2007年5月8日(火)

TSK−TKR連結のロシアのメリット

 2001年8月の金正日訪ロの際に採択された経済分野の共同宣言第6条には、ロ朝両国は朝鮮半島の南北とロシア、欧州を連結する鉄道輸送建設計画を実現するため必要な全ての努力を払うことを公約している。

 北朝鮮の鉄道を復元させ、TSRと連結させるには25億ドルの費用が必要であると、ロシアのパデヨフ鉄道部長官は語っている。

 TSR(シベリア横断鉄道)と連結する京元線(ソウル〜元山)の現代化には5千万から最大で5億ドルかかるとされているが、ロシアは国際コンソシアムではなく、単独投資する方針を明らかにしている。同長官は「ロシアはすに北朝鮮の鉄道再建計画のために4億ルーブル(約1千3百万ドルを投じてきた」ことを明らかにしている。

 ロシアは2003年末に一ヶ月間にわたって豆満江南側の北朝鮮鉄道56km区間に関する現場調査を実施している。

 ▲TSR−TKR連結のロシア側の効果

 ロシアがTSR−TKR連結を通じて得ることのできる経済的利益は韓国−欧州間の通過貨物運送料収入とシベリア、ロシア極東地域開発促進と韓国及びアジア地域輸出拡大のためだ。

 韓国のTSR利用は、韓国−ロシア交易物量と通過貨物で増えつつある。通過貨物の場合、90年代前半までは欧州行き貨物が多かったが、90年代中盤以後は欧州行きがほぼ中断され、港がない中央アジアやフィンランドに集中した。

 一方、TSRを利用した欧州輸送路を開拓した日本の場合、日−ロ間交易貨物と通過貨物が90年代に入って急激に減少した。

 1983年のピ−ク時は11万TEUに達した物量は1991年には81、566TEUに、97年には14、721TEUに減少し、通過貨物の場合も1997年は8、000TEUに過ぎない。それもTSRが比較的優位な中央アジアなどの貨物として推定されている。欧州行き貨物の韓国と同じく利用が中断したものと思われる。

 こうした90年代欧州行きTSR利用の減少は海上運送対比経済力の低下にある。それでも、昨年の韓国のTSR利用貨物は99年の時に比べて約50%も増えている。

 ▲TSR−TKR連結時の経済力

 ソウル首都圏の貨物の場合、現在の経路(富谷−釜山−ボストチニ)は1、100〜1、300ドルかかっているが、TKRを利用した場合、500〜600ドルで、600〜700ドルも節約できる。釜山地域の貨物は、300〜400ドル節約できる。

 ロシア鉄道長官は2001年7月13日、TSR100周年記念式でTKR−TSRが連結した場合、10万個のコンテナ−貨物が輸送されると展望している。また韓国の交通開発研究院では北朝鮮の鉄道問題が改善された場合、韓国及び日本−欧州間は28万8千個を運搬できる。また、北朝鮮は年間5千万、ロシアは4億ドルの運賃収入をあげることができると展望している。これに南北間の物同量と石炭など一般貨物運賃を含むと北朝鮮は年間1億ドルの収入が期待できる。

 韓国の場合、輸出競争力の強化と東アジア地域及びCIS内陸地域との交易拡大とともに物流費の引き下げで南北間賃加工交易物品の拡大と南北交易の活性化が期待できる。