2012年5月25日(金)

韓国経済の現状

 ★人口:韓国4、977万人 日本=1億2千8百万人

 ★面積:10万平方キロメートル(半島の45%,日本は38万? 日本の約4分の1)

 ★制度:一院制300議席

 ★国家予算:325.5兆ウォン

 ★軍事予算:273億ドル

 ★兵力:陸軍52万千人、海軍6万8千人、空軍6万5千人 在韓米軍2万8千百人

 ★徴兵:24か月〜27か月

 ★GNP:1兆145億ドル(10年)日本は5兆4,978億ドル。(ワールドバンク)

 ★一人当たりGDP:22,777ドル(11年)日本45,920ドル(11年)

 ※一人あたりGNIは07年に2万ドルの大台を突破。08年に再び2万ドルを割り込んだが,10年には20,759ドルと2万ドル台を回復した。韓国は世界35位、日本は世界18位

 ★外貨保有高:世界第6位の水準(10年10月,2,900億ドルを越えた。2011年4月以降は3,000億ドル台で推移。

 ★経済成長率:3.6%(2011年)

 ※近年4〜5%で推移してきたGDP成長率は,08年秋以降の国際金融市場不安を受け,09年は98年通貨危機以来11年ぶりの低水準となる0.2%となった。10年は6.2%と大幅に上昇したが,11年は欧州の財政危機等の影響により,3.6%に低下。(韓国銀行)。

 ★失業率:3.4%(11年平均)

 ※青年層(15−29歳)の失業率は高い(10年平均で8.0%)。

 ★レート:1ドルー:1、126ウォン 100円:1,399ウォン(12年12月末}

 ※国際金融市場不安の影響を受け,2008年9月末以降,急激なウォン安が進行。

 →09年3月2日には$1=W1570.3,\100=1610.9を記録。円は近年の最高値(07年7月)からほぼ半分に減価。

 ・2011年8月,米国債の格下げや欧州の財政不安等の影響を受け,ウォン安が急激に進行。その後やや持ち直し,12年2月末時点で,$1=W1126.50,\100=W1399.21まで回復。

 ★金利:韓国銀行の基準金利は08年8月の5.25%をピークに段階的に引き下げ,現在は3.25%。

 ★主要産業:電気・電子機器、自動車、造船、鉄鋼、石油化学

 主要貿易品目:機械類、電気電子製品、科学工業製品、鉱産物、鉄鋼金属製品

 主要輸入品目:鉱産物、電気電子製品、鉄鋼金属製品、機械類、化学工業製品

 ★経済状況:

 (1)韓国経済は、2011年、輸出は好調であったが、民間消費と設備投資が伸び悩み、また建設投資が大きく減少したこと等により、経済成長率は3.6%となった。一方、物価上昇の傾向にあり、韓国政府は経済政策の優先順位を物価安定に置いている。

 (2)外需に大きく依存する経済構造。2011年の経済収支は321億ドルの黒字であり、また、対日貿易は慢性的に赤字(2011年は約286億ドル)。

 ★貿易状況(1、753億ドル=2011年)

 輸出:5,537億ドル(前年比+18.7%)日本=8,226億ドル

 中国(24%)米国(10%)日本(7%)香港(6%)シンガ(5%)台(4%)

 ※日本は世界4位、韓国は7位。中国、米国、ドイツ 5位フランス 6位オランダ

 輸入:5,216億ドル(2011年)(前年比+22.7%)日本=8,540億ドル

 中国(16%)日本(13%)米国(9%)サウジ(7%)豪州(5%)カタール(4%)

 ※日本は世界4位、韓国は10位。米国、中国、ドイツ、5位フランス、6位英国

 注:2011年の輸出額は過去最高,約$321億の貿易黒字。

 @米,EUなど先進国の景気鈍化にもかかわらず,ASEANなど主要新興市場への輸出拡大をベースに輸出が前年比18.7%増加し,初めて輸出額が5,000億ドルを超えた。輸入額は,原油高など原材料価格の上昇により,前年比22.7%増となり,貿易総額が初めて貿易1兆ドルを超過した。

