2016年9月12日(月)

 「大きな地震は起きない」の韓国の神話は崩れた

地震が発生した韓国の慶州エリア


韓国南部でマグニチュード5.1と5.8規模の地震が連続して発生した。震源地は韓国の古都として知られる慶州(慶尚北道)付近で、韓国気象庁によると、5.8は観測史上最大規模とのことである。

朝鮮半島ではめったに地震は起きない。ユーラシアプレート内部にある朝鮮半島はプレートの境にある日本や台湾に比べて地震は比較的に少ない。関東大震災が1923年に発生した時、日本が首都を東京から京城(ソウル)の竜山に移そうとした陸軍参謀部の極秘文書があると囁かれたほど「地震安全地帯」であった。そんなこともあって、「3.11」(東日本大震災)直後にいざという時の備えのため釜山や済州島の土地やマンションの購入に走った日本人がいたほどだ。

しかし、「韓国に地震はない」の神話は崩れた。韓国は決して安全地帯ではない。今回の慶州の地震はその証左である。確か、2か月前にも慶尚南道の蔚山近海で今回と同じマグニチュード5.0規模の強震が発生していた。原発地域での発生だけに不安が募ったのは言うまでもない。今回はその時よりもさらに規模が大きい。

韓国では室内で人々が感じるM3.0以上の地震は2000年以降、年平均8〜9回発生しているが、それ以上の規模の地震は発生してなかった。過去100年間で人命と財産被害をもたらすマグニチュード5規模の地震は4〜5回あったが、震源地は海底や山中であったりして、被害はほとんどゼロだったと言われている。

韓国の建設交通部が製作した「全国地震解明」によると、韓国で地震に最も弱い地域は慶尚北道の大邱だ。ソウルや首都圏は過去200年の間、地震活動は全くない。しかし、地盤が最も揺れる地域の順は大邱、清州、全州、釜山、ソウル、光州そして春川の順だ。ソウル市内で最も地震に弱い地域は漢江一帯だ。

仮にソウルでマグニチュード7の地震が発生すれば、死者は276万人に達すると、国民安全処(処は庁に該当)が作成した報告書「震災による社会・経済的被害予測モデル」は予測している。全国民(5160万人)の5.3%に当たる。経済損失は今年の予算(386兆7千億ウォン=約34兆5000億円)の7.4倍の2848兆ウォンに達するとされている。

北朝鮮で最も気になるのは、中国との国境にそびえる白頭山周辺である。2000年までは小さな地震が1か月に数回観測されていたが、2011年以降は多い月で300回以上。規模もマグニチュード3〜4に上がっている。地下から噴出しているマグマによるガスで山の樹木の枯れ死も確認されている。

白頭山は過去4回噴火している。最後に噴火したのが1925年である。近年中国の一部学者らが2014〜2015年頃に火山性地震が増加する可能性を提起したことで火山再噴火に対する関心が高まっている。

朝鮮半島唯一の活火山である白頭山の噴火が仮に現実となれば、韓国、日本への被害は想像を絶すると言われている。最悪の場合、噴火規模は欧州の空港を麻痺させたアイルランド火山噴火の1000倍と言われている。

アイスランドの火山灰は0.1平方キロメートルだが、白頭山では150平方キロメートルで、東京ドーム10万個分の量になるとみられている。噴火から3時間後にソウル、18時間後に東京に落塵する。2005年に撮られた映像から地下にマグマが溜まっていること、日本で大きな地震が起きた約20年以内に白頭山で群発が起きていることから要注意だ。

釜山大学研究チームが国民安全処に提出した報告書(「火山災害被害予測技術開発」)によれば「東側上空に気圧の谷がある状態で白頭山が噴火すれば、火山灰が北風に乗って韓国側に流入し、江原道に最大で10.3センチの火山灰が積もることをはじめ、済州、全羅南道、光州を除く韓国全域に少なくて数ミリから多くて数十ミリの火山灰が積もる。 農作物被害4兆5千億ウォンを含め11兆1895億ウォンの被害が発生する」と予測していた。

また、竹島(独島)への経由地である慶尚北道の鬱陵島ははるか昔に「死んだ」火山として知られているが、鬱陵島の地下に白頭山に劣らない巨大なマグマが存在する。国際科学ジャーナル「地球物理学研究:地球」最近号に掲載された論文によると、鬱陵島直下50キロメートルに幅300キロメートル、深さ100キロメートルの巨大な「マグマだまり」があることが確認されている。