2020年4月29日(水)

 金正恩委員長の写真から「健康不安説」を検証する

2010年党代表者会と20年4月の党政治局会議での金委員長(筆者キャプチャー)


 ▲2010年9月28日

 労働党代表者会が2010年9月28日に開催され、中央委員、党軍事委員会副委員長に抜擢され、金正日総書記の後継者としてお披露目された。金正日総書記は前日の27日に朝鮮人民軍最高司令官命令で正恩氏を大将に昇進させることを発表していた。肩に大将を表す四つ星の軍服を着た金正恩委員長は約2年後の2012年7月には元帥に進級している。(※写真は朝鮮中央テレビから)

 ▲2012年7月6日

 政権発足から7か月後の2012年7月6日に行われた牡丹峰楽団のテスト公演に初めて夫人(李雪主)を同伴させ、夫婦揃って観覧した。同楽団は米国映画をバックスクリーンで流すなど異色の公演を披露しただけでなく、ディズニーのキャラクターそっくりの着ぐるみが登場し、話題をさらっていた。(※写真は朝鮮中央テレビから)

 ▲2014年10月13日

 2014年の年は9月3日からほぼ40日間にわたって公式の場に姿を現さなかったため「健康不安説」が流れたことがあった。この時も9月9日の建国記念日の式典も、25日に召集された最高人民会議も、10月10日の党創建日の参拝も欠席したことから大騒ぎとなった。10月13日に人工衛星の開発に関わる科学者用の住宅建設現場を視察したことで健在が確認されたが、不在中に公開された金正恩活動記録映画の中に金委員長が足を引きずっているシーンが流れ、ナレーターが「不便な体で」精力的に視察していると語っていたことから痛風を患い、その治療のため療養していたことが判明した。実際に、療養直後の視察では杖をついていた。(写真は※朝鮮中央テレビから)

 ▲2016年5月6日

 金正恩委員長が2016年5月に36年ぶりに開催された労働党大会にネクタイにスーツ姿で現れたことが話題となった。普段スーツ姿であっても、党大会には通常は、党服(人民服)に着替えて出てくるのが本来はあるべき姿だ。しかし、金委員長の場合は逆パターンだ。誰もが予想してなかっただけにその意外性が関心の的となった。金委員長はこの直後に禁煙を始めたが、3か月も続かなかった。(※写真は労働新聞から)

 ▲2018年6月12日 

 

 シンガポールで史上初の米朝首脳会談が2018年6月12日に開かれた。金委員長はトランプ大統領との単独会談の場で「全世界の人々が一つ知らなければならないのは私のテーブルの上にあった核ボタンが無くなったのはトランプ