2007年10月8日(月)

南北鉄道連結の現況

1.連結区間
▲京義線(南の?山―北の開城間の27.3km)56年ぶり
▲東海線(北の金剛山―南の猪津(チェジン)の25.5km)57年ぶり
 東海線(釜山―江陵―猪津―金剛山―ロシア横断鉄道=TSR)
列車は5両編成。試験運転なので時速10〜20kmの速度で走る。京義線は1時間30分要する。列車が軍事分界線を越えるのは昼12時15分前後
1 年表
2000年 南北閣僚会議で合意。
2000年 工事着工
2003年 線路連結完了
2006年 5月25日 試験運転予定
2007年 5月17日 試験運転

2 鉄道連結費用
 総工費=5,454億ウォン(約712億円)
 北への支援金は全体の3分の1=1,809億ウォン(約40億円)
※乗客(200人)一人当たり約21億ウォンのチケットとなる。
3.韓国側の見返り
 食糧40万トン(1,649億ウォン=約210億円)
 軽工業原料費8,000万ドル(約100億円)
▲韓国の経済的メリット=物流費の削減
 昨年1年間の南北交易は13億4千9百万ドル。南北交易は船舶を利用した海上ルートで主に行われてきた。

 海上輸送による直接貿易がスタートした2000年4月の時点での南北貿易額は4億3千万ドル。直接貿易により南北貿易は6年間で3倍も伸びた。

 仁川−興南間は主に水産物が、仁川ー南浦間は委託加工物品が輸送され、釜山−羅津間は韓中の貨物の中継港として利用されてきた。

 仁川ー南浦間の海上運賃は20フィートコンテナ1個(1TEU)あたり800ドルであるが、鉄道を利用すれば、200ドル。日数も船では5〜6日なのに、鉄道だと、1〜3と大幅に短縮される。

  平壌までの路線が開通すると、さらなる利益をもたらす。

   ソウル−ピョンヤン周辺への鉄道輸送費はコンテナ1個あたり200ドルぐらいとなる。輸送日数も1〜3日は短縮できる。
 京義線が復活すれば、南北交易規模は大幅に増大する。仮に毎年30%づつ増えたとすれば、5年後の南北交易量は約5倍(約65億ドル)に跳ね上がることになる。

▲大陸鉄道との連結
1.京義線(釜山〜丹東〜中国大陸横断鉄道〜シベリア横断鉄道)

 釜山〜ソウル〜開城〜新義州から中国の丹東を繋いで中国大陸横断鉄道、シベリア横断鉄道に連結する。

 ※釜山から新義州まで945km,丹東からモスクワまで8千613km、モスクワから欧州の主要都市までが約2千533kmで全長1万2千91kmの路線だ。
2.京義線(釜山〜丹東〜北京〜モンゴル〜シベリア)  釜山〜ソウル〜新義州〜丹東〜北京〜モンゴル〜シベリア鉄道を結ぶ。
3.京元線(釜山〜羅津〜ハッサン〜シベリア) 
 釜山〜ソウル〜元山〜羅津〜豆満江(北朝鮮国境駅)ーハッサン(ロシア国境駅)を経て、シベリア横断鉄道(TSR)と結ぶ。

 ※釜山から豆満江までは1千313km、ハッサンからモスクワまでは9千208km、モスクワから欧州の主要都市までの平均距離は約2千533km。従って、この路線の総延長は1万3千54kmになる。
4.京元線と満州通過鉄道(TMR)を経て、TSRに連結する路線。
  釜山〜ソウル〜新端里〜清津〜会寧〜南陽〜図們(中国国境都市)を結ぶ
※釜山から南陽までは1千354km、図們からモスクワまでは7千721km、モスクワから欧州の主要都市までが約2千533km。総延長1万1千608kmの路線だ。
  KOTRA(大韓貿易振興公社)が2000年に発表した報告書によると、釜山からモスクワまで1TEUの貨物を輸送する場合、海上輸送なら30日かかり運賃は2130ドルだが、シベリア横断鉄道を利用すれば期間は15日に半減、運賃も300ドル程度安くなる。 ちなみに北側は通行料などの利益を得られる。
 (※現在は日韓の貨物はロシアのボストチニ港まで海上輸送され、そこからシベリア鉄道を利用して運ばれることになる)

 京義線が復旧すれば、これら貨物を直にシベリア横断鉄道に連結することができる。京義線が貫通すれば韓国−EU間の物量の20%、日本−EU間の物量の5%を京義線を使ってシベリア横断鉄道で運ばれることになる。それに伴う南北の年間運賃収入は2010年には韓国が4千36億ウォン、北朝鮮が7千200億ウォンと推定される。