2016年10月10日(月)

 米原子力空母も参加した米韓合同海軍演習が始まった! 北朝鮮の反発は?

米韓海軍合同演習に参加する米原子力空母「ロナルド・レーガン」も参加する(左)


北朝鮮の中長距離弾道ミサイルの発射や6度目の核実験が取り沙汰されている最中、朝鮮半島有事に備えた米韓合同の海軍演習が今日(10日)から15日まで朝鮮半島沖で展開される。

(参考資料:米国が想定する北朝鮮の「核使用シナリオ」

演習エリアは当初、南海と西海(黄海)沖に限定されていたが、急遽東海(日本海)でも実施されることとなった。東海では先月(9月26日)にも北朝鮮の地上目標物を想定し、攻撃を加える演習が実施されたばかりだ。

先月の演習では米韓連合機動部隊が艦対地ミサイルなどで敵の地上標的を攻撃する訓練のほか、敵の潜水艦を識別し、追跡する対潜水艦訓練も合わせて行われた。

訓練には韓国軍のイージス駆逐艦「栗谷李珥」(7600トン)など水上艦3隻と潜水艦(1200トン)、対潜ヘリコプター「リンクス」、P3海上哨戒機それぞれ1機のほか、米軍のイージス駆逐艦「スプルーアンス」(9500トン)や海上哨戒機が参加していた。

今回の演習には水上艦や潜水艦数十隻が参加するが、注目は原子力空母「ロナルド・レーガン」が参加することだ。原子力空母の参加は、今年3月に「ジョン・C・ステニス」が釜山港に入港して以来、7か月ぶりだ。

今年3月の演習には「ジョン・C・ステニス」(全長333メートル、排水量10万3千トン)を旗艦として強襲揚陸艦「ボノム・リシャール」と「ボクサー」も加わった。米韓合同演習に4万トンを超える強襲揚陸艦2隻が同時に参加したのは今年が初めてだった。空母のような強襲上陸艦「ボノム・リシャール」(4万5千トン)にはオスプレイ、ハリア戦闘機、スーパーコブラへりなど航空機数十機が搭載されていた。

今回の演習に参加する「ロナルド・レーガン」(全長333メートル、排水量10万2千トン)も「ジョン・C・ステニス」同様にサッカー場3個分に相当する1千8百平方メートルの広さの甲板にF/A−18戦闘機、電子機EA−6B,空中早期警報器E−2Cなど80余機を搭載している。

また、今回の演習は韓国軍が北朝鮮の5度目の核実験(9月9日)後に公開した「大量懲罰報復(KMPR)」概念が初めて適用される。従って、訓練では海上から北朝鮮指導部を含む地上の核心施設を精密に打撃する訓練と、韓国に浸透する北朝鮮の潜水艦を撃沈する対潜訓練も実施される。「KMPR」は北朝鮮が核兵器で危害を加える場合、北朝鮮の戦争指導部を直接叩く報復体系である。

(参考資料:有事の際の米韓連合軍の「地上から平壌を完全に消す作戦」

米韓は3か月前にも海兵隊による合同訓練(6月27日〜7月14日)を慶尚北道の浦項で実施している。この訓練は朝鮮半島有事の際に北朝鮮の後方に浸透し、北朝鮮の核施設を破壊する訓練であった。この訓練には沖縄駐屯の米海兵隊500人も派遣されている。

米国は今年だけでB−52核戦略爆撃機,B−1B長距離爆撃機、F−22ステルス戦闘機、核潜水艦「ノースカロライナ号」、原子力空母などを朝鮮半島に急派しているが、北朝鮮は先月13日にB−1Bが飛来し、デモンストレーション飛行した際には「我々には戦略爆撃機を投入した米国の挑発に対抗するため新たな攻撃を開始する準備ができている」(李容浩外相)と反発していた。B−1Bは21日にも誘導爆弾で武装したまま軍事境界線の30km離れた京畿道の米軍ヨンピョン射撃場の上空を旋回している。

北朝鮮は一昨日「今月6日、7日にもB−1Bがグアム基地から飛んできた」として「我が軍隊は先制攻撃演習を傍観しない」と述べ、「好戦漢らの核先制打撃妄動をどのように粉砕するか、世界は目の当たりにするだろう」と、朝鮮中央放送は伝えていた。

(参考資料:「5015作戦計画」に対抗する北朝鮮の知られざる「7日戦争計画」