2011年4月18日(月)

韓国のIMF危機

 韓国は金融部門では不良債権を抱えてしまった。起亜自動車の倒産を皮切りに経済状態が悪化。韓国の外貨保有高は332億ドルあったが、124億ドル程度に減少。1997年12月12日時点で韓国が抱えていた民間短期対外債務残高は320億ドル、その借入先の内訳は、日本が118億ドル、欧州全体で118億ドル、米国42億ドルであったとされる。

 年末まで支払わなければならない債務は163億ドル。日本にも国債を発行し、300億ドルの支援を要請。500億ドル調達できなければ、経済危機を乗り切れなかった。外貨不足のため外国からの食糧調達が困難。韓国は120億ドル相当の農産物を外国から輸入していた。原油輸入額は138億ドル相当だった。

 NYTは「韓国経済は崩壊し始めた」と報道。IMFの支援がなければ、モラトリアム(対外債務支払い停止宣言)をせざるを得ない状態。IMFの援助を要請する事態となった。まさにデフォルト寸前の状況にまで追い込まれた。

 ムーディーズは、1997年7月の段階で韓国の格付けをA1からA3まで落とし、11月には更にBaa2にまで格を落とした。既に落ち込んでいた韓国の証券取引市場を更に冷え込ませて、韓国の経済を不振にさらに陥れた。韓国では、1997年の経済危機は「朝鮮戦争以来、最大の国難」「IMF危機」と呼ばれた。

 IMF6か月後の国民生活=一般国民生活に深刻な影響を与えた。
 @資産は平均して5世帯のうち3世帯が5分の1に減った。
 A1世帯の月平均利息負担額も6か月前に比べ3万円の増。
 B所得については4世帯のうち3世帯が平均して20%減。
 C国民が最も節約したのが衣類(31.2%)、食糧、文化生活の順。
 D外食の回数は半年前の1か月に一度から、「一度もやらない」が56%に。
 E貯蓄額も全体の4分の1が月平均して2万円も減少した。
 F不動産でも住宅価格の下落が著しく、2千6百万円から1千7百万円に。

 ★経済回復には2人にT人が「3〜4年かかる」とみて、「1年以内」は1.4%

 金大中大統領の挑戦

 金大中は1年半でIMF管理体制からの脱皮と1年半後の経済成長率を6〜7%に戻すことを約束する。11の公共企業を売却。韓国電力、韓国通信、たばこ・ニンジン公社、ガス公社、韓国重工業、浦項製鉄など6大企業をはじめ国民銀行などを。例えば、たばこ・人参公社は政府保有株35%のうち20%程度(15億ドル相当)をニューヨーク証券取引所に売りに出した。

 日本政府は、邦銀に対して返済繰り延べの説得に奔走し、混乱する金融市場の中で邦銀の合意を取り付け、1998年1月29日には日米欧民間銀行団の短期債務繰り延べ交渉を妥結に導いた。これは市場に安堵感を与え、金大中大統領によって海外からの証券投資に対する規制が緩和され、対外証券投資の流入が促進された。こうして韓国の国際収支は安定を取り戻し、通貨危機を受けたアジア諸国の中でもいち早く危機克服に向かった。