2019年11月11日(月)

 左寄り」の金大中―文在寅大統領も「天皇」と呼称しているのに韓国メディアは「日王」と表記


 昨日行われた天皇陛下の即位に伴う「祝賀御列の儀」は韓国の新聞、TVでも取り上げられていたが、どの媒体も「天皇」ではなく、「日王」と表記していた。

 韓国の左派、進歩勢力から「親日」とみなされている「朝鮮日報」、「東亜日報」そして「中央日報」の大手三大保守紙の見出しも、記事の中身もいずれも「日王」の表記だった。

 「朝鮮日報」は「日王即位カーパレード・・・オープンカーで4.6km移動」の見出しを掲げ、「徳仁日王即位を祝賀するカーパレードが10日、東京で行われた。徳仁日王夫婦を見るため沿道に出ていた市民らは日章旗を振り、歓呼した」と伝えていた。

 ライバルの「東亜日報」の見出しは「29年ぶりの日王即位祝賀パレード」で、「東京で徳仁第126代日王の即位を祝賀するカーパレードが行われた」と書かれてある。

 「中央日報」は「ロールスロイスの代わりにセンチュリーに乗った日王夫婦」の見出しの下に「徳仁日王と雅子王妃が市民に手を振っていた」と伝えていた。

 また、「KBSTV」も「今世界は」の枠で「日王即位記念パレードに11万9千人が密集」との字幕とともに伝えていた。

 近隣諸国で「天皇」の称号を使わないのはおそらく韓国だけではないだろうか。中国でも、また、あの最たる「反日国家」の北朝鮮でさえ「天皇」が一般的だ。

 韓国では1998年に大統領に就任した金大中氏がこの年に「これから日本の国王を天皇」と呼ぶと発表し、物議をかもしたことがあった。

 金大中大統領は実際に任期中に「天皇」の呼称を通した。金大統領の決定を支持する人々は「天皇が日本では固有名詞となっているので、その通り呼称するのが礼儀でもあり、正しい」との意見だった。また、「中国や他の国々も天皇と呼んでいるのに韓国もそのようにしなければグローバル化に逆行する」との理由を挙げていた人々もいた。

 しかし、戦前(殖民地時代)を知っている老世代には「天皇陛下」という名は特別な響きを持っていたため「韓国が自ら進んで天皇の呼称を受け入れるのは時期尚早」との声も少なからずあった。右翼、左翼問わず「反日派」の中にはこの件で金大統領に「売国奴」「親日派」のレッテルを貼る輩もいた。

 しかし、金大中大統領は「過去にこだわっていればいつになっても日本との未来志向的で、建設的な関係を発展させることはできない。これからは過去の問題を持ち出さないようにしたい。 自分が責任を持つ」と言って、「反日派」の反対を押し切り、「天皇」の呼称を使用し続けた。

 実際にこの年の10月に来日した際には大方の予想に反し、天皇陛下との会見では植民地問題について一切言及せず、小渕恵三総理との首脳会談では「21世紀に向けた日韓パートナーシップ」と題する共同宣言文を発表した。

 今、日本で「反日」と称されている文在寅大統領もまた、今年4月に上皇陛下への書簡で謝意を表明したが、やはり「日王」ではなく「天皇」と表記していた。これには新天皇即位を機に、日韓関係の改善を模索しようとの思いが込められていたとの見方もある。ところが、韓国のメディアは今なお、不可解なことに「日王」の呼称に執拗にこだわっている。国民が直接選んだ国家元首である大統領が「天皇」と呼称しているのにそれを「日王」と表記するのは実に不可解極まりない。

 かつて金大中政権も、盧武鉉政権も良くも悪くも「第4の権力」と称される言論の改革を断行しようとしたことがあったが、猛烈な抵抗にあい、いずれも失敗に終わっている。

 保守勢力の抵抗の中、現在、検察の改革を推し進めている文在寅政権もまた、言論改革の必要性を強調しているが、上からの強制、押し付けではなく、韓国メディアが自ら改革することが何よりも求められるのではないだろうか。