2019年10月1日(火)

 韓国で囁かれる日本の「10月危機説」


 日本では輸出不振に加え、日本との経済摩擦で韓国の経済は一段と厳しくなり、「金融危機」を招いた1997年時同様に破綻するのではとの声も聞こえるが、逆に韓国では日本経済の「10月危機説」が取り沙汰されている。

 今朝の韓国産業通商資源部の発表では9月の韓国の輸出額(通関ベース)は447億1000万ドル(約4兆8300億円)で、前年同月比11.7%も減少していた。昨年12月以降、10カ月連続のマイナスである。

 他国の心配をしている場合ではないが、韓国のメディアは自分の国の台所事情よりも日本が消費税を8%から10%に引き上げたことを取り上げ、横並びで「10月危機説」を報じている。

 昨日(9月30日付)のインターネットメディア「eデイリー」は「日本、明日から消費税引き上げ・・・10月危機説は現実となるか?」との見出しを掲げ、消費税引き上げを前にネックレスやバッグなど高価品から冷蔵庫、洗濯機をはじめトイレットペーパなど日常品に至るまで「駆け込み需要」で一時的に消費熱が高まってはいるが、問題はその後であるとして、1989年4月に消費税を3%導入した以後、1994年4%、1997年5%、2014年8%と順次引き上げたが、その都度日本経済が衝撃を受けていたことをその根拠に挙げていた。

 米中貿易戦争などグローバルな景気下落の最中、日本経済を牽引してきたサービス部門での成長が停滞していることなどからしてマイナス成長になると予測し、「ブルームバーグがアナリストを対象に2019年4分期日本経済成長率を設問調査した結果、日本経済は2.7%マイナス成長するとの結果が出た」と伝えていた。

 前日(29日付)の「Mエコノミニュース」も「日本経済10月危機説 出口が見えないアベノミックス・・問題は円高」との見出しの記事を載せていたが、枕詞は以下のようになっていた。

 「日本経済危機の影が垂れ込む日本経済に『10月危機説』が持ち上がっている。我々の輸出孝子種目である半導体に狙いを定めた輸出規制を通じて韓国経済を崩壊させ、日本に屈服させようと自信感を見せていた日本経済にこのような危機が指摘される理由は円高にある」としている。急激な円高進行が「10月危機説」の原因との見方を取っていた。

 韓国で「10月危機説」が囁かれ始めたのは日本が韓国への輸出規制を強めた8月頃からで「MBCニュース」は「日本経済10月危機説…輸出規制緩和の可能性も」(8月16日)との見出しのニュースの中で「消費税が上がる度に日本経済は家計消費を中心に委縮してきた。輸出改善のためにも韓国に対する輸出規制を緩和する可能性も予想される」とのIBK投資証券関係者のコメントを掲載していた。

 また、「KBSニュース」も「韓国、日本にホワイト国除外で報復・・10月以降危機」(8月12日)との見出しを掲げ、「米中貿易摩擦に加え日韓摩擦の激化で日本で『10月危機説』が出ている」と伝えていた。

 先月も「ソウル経済」が「日本経済成長率0.5%下降・・アベノミックス10月危機説」(9月9日)と「10月危機」を取り上げていたばかりだった。

 そして、消費税10%がスタートした今日は「韓国経済テレビ」が「10月危機説は可視化されるか」(1日)と題して、韓国経済新聞論説委員が「10月危機説」について主に以下4つの根拠を挙げて解説していた。



 ▲米中貿易摩擦と日韓経済報復の影響による

 ▲時間が経つにつれての安倍政権の支持の低下による

 ▲3分期輸出が日韓摩擦と円高により減少した

 ▲米国が日本を為替操作国に指定する可能性がある


 解説者は結論として「安倍政権が2014年に消費税を上げた時、成長率が2013年の2%から2014年には0.4%にまで落ち込んだ」として「アベノミックス終了時点での消費税引き上げは致命傷となる」と結んでいた。