中断だったが、北朝鮮のそれは、断絶であった。また、李明博政権は南北経済交流の象徴である開城工業団地を制裁措置から外すなど、北朝鮮との関係を首の皮一枚残そうとしたが、北朝鮮はそれも閉鎖を宣言し、あっさりと断ち切ってしまった。

 南北関係の断絶により、憂慮されるのは6か国協議の行方、北朝鮮の核問題である。北朝鮮が韓国との関係の断絶を宣言した以上、韓国が参加する6か国協議の再開もますます難しくなった。6か国協議による北朝鮮の非核化を目指す米中両国はどう対応するのだろうか。頭の痛い問題だ。

 いずれにしても、過去の前例からして、簡単には寄りが戻りそうにもない。1987年に起きた大韓航空機爆破事件の時も今回のように「北朝鮮の犯行」VS「韓国の自作自演」で正面衝突したが、結局事件発生から3年後、全斗煥政権から盧泰愚政権に交替した1990年になって南北関係が修復されている。この年の5月に民間交流が実現し、そして10月に南北首相会談が開かれている。

 南北修復は3年後の韓国の新政権発足までお預けということだが、3年後にはすでに北朝鮮では三男のジョンウン氏が後継者として登場しているはずで、金総書記の健康次第では、北朝鮮もキムジョンウン政権に取って代わっているかもしれない。