2016年8月24日(水)

 その後の韓国「ロッテ・スキャンダル」の行方

逮捕、起訴されたロッテ創業者の長女・辛英子ロッテ奨学財団理事長


財閥5位のロッテグループの裏金捜査のため検察がロッテグループ本社と系列社30社に対して家宅捜査に入ってから2カ月以上が経過した。

▲日本に飛び火するか「ロッテ・スキャンダル」

この間、ロッテグループ創業者である申格浩(日本名:重光武雄)総括会長の長女、辛英子(シン・ヨンジャ)ロッテ奨学財団理事長が2012年から2014年まで「ホテルロッテ」免税店代表の座にあった際、ロッテ免税店出店に便宜を図り、化粧品会社や飲食店などから数十億ウォンを収賄した容疑で逮捕され、起訴されている。

韓国の「ロッテ・スキャンダル」でまた逮捕者が

また、「ロッテ物産」の奇浚(キ・ジュン)前社長も「KPケミカル」(現「ロッテケミカル」)の社長だった2006年に虚偽の会計資料を基に国を相手に税金還付訴訟を起こし、法人税や住民税など総額200億ウォンを騙し取った容疑で逮捕されている。この詐欺訴訟事件との関連では訴訟を指示したとの容疑で「ロッテケミカル」の許壽永(ホ・スヨン)現社長に逮捕令状が請求されている。

「ロッテケミカル」については日本側から原料を購入する過程で日本のロッテ系列社を間に入れ、巨額な手数料を手にしていたと検察では睨んでおり、この問題でも許社長を追及する構えだ。

この他に系列の不実会社への損失補填のため2010年から2015年まで4度にわたって360億ウォン規模の有償増資に「コリアセブン」が他の系列会社とともに参与し、会社に大きな損失をもたらしたとしてチョン・スンイン社長が参考人として検察に呼ばれ、事情聴取されている。

また、ロッテグループの主力系列会社「ロッテ建設」も下請け業者に工事代金を支払い、裏でキックバックさせる手口でここ数年間に数百億ウォンの裏金を造成した疑いで金致賢(キム・チヒョン)社長が検察に召還され、調査を受けている。金社長はロッテグループのコントロールタワーでもある政策本部運営室長を歴任した人物でもある。

この他に政策本部支援室長を長く務め、グループの「金庫番」の役割を担っていたとされる「ロッテカード」の蔡定秉(チェ・ジョンビョン)社長も検察の取り調べを受けているが、検察は一連の裏金造成疑惑のほかに辛総括会長が初代ミスロッテの徐美敬(ソ・ミギョン)第三夫人と娘の辛由美(シン・ユミ)ロッテホテル顧問らに日本ロッテホルディングスの株譲渡の過程で6000億ウォン相当の税金を脱漏した件でも政策本部が関与したとみて政策本部関係者ら3人を今週にも召還し、取り調べる方針だ。

召還されるのは「ロッテショッピング」政策本部長でもある李仁源(イ・インウォン)副会長と黄ガク圭(ファン・ガッキュ)政策本部運営室長、そして蘇鎮世(ソ・ジンセ)政策本部対外協力団長の3人で、いずれも辛東彬(日本名:重光昭夫)会長の側近である。

ロッテグループNo.2の李副会長は2011年に政策本部長に就任すると同時に副会長に就任した、ロッテ一族以外では一番高い地位に就いた最高幹部である。

「ロッテショッピング」の社長でもあるグループNo.3の黄運営室長は2006年に政策本部国際室長になり、グループの各種M&Aを主動し、2014年から政策本部運営室長として辛東彬会長を補佐。グループの政策方向を決定し、系列会社に指示するなどロッテグループ系列会社の管理を総括している。

さらに、「コリアセブン」の代表を経て、2014年8月から現職に就いている蘇対外協力団長は広報やCSR,ブランド経営や系列会社の対外業務を総括している。今月15日にすでに参考人として検察に召還され、「コリアセブン」の損失問題で取り調べを受けている。

検察は今後、6000億ウォンの脱税疑惑絡みで徐美敬第三夫人らを召喚し、その後に辛東彬会長に出頭を求め、「ロッテケミカル」の訴訟詐欺、日本の「ロッテ物産」を介在しての裏金疑惑や「コリアセブン」の系列会社の損失補填に辛東彬会長が関わっていないか、事情聴取する方針だ。また、日本ロッテホルディングスの家族間の株贈与に辛会長も無関係ではないとみて、この件でも取り調べるようだ。

検察が申格浩総括会長と辛東彬会長の自宅を6月10日に踏み込んでまで追及しているのはその裏金の行方である。

売上額が83兆ウォン、系列会社80社、国内で12万、海外で6万人、合わせて18万人の従業員を抱えるロッテグループのスキャンダルは今まさに、大詰めを迎えている。

「ロッテファミリースキャンダル」で次男・辛東彬会長に忍び寄る捜査の手