2019年11月10日(日)

 任期折り返しでの文在寅大統領の「評価」は6人の歴代大統領の中では2位


 文在寅政権は11月9日に任期を折り返し、いよいよ後半に入った。任期は残り2年半となる。

 世論調査会社「コリア・リサーチ・センター」が韓国のMBC放送の依頼で11月7〜9日にかけて全国の有権者約1千人を対象に世論調査を実施したが、文大統領の国政運営について「評価する」が47.9%、「評価しない」が47.7%と伯仲。「評価」が僅かながら上回った。

  (参考資料:文在寅大統領の支持率上昇! 「支持」が「不支持」を逆転 )  

 「評価する」政策としては「福祉政策」が21%と、最も多い。続いて「積弊清算と権力機関の改革」が17.6%で、文大統領の支持率上昇に繋がっていた「南北関係」は悪化していることもあって15.7%に留まっている。

 逆に「評価しない」項目では「経済政策」が圧倒的に多く、30.8%。二番目にチョ・グク前法相をめぐる「人事」で15%。興味深いことに「南北関係」についても「評価しない」が12.4%もあった。これは、文政権の対北政策が融和的、「従北」であることによる。さらに、「評価しない」の4番目に「積弊清算と権力機関の改革」(10.2%)を挙げていたが、これは「清算」と「改革」が進んでいないことへの不満ではなく、度が過ぎるとの批判の声のようだ。

 また、任期後半の課題としては「経済活性化」を挙げた人が最も多く、48%。続いて「積弊清算と権力機関の改革」(19.3%)、「不動産価格の安定」(9.1%)の順になっている。

 政党支持率では、与党「共に民主党」が38.2%、野党「自由韓国党」が20.7%、革新系野党の「正義党」が7.8%、第二保守党の「正しい未来党」が6.3%と続いている。

 次期大統領候補の好感度では李洛淵首相が24.2%と、2位の「自由韓国党」の黄教安代表(10.7%)にダブルスコア以上の差を付けてトップを走っている。3位は与党系の李在明・京畿道知事(6%)で、これまで3位にランクされていたチョ・グク前法相は3%と、5位に陥落している。

 仮に、李首相と黄代表の対決となった場合、どちらを選ぶかとの設問には「李首相」と答えた人が48.4%と、24.6%の黄代表にこれまたダブルスコアの差を付けていた。

 一方、もう一つの世論調査会社「韓国ギャラップ」の調査(5−7日)では文大統領の支持率は「評価する」が45%、「評価しない」が47%と、逆に「評価しない」が2%上回っていた。

 但し、政党支持率と次期大統領の好感度では「コリア・リサーチ・センター」とほぼ同じ結果が出た。

 政党支持率では「共に民主党」が41%と、23%の「自由韓国党」を大きく上回っていた。(「正義党」7%、「正しい未来党」5%)

 次期大統領の好感度でも李洛淵総理が29%で1位。2位の黄教安代表(12%)を大きく引き離していた。3位が6%の李在明知事と安哲秀前「正しい未来党」共同代表で、続いてチョ・グク前法相(5%)と保守系の呉世勲前ソウル市長(5%)となっている。

 ちなみに直近の5人の歴代大統領の折り返し地点での「支持率」と比較すると、文大統領は6人中2番目に高い。以下はその順位である。(「韓国ギャラップ」参考)



 1位 李明博(2008年2月〜2013年2月)「評価する」49% 

 2位 文在寅(2017年5月〜2022年5月)「評価する」45% 

 3位 金大中(1998年2月〜2003年2月)「評価する」38% 

 4位 朴槿恵(2013年2月〜2017年3月)「評価する」36%

 5位 盧武鉉(2003年2月〜2008年2月)「評価する」34%

 6位 金泳三(1993年2月〜1998年2月)「評価する」28%

 過去の歴大統領はいずれも後半は支持率を落とし、レイムダックに入ってしまったが、文大統領も同じ道を歩むのか、それとも盛り返すのか、これからも世論調査から目が離せない。