2013年3月1日(金)

韓国の歴代政権と日本との関係

金泳三政権(1993−1997)VS宮沢政権(91年11月〜)―細川政権(93年8月〜)―村山政権(94年6月〜)―橋本政権(96年1月〜)
1993年 細川政権との間で「未来志向の日韓フォーラム」を創設
村山政権下の95年江藤隆美総務庁長官が「植民地時代に日本もよい事をした」と発言
金大統領が村山富市総理との会談を拒否。「今度こそ、日本の悪い癖をなおさせる」と発言
金大中政権(1998−2002年)VS橋本政権(96年1月〜)―小渕政権(98年7月〜)―森政権(00年4月)―小泉政権(01年4月〜)
1998年10月来日。植民地に関する発言をせず。小渕政権との間で21世紀に向けた日韓パートナーシップと題する共同宣言文を発表。天皇との会見では植民地問題について一切言及しなかった。01年4月小泉政権誕生。
01年4月に「新しい歴史教科書をつくる会」問題、8月に靖国参拝問題が発生。
盧武鉉政権(2003−2007年)VS小泉政権―安倍政権(06年9月〜)―福田政権(07年9月〜)
03年6月来日 過去の問題を一切言及せず。未来志向の関係を重視する共同声明を出す。
05年2月22日 島根県「竹島の日」制定。10月小泉総理の靖国参拝
「もうこれ以上、見過ごすことはできない。外交的に断固対処する」と発言。
日韓首脳会談を拒否。日韓シャトル外交も中止。
※盧武鉉の対日強硬発言(05年3月23日国民向け談話)
「これまでは政府間の葛藤を招く外交上の負担や経済に及ぼす影響を考慮し、何よりも未来志向の日韓関係を考えたために自制してきた。しかし、(日本から)返ってきたのは未来を全く考慮しないような日本の行動です。今はむしろ政府が前面に出なかったことが日本の慢心を招いたのではないかとの疑問が提起されている。これではだめだ。これから政府がやれることはすべてやる。まず外交的に断固対応する」
李明博大統領訪日発言(08年4月20−21日)
 福田康夫総理との首脳会談で日韓関係を一層成熟したパートーナシップ関係に拡大し、今後「日韓新時代」を具体化していくことを確認。※福田総理は李大統領の就任式(2月25日)に招待され、「シャトル首脳外交」の実施に合意していた。
▲歴史認識について
「政治家の発言に敏感に反応しない。政治家にはそれぞれの意見がある。歴史認識は日本の問題である。問題発言があったとしても謝罪を要求しない」
「私は日本に対してしょっちゅう謝れとは言わない。(日本が)心からの謝罪こそが真の謝罪で、嫌々ながらの謝罪は謝罪ではない。(過去の歴史認識問題について)遠くない歴史において心が傷ついたことがあったが過去に傷ついたことでもって未来は生きられない。過去は忘れることはできないが、過去にこだわっては今日、生きられないし、まして未来を生きることはできない。過去の政府と異なり、日本に対して他の要求はないが、経済協力を実質的に一層強化するつもりだ。日本経済人と会って、韓国企業との合作や進出について論じるつもりだ」(在日韓国人の歓迎レセプションで)
▲竹島(独島)問題で
4月に来日した際に福田総理との首脳会談で李大統領は「今後は過去にこだわることなく、日本とは未来志向の関係を進めたい」と述べ、また信任の駐日韓国大使も「これからは日本が何を言ってきても独島(竹島)は黙っておこう」と発言しました。これらの発言は日本では好感を持って受け止められ、日本での李明博政権の評判はとても良いです。
ところが、一連の対日発言が「李大統領は独島(竹島)を放棄した」と拡大解釈され、激しい批判を浴びる結果となりました。
5月19日
「日本側に速やかに問い質し、事実ならば是正を強く要求するように」
6月4日
「日本に対して過去を問わないとしたのは、自ら歴史を評価し、加害者が被害者に謝罪するのを願ったからだ。我々が『謝れ』『謝れ』とむりやりにやらす謝罪は100回聞いてもそれは真の謝罪ではない。世界第2位の強国である日本がこれからは被害国に対して行なうべき道理をやるべきとの立場からあえて過去にこだわって喧嘩するつもりはないということを言った。我々はそのような水準にある。日本もこれからは真の協力を通じて共同繁栄しなければならない位置にいる」
7月14日(日本が中学校社会科の新学習指導要領解説書に竹島を記載したことで)
「これは歴史問題であるだけでなく領土主権に関係したもので、紛争の対象になりえない。歴史を直視しながら未来志向的な韓日関係を構築していこうという両国首脳間の合意に照らし合わせ、深い失望と遺憾を表明せざるを得ない」
7月16日
「国民の怒りは当然だ。日本は長期的、戦略的に独島を紛争地域にしようとする意図の下でひとつひとつやっていることを念頭に置いて対応すべきだ。我々も短期的で臨機方便しきに対応するのではなく、戦略的次元から長期的暗黙をもって対応すべきだ。日本の独島領有権明記は国家的、超党派的に対応しなければならない。政治圏がこの問題を戦略的に対応すれば、国論分裂を招き、日本の意図にはまってしまう。独島に対する実効的支配を強化する措置とともに国際的広報活動を強化し、日本の歴史歪曲企図に積極的に対応しなければならない」

