2019年10月3日(木)

 韓国外相が国会答弁で語った日本との現状

国連総会に出席した際の日韓外相会談(韓国外交部のホームページから)


 韓国の康京和外相は昨日(10月2日)、国会外交統一委員会の国政監査に出席し、日本との外交摩擦について議員らの質問について以下のような答弁を行った。事案別に整理すると;

 
 ▲旭日旗問題について

 過去に軍国主義と帝国主義の象徴になっていたものを平和の祭典となるべきオリンピックに使用するのは認められない。日本国内でも東京オリンピックに旭日旗を持ち込むことへの批判があると承知している。旭日旗は平和の祭典であるべきオリンピックで使用するには問題がある。IOC(国際五輪委員会)を通じて旭日旗が東京五輪に搬入、使用されないよう貫徹する。我が政府と立場を共にする諸国と共助していく。(共助対象の国については)明らかにするのは適切ではないが、大使館を通じて多様な立場が伝えられている。相当に共感している国もある。

 ※この問題では韓国国会が9月30日の本会議で「2020東京夏季オリンピックとパラリンピックに旭日旗の競技場内への搬入禁止措置を促す決議案」を議決しており、韓国文化体育部もすでにIOCに抗議書簡を送っているが、IOCは「問題が発生すれば事案別に判断する」と事前に規制する考えがないことを明かにしている。また橋本聖子五輪担当大臣も「旭日旗が政治的な意味での宣伝になるものではないと認識している」と述べ、旗の持ち込みは問題ないという認識を示している。

 
 ▲GSOMIA(日韓軍事情報保護協定)破棄について

 日本に対して相当な外交努力をやってきたつもりだが、日本は最後まで無回答、無視の反応だった。(韓国としては)韓・米・日同盟は結ばないが、安保協力をしないということではない。(GSOMIA終了決定は)国内の政治目的で決定したのではない。(第一次官がハリス駐韓米大使を外交部庁舎に呼んだことについて)随時に会う間柄だ。ハリス大使は次官との協議のため外交部にやってきた。いろいろな話をする中でGSOMIAの問題も時期的に話し合われたとの報告を受けている。

 ※昨日の北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル「北極星3号」の発射(2日午前7時11分頃)に関する韓国合同参謀本部の発表を韓国のメディアは午前7時30分頃に一斉に速報したが、日本は菅官房長官が発射から40分後の7時50分頃に緊急記者会見を開き「北朝鮮東岸より2発の弾道ミサイルが発射され、1発は島根県島後沖、日本海上の我が国のEEZ内に落下したものとみられる」と発表。ところが、韓国が「発射されたのが1発で、SLBM」と特定すると、4時間後の11時に「2発ではなく、1発」と修正。「分離して別々に落下したので2発発射されたようだと語った」と釈明したものの、防衛省は発射体については「分析中として」とSLBMとは断定しなかった。今回、日本は韓国に情報提供を求めてなかったことから韓国では日本はミサイル情報を早期に把握できなかったのではとみている。

 GSOMIAの件について鄭景斗国防部長官は同日行われた国会の国防部監査で「11月22日まで日本が前向きになりこれまで維持していた立場を変えて、我々と良い関係を維持することでGSOMIAも維持されればというのが私の思いである」と語っていた。

 
 ▲米国への仲裁依頼について

 米国に仲裁を求めたことはない。日本の輸出規制との関連では米国の積極的な役割を期待しているが、強制徴用判決の件で米国に仲裁を要請するとか、米国が積極的役割を行うような状況にはない。

 ※元徴用工問題では同日、国会行政安全委員会でも行政安全部への国政監査が行われ、▲日韓請求権資金で恩恵を受けた企業による財団設立など元徴用工への支援事業の迅速化▲元徴用工の遺骨返還▲元徴用工名簿の国家記録院や東北アジア歴史財団や独立記念館などでのデーターベース化などが取り上げられていた。

 
 ▲WTO(世界貿易機関)提訴について

 (日韓の間で)産業通産資源部課長級会議があり、WTO(世界貿易機関)に提訴したことについて協議時間と形態を調整しているところだ。協議が始まったことは肯定的に見ている。

 ※康外相は先月、国連総会に出席した際、茂木敏充外相と会談(9月26日)したが、韓国外交部によると、両外相は元徴用工問題と日本の輸出規制などの懸案について意見交換し、相互の立場を説明したとされている。また、未来志向的な日韓関係のため引き続き努力することの重要性について共感し、外相級を含めた外交当局レベルの意思疎通と協議を続けることで意見の一致を見たと発表している。