2008年12月8日(月)
脱北者のアンケート調査
北朝鮮の脱北者問題はカンボジア、ラオス、タイなど東南アジアに波及し、国際問題化しているが、中国で脱北を支援している米国の民間団体、北朝鮮人権委員会では、2004年8月から2005年9月にかけて中朝国境地帯に逃避、潜伏している脱北者1,346人を対象にアンケート調査を実施した。
この調査は、同委員会のチャン・ユンオクさんが彼女のスタッフらとともに国境の9つの地域で行ったもので、その結果を「脱北者危機:人権と国際社会の対応」と題する報告書の中で発表した。
チャン委員は12月7日、米下院内で行った記者会見で「中国にいる脱北者らはいつ逮捕されるかもしれない、いつ強制送還されるかもしれない恐怖に脅かされている」と、国際社会が脱北者問題の解決に関心を向けるよう呼びかけた。
以下、報告書から、注目すべき質問と、その回答を整理してみる。
@北朝鮮のどこから来たのか?
「咸鏡北道」・・・・・・・・・・・・・76%
A北朝鮮での職業は?
「労働者」・・・・・・・・・・・・・・62%
「農民」・・・・・・・・・・・・・・・35%
「技術者」・・・・・・・・・・・・・・・2%
「軍人」・・・・・・・・・・・・・・・・1%
B学歴は?
「高卒」・・・・・・・・・・・・・・・52%
「小卒」・・・・・・・・・・・・・・・44%
「大卒」・・・・・・・・・・・・・・・・1%
「技術学校卒」・・・・・・・・・・・・・1%
C脱北の理由は何か?
「経済的な理由」・・・・・・・・・・・96%
「政治的迫害が理由」・・・・・・・・・・4%
D北朝鮮での食糧事情はどうか?
「悪くなっている」・・・・・・・・・・67%
「よくなってきた」・・・・・・・・・・・4%
E北朝鮮ではどうやって生計を維持していたのか?
「政府による配給で」・・・・・・・・・・3%
「市場で食料を調達して」・・・・・・・62%
「国家の配給と個人からの購入で」・・・・3%
F国際社会の食糧援助を知っていたか?
「知らなかった」・・・・・・・・・・・43%
「知っているし、恩恵を受けた」・・・・・3%
G外国からの援助米の行方について
「軍隊に配給されると思う」・・・・・・94%
「政府の役人らに配給されると思う」・・28%
H収容所生活を体験したことは?
「ある」・・・・・・・・・・・・・・・10%
I収容所での餓死や拷問死を聞いたことは?
「餓死については知っている」・・・・・90%
「拷問死を知っている」・・・・・・・・75%
J中国での潜伏期間は・
「3年」・・・・・・・・・・・・・・・36%
「3年以上」・・・・・・・・・・・・・32%
「2年」・・・・・・・・・・・・・・・15%
「1年」・・・・・・・・・・・・・・・12%
「6か月未満」・・・・・・・・・・・・・5%
K中国に関する情報はどうやって知ったのか?
「人づてに」・・・・・・・・・・・・・89%
「報道で」・・・・・・・・・・・・・・・5%
「書物で」・・・・・・・・・・・・・・・1%
L中国で仕事をしているのか?
「仕事をしている」・・・・・・・・・・22%
M賃金は貰っているのか?
「貰っている」・・・・・・・・・・・・13%
「ほんの少し貰っている」・・・・・・・78%
「貰っていない」・・・・・・・・・・・・9%
N脱北女性はいくらで人身売買されているのか?
「1,900元=244ドル」
「1,700元=218ドル」
O今、最も不安なことは?
「捕まること」・・・・・・・・・・・・67%
「北にいる家族のこと」・・・・・・・・16%
「居住地がないこと」・・・・・・・・・15%
P家族のいる北朝鮮に戻る考えは?
「戻る考えはない」・・・・・・・・・・98%
Q中国からどこに行きたいか?
「韓国に行きたい」・・・・・・・・・・64%
「米国に行きたい」・・・・・・・・・・19%
「このまま中国にいたい」・・・・・・・14%
R金正日政権はよくなると思うか?
「絶対によくはならない」・・・・・・・43%
「よくならないと思う」・・・・・・・・50%
「なんとも言えない」・・・・・・・・・・5%
「よくなると思う」・・・・・・・・・・・2%
S北朝鮮の経済はよくなると思うか?
「よくなるとは思わない」・・・・・・・92%
※中国に船腹している脱北者は1990年中盤以後に多いときで10万〜15万人にいると推定されたが、現在は、3万〜5万人程度とみられている。◆