2019年12月25日(水)

 日韓首脳会談は成功?失敗? 韓国メディアはどう伝えたのか?

1年3カ月ぶりの日韓首脳会談を前に握手する安倍総理と文大統領


 昨日(24日)、中国の成都で1年3カ月ぶりに開催された日韓首脳会談を韓国のメディアは一体、どのような見出しを掲げて一報を伝えたのだろうか?

 文在寅政権に批判的な三大保守紙をみると、代表的な「反文」で知られる大手紙「朝鮮日報」は「文大統領と安倍 徴用問題で平行線・・・合意文を出せず」と手厳しかった。記事の冒頭から「輸出規制など懸案を解く持続的な対話の必要性については共感したが、徴用賠償判決に関する異見で合意文を出せなかった」と過小評価。

 旧サムソン財閥系の「中央日報」は「韓日首脳『輸出規制・強制徴用平行線』・・・『対話で解決を』を4回強調」の見出しの下、物別れに終わった「前哨戦」の日韓外相会談でのやりとりまで伝えていた。

 「朝鮮日報」同様に「辛口」だったが、別の欄で「韓・日関係発展の第一歩 シャトル頂上外交復活、定例化を」との見出しの下、今回の首脳会談に関するシン・ガッス元駐日韓国大使の投稿を載せていた。

 シン元大使は「困難な状況下で開催された今回の首脳会談は首脳次元で両国関係の重要性を確認し、対話を通じて懸案の早期解決と関係改善を模索することで合意した点で非正常を正常化する貴重な機会を確保した。我々が求めた日本の輸出規制措置の原状回復を達成できなかったが、強制徴用問題の解決と事実上連結しており、一括解決が難しいことは予見できていた。去る20日、日本政府が規制対象の3品目のうちレジストを規制対象から除外する措置を取った事実は今後、局長級協議を通じて日本が提起する問題に根拠がないことが確認されればいずれ解決できることを示唆している」と、楽観的な見通しを示していた。

 「東亜日報」は「日本の輸出規制後初の公式会談『対話を通じた関係改善復元』の糸口」との見出しで「韓国大統領府は来年3月をデッドラインに設定しており、それまでに輸出規制が撤回されなければ、GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を延長できないとの立場で、このデッドラインについては日本もある程度認識しているのでは」との青瓦台の見方を伝えていた。

 一方、文政権に好意的なメディアとして知られる「ハンギョレ新聞」の見出しは「東亜日報」に近く「輸出規制・強制動員問題『対話通じて解決』の糸口を」、また「京郷新聞」も「文大統領『輸出規制を7月1日以前に』 安倍『当局間対話で解決しよう』」の見出しをそれぞれ掲げ、今後に期待を持たせるような取り上げ方だった。

 「ハンギョレ」は首脳会談で文大統領がGSOMIA延長条件について言及しながら日本に対して輸出規制の解除を求めたが、「安倍総理は即答を避けた」と報じていた。

 左右どちらもでない、中立系の「国民日報」は「『対話で解決』で共感したが、先は遠い日韓」、「世界日報」も「文と安倍『率直な対話』で共感・・・強制動員、GSOMIAは平行線」といずれも客観的に報じていたが、「ソウル新聞」は「韓日首脳『率直な対話』・・・輸出規制・強制徴用妥結せず」の見出しの記事の中で与野党スポークスマンの反応も載せていた。

 案の定、与党「共に民主党」は「両国懸案について率直な議論がなされ、両首脳が共に関係改善に向けて共感を形成したことの意味は大きい」と手放しで評価したのに対して野党「自由韓国党」は「新しいものは何もなかった。手ぶらで終わった」と酷評した。また第2野党の「明るい未来党」も「日本の一般的輸出規制に関する解決も、強制徴用問題に対する進展も、GSOMIA延長に関する協議もなかった」と批判した。

 この他に、経済紙では「毎日経済」が「韓日首脳 徴用問題で平行線・・安倍『韓国政府が解決策を示せ』」、「マネーツデイ」は「文―安倍『輸出規制・強制徴用速度戦』・・来年上半期に解決できるか」との見出しを掲げ、それぞれ首脳会談を分析していたが、「ソウル経済」は「韓日『対話の糸口』を掴んだが・・・輸出規制・GSOMIAのビッグディールはなかった」と、輸出規制の解除を期待していただけに落胆の色を隠してなかった。

 一方、TVは「KBS」が「韓日首脳、15カ月ぶりに『対話で解決しよう』・・・強制徴用立場の違いを確認」、「MBC」も「対話で解決『共感』・・・強制徴用は『立場に差』」と、それぞれ似たような見出し。

 「SBS」は「日韓首脳『対話で解決』共感 まだまだ峠が」と問題解決の困難さを伝えた半面、文政権寄りとみられている「JTBC」は「韓日首脳会談・・・『率直な対話で関係改善を』」と、今後に期待を持たせるような見出しを掲げて日韓首脳会談を速報で伝えていた。