2008年11月20日(木)

南北合意と経済交流効果

2000年の合意は@開城工業団地開発A道路と鉄道連結B金剛山観光開発の3大事業で韓国の投資総額は1兆ウォン。(100ウォン=10円基準)

2007年の合意は@経済特区(開城工団と海州平和協力特別地帯)と鉄道・道路連結工事にかかる費用は直接投資額だけで5兆ウォン、電力支援などを含むと11兆ウォンを超える。

南北首脳会談で合意した経済交流(最大で112億ドルの資金が必要)

※112億ドルを5年分割で投資した場合の投資額(22億4千万ドル)は北朝鮮の国内総所得(06年256億ドル)の8.75%に達するが、韓国の国内総生産(GDP)の0.25%に過ぎない。

@経済特区拡大=開城工団の第2段階事業(通信、税関、通行問題の解決)に25億ドル。

A海州と周辺地域を結ぶ「西海平和協力特別地帯」(海州特区=500万坪開発構想)海州は開城から北西75kmしか離れていない。第2の開城工団である。海州は港湾もあり、開城工団に繋がる物流網を補完することができる。この「海州特区」西海特別地帯の事業に46億ドルかかる。別途に海州港拡張工事に3億ドルかかる。

B道路・鉄道連結事業は、開城〜平壌間の道路と開城〜新義州間の鉄道補修だ。韓国にとって韓国の西海岸高速道路、京釜高速道路からシベリア横断鉄道(TSR)や中国横断鉄道(TCR)に繋がる大陸物流網の構築が念頭にある。開城〜新義州間(445km)の鉄道補修及び改修工事に3億ドル。開城〜平壌高速道路(162km)補修・改修工事に3億ドル。

C江原道の安辺と平安南道の南浦に造船協力団地を建設することで合意。この建設工事の費用は最低でも2億ドル。韓国の造船業界は空転の好況状態にあるが、人件費の高騰と鋼板価格の高騰で苦戦している。そこで最近、民間造船業界は北朝鮮で船舶ブロック工場を建設する案が検討されていた。しかし、造船団地を建設するには造船所だけでなく、道路などのインフラ設備も建設、補修しなくてはならない。

D肥料生産と農業開発に9億ドル。

E白頭山総合観光レジャー施設建設と開発に13億ドル。

F資源開発費用(100ウォン=10円基準)

※端川特区開発&インフラ整備費用は1兆987億ウォン

北朝鮮の資源開発のための財源は南北協力基金と民間から調達する。
南北協力基金は2008−2012年の間、毎年1000億ウォン捻出。
民間からは150億ウォンから段階的に上げて2012年には645億ウォン。

□南北貿易

間接貿易スタートの1989年時は1,872万ドル。船舶を利用した海上輸送による直接貿易がスタートした2000年4月の時点での南北貿易額は4億3千万ドル。2006年1年間の南北交易は13億4千9百万ドル。直接貿易により南北貿易は6年間で3倍も伸びた。07年は17億9千万ドルに達した。

仁川−興南間は主に水産物が、仁川―南浦間は委託加工物品が輸送され、釜山−羅津間は韓中の貨物の中継港として利用されてきた。

京義線が復活すれば、南北交易規模は大幅に増大する。仮に毎年30%づつ増えたとすれば、5年後の南北交易量は約5倍(約65億ドル)に跳ね上がることになる。6年もすれば、投資額(112億ドル)に匹敵する。

※仁川―南浦間の海上運賃は20フィートコンテナ1個(1TEU)あたり800ドルであるが、鉄道(ソウル〜ピョンヤン)を利用すれば、200ドル。運送時間も大幅に短縮される。

□南北縦断鉄道
南北鉄道連結年表
2000年 南北閣僚会議で合意。
2000年 工事着工
2003年 線路連結完了
2006年 5月25日 試験運転予定
2007年 5月17日 試験運転
※列車は5両編成。試験運転なので時速10〜20kmの速度で走った。京義線は1時間30分要する。
▲京義線(南の?山―北の開城間の27.3km)56年ぶり開通
▲東海線(北の金剛山―南の猪津の25.5km)57年ぶり開通
※東海線(釜山―江陵―猪津―金剛山―ロシア横断鉄道=TSR)

□大陸鉄道との連結
1.京義線(釜山〜丹東〜中国大陸横断鉄道〜シベリア横断鉄道)
釜山〜ソウル〜開城〜新義州から中国の丹東を繋いで中国大陸横断鉄道、シベリア横断鉄道に連結する。
※釜山から新義州まで945km,丹東からモスクワまで8千613km、モスクワから欧州の主要都市までが約2千533kmで全長1万2千91kmの路線だ。

2.京義線(釜山〜丹東〜北京〜モンゴル〜シベリア)
 釜山〜ソウル〜新義州〜丹東〜北京〜モンゴル〜シベリア鉄道を結ぶ。
※ KOTRA(大韓貿易振興公社)が2000年に発表した報告書によると、釜山からモスクワまで1TEUの貨物を輸送する場合、海上輸送なら30日かかり運賃は2130ドルだが、シベリア横断鉄道を利用すれば期間は15日に半減、運賃も300ドル程度安くなる。 ちなみに北朝鮮側は通行料などの利益を得られる。
※京義線が貫通すれば韓国−EU間の物量の20%、日本−EU間の物量の5%を京義線―シベリア横断鉄道で運ばれることになる。それに伴う南北の年間運賃収入は2010年には韓国が4千36億ウォン、北朝鮮が7千200億ウォンと推定される。

3.京元線(釜山〜羅津〜ハッサン〜シベリア) 
釜山〜ソウル〜元山〜羅津〜豆満江(北朝鮮国境駅)―ハッサン(ロシア国境駅)を経て、シベリア横断鉄道(TSR)と結ぶ。
※釜山から豆満江までは1千313km、ハッサンからモスクワまでは9千208km、モスクワから欧州の主要都市までの平均距離は約2千533km。従って、この路線の総延長は1万3千54kmになる。

4.京元線と満州通過鉄道(TMR)を経て、TSRに連結する路線。
 釜山〜ソウル〜新端里〜清津〜会寧〜南陽〜図們(中国国境都市)を結ぶ。
※釜山から南陽までは1千354km、図們からモスクワまでは7千721km、モスクワから欧州の主要都市までが約2千533km。総延長1万1千608kmの路線だ。