 A中国との貿易拡大

 近年の急速な貿易拡大により,中国は輸出入ともに第1位の貿易相手国。2011年の貿易収支は、韓国が約478億ドルの黒字(10年は453億ドルの黒字)。

 B輸出先の多角化

 国別輸出では,対中国,対米国,対EUの伸びが鈍化したものの,アジア,中東,中南米向けの増大により全体として輸出拡大を維持。

 ★韓国の投資政策

 「外国人投資誘致強化対策」(09年5月27日)

 @緑色成長,重点誘致産業分野から100大重点誘致企業を選出し,現金支出を@重点誘致産業分野,A支援下限要件の廃止(2012年まで),B支援限度の引上げ(現行の2倍),とする。

 A外国人投資委員会委員長を国務総理に格上げ(それまでは知識経済部長官)

 B「外国人投資環境改善チーム」の新設

 C「経済自由区域基本計画」を策定

 ★対内国内投資:2011年の韓国への外国人直接投資額は,対前年比4.6%増の約137億ドルとなった。

 国・地域別では,日本・米国・EUからの投資が多い。日本からの投資は,前年比9.6%増の約23億ドル(国別で第2位)。特に流通,金融・保険等のサービス業分野への投資が増加した。米国からの投資は,前年比20.2%増の約24億ドルであり,EUからの投資は,前年比33.6%増の約50億ドルであった。

 ★対外直接投資

 韓国企業の製造業(自動車,電子等)を中心とする活発な海外進出により,対外投資は伸びてきたが,08年秋の金融危機の影響で2009年は15.1%減の約194億ドルにとどまった。2010年は19.2%増の232億ドルに増加した。

 10年の国別投資先では,米国,英国,中国が多かった。

 10年の日本への直接投資は,前年比19.2%減の約3億ドルであった。(日本緒対韓投資は07年の9億9千万ドル(780億円)から2011年は22億8千万ドル(1790億円)に急増。

 ★2012年の経済目標:「庶民生活の安定」

 (李明博大統領新年演説(12年1月2日))

 @物価を3%台前半に抑制,A家賃価格の安定,B雇用の拡充を掲げ,成長率よりも物価に重点をおくことを表明。また,韓米FTAについて,雇用創出等の効果を強調し,中小企業が積極的に活用できるよう支援体制を構築することを表明した。

 ★2012年対外経済政策推進戦略(11年12月発表)

 FTA政策

 @東アジア経済統合への対応:韓中・韓日・韓中日FTAの推進条件の整備,TPP交渉の進捗状況フォローA新興国とのFTAネットワーク拡大:インドネシア,ベトナムとの交渉開始を推進B韓米・韓EUFTAの発効・履行

 その他の重要推進課題:中小企業の海外進出,サービス産業育成,新興国との経済協力,輸出金融の強化,外国人投資誘致,グリーン成長,G20,開発協力,KOTRA等の対外活動機関のインフラ強化

 ★その他の経済関連政策

 ・「第4次原子力振興総合計画」(2012年〜2016年)(11年11月発表)

 →電力の安定需給のため,今後5年間で原発6基を新設。原子力を韓国の代表的輸出産業として育成。

 (参考)2012年1月21日日韓原子力協定発効

 ・「国家エネルギー基本計画」(2008年〜2030年)(08年8月発表)

 →「低炭素,緑色成長」を具現し,緑色技術とクリーン・エネルギーにより新成長動力及び雇用を創出。

 →エネルギー効率を47%改善(年平均2.6%改善)し,2030年のエネルギー消費を当初予想より12.4%削減し,化石燃料への依存率を2006年82%から2030年61%に引き下げる。

 →「低炭素,緑色成長」に関する個別の政策:

 「グリーン・ニューディール事業推進方策」(09年1月発表):50兆ウォン投入。四大河川や緑色交通網の整備等。

 「緑色成長国家戦略及び5か年計画」(09年7月発表):107兆ウォン投入。2020年までに世界7大,2050年までに5大緑色強国入り目標。