李大統領の任期中の8.15演説
 李明博政権(2008〜)VS(福田政権−麻生政権―鳩山政権―菅政権―野田政権)
2008年:日本に歴史を直視するよう要求
2009年:なし
2010年:管総理の談話に盛り込まれた植民地支配謝罪を評価し、具体的な取り組みを求める
2011年:日本に正しい歴史教育を求める。過去歴史反省を通じた未来の日韓関係を発展を呼びかける
2012年8月10日 李大大統領竹島上陸
2012年8月15日 「日本軍慰安婦被害者問題は人類の普遍的価値とただしい歴に反する行為である。戦時女性人権問題として日本政府に責任ある措置を求める」

日本国総理の謝罪発言
▽細川護煕首相発言
 1993年11月6日 慶州での日韓首脳会談
 わが国の植民地支配によって、朝鮮半島の人々が母国語教育の機会を奪われたり、姓名を日本式に改名させられたり、従軍慰安婦、徴用など耐え難い苦しみと悲しみを経験されたことに、加害者として心から反省し、深く陳謝したい。
▽村山富市首相談話
 1995年8月15日 戦後50年
 わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。
 敗戦の日から50周年を迎えた今日、わが国は、深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、それを通じて、平和の理念と民主主義とを押し広めていかなければなりません。同時に、わが国は、唯一の被爆国としての体験を踏まえて、核兵器の究極の廃絶を目指し、核不拡散体制の強化など、国際的な軍縮を積極的に推進していくことが肝要であります。これこそ、過去に対するつぐないとなり、犠牲となられた方々の御霊を鎮めるゆえんとなると、私は信じております。
▽日韓共同宣言(小渕恵三首相と金大中大統領)
 1998年10月8日 金大中訪日
 小渕首相は、わが国が過去の一時期、韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのおわびを述べた。
▽小泉純一郎首相談話
 2005年8月15日 戦後60年
 わが国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた。歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する。
▽菅首相談話
 2010年8月10日 日韓併合100年
本年は、日韓関係にとって大きな節目の年です。ちょうど百年前の8月、日韓併合条約が締結され、以後36年に及ぶ植民地支配が始まりました。三・一独立運動などの激しい抵抗にも示されたとおり、政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました。
 私は、歴史に対して誠実に向き合いたいと思います。歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたいと思います。痛みを与えた側は忘れやすく、与えられた側はそれを容易に忘れることは出来ないものです。この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明いたします。  
このような認識の下、これからの百年を見据え、未来志向の日韓関係を構築していきます。また、これまで行ってきたいわゆる在サハリン韓国人支援、朝鮮半島出身者の遺骨返還支援といった人道的な協力を今後とも誠実に実施していきます。さらに、日本が統治していた期間に朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌(ぎき)等の朝鮮半島由来の貴重な図書について、韓国の人々の期待に応えて近くこれらをお渡ししたいと思います。
日本と韓国は、二千年来の活発な文化の交流や人の往来を通じ、世界に誇る素晴らしい文化と伝統を深く共有しています。さらに、今日の両国の交流は極めて重層的かつ広範多岐にわたり、両国の国民が互いに抱く親近感と友情はかつてないほど強くなっております。
(新しい点)
 韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられた。
 日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌等の貴重な図書について、近くお渡ししたい。
 将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いた地域の平和と安定のために協力してリーダーシップを発揮する。
(過去の談話を踏襲した点)
 ・植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する。未来志向の日韓関係を構築していく。 
日韓両国は、今この21世紀において、民主主義や自由、市場経済といった価値を共有する最も重要で緊密な隣国同士となっています。それは、二国間関係にとどまらず、将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いたこの地域の平和と安定、世界経済の成長と発展、そして、核軍縮や気候変動、貧困や平和構築といった地球規模の課題まで、幅広く地域と世界の平和と繁栄のために協力してリーダーシップを発揮するパートナーの関係です。  私は、この大きな歴史の節目に、日韓両国の絆(きずな)がより深く、より固いものとなることを強く希求するとともに、両国間の未来をひらくために不断の努力を惜しまない決意を表明いたします。