2019年10月20日(日)
「知日」イコール「親日」ではない! 「知日派」の韓国首相の訪日で日韓対立は解消!?
韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相が「即位礼正殿の儀」に出席するため22〜24日の日程で日本を訪問する。日本滞在中、安倍晋三総理との会談も検討されているようだ。
日本も、韓国も李首相を「知日派」とみなしている。新聞記者時代に東京特派員(1989年〜93年)のキャリアがあること、また国会議員の時に韓日議員連盟で社会文化分科会委員長(2004年)、副会長(2010年)、首席副会長(2012年)のポストにあったことからそうした見方が支配的だ。しかし、駐日特派員時代を知っている者としては、東京発で書かれた記事はどちらかと言えば批判的な記事が多かった。それもそのはずで、「従軍慰安婦問題」がクローズアップされ、日韓の政治懸案として浮上した時に特派員をしていたからに他ならない。
従って、「知日派」イコール「親日派」ではない。元ソウル特派員や韓国駐在外交官が必ずしも「親韓派」でないことと同じだ。相手を知り過ぎれば知り過ぎるほど嫌になり「反日」、「反韓」に転じた特派員や外交官は決して珍しくなく、逆に増えているのが実情である。
確かに、李首相は他の政治家に比べて特派員時代に4年間、日本に滞在していたことや韓日議連を通じて与野党問わず日本の政治家とコネがあること、「東亜日報」の姉妹紙である「朝日新聞」をはじめ日本のメディアとパイプがあることから「日本通」であることは疑いの余地はない。だからといって、「日本が好き」だとか、「日本寄り」ということにはならない。
日本の立場をある程度、知ってはいるものの日韓の懸案である元慰安婦や元徴用工の問題、さらには領土問題などでは他の韓国の政治家とは変わりはない。レーダー照射問題、ホワイト国除外問題、GSOMIA破棄の問題、旭日旗問題、日本海の東海併記問題、どれ一つとっても基本的なスタンス、認識は大小の差はあっても文大統領と同じだ。でなければ、文在寅大統領の下、首相は務まらない。
(参考資料:「韓国外相が国会答弁で語った日本との現状
)
今回、2泊3日の滞日中、日韓議員連盟の額賀福志郎会長のほか、政界では自民党と連立を組んでいる公明党の山口那津男代表、野党第一党の立憲民主党の枝野幸男代表のほか、親交のある森喜朗元総理らとも会う予定のようだ。また、経団連の中西宏明会長(日立製作所取締役会長)や日韓経済協会の佐々木幹夫会長(三菱商事特別顧問)ら経済団体の役員らとの会談もセットされていると伝えられているが、何と言っても、最大の焦点は安倍総理との会談にある。
李首相が文大統領の安倍総理宛の親書を携え、大統領特使として来日するならば、短時間であっても、安倍総理との会談は実現するだろう。問題は、その親書の中身である。
日韓関係の正常化には「国と国の約束を守ることが先決」との立場の安倍総理が文大統領との首脳会談に応じるかどうかは、まさにこの親書の中身次第と言っても過言ではない。
日本の企業に元徴用工らへの賠償を命じた韓国の最高裁判決を「国際法に反している」として、支払いを一切拒否している日本と「最高裁の判決を受け入れざるを得ない」として、日韓の企業が共同保障する案を提示している韓国との隔たりが果たして李首相の訪日で埋まるのか、内外の関心はこの一点に尽きるようだ。
(参考資料:「反日ムード」は下火へ! 「青瓦台国民請願」で同調が得られない「日本案件」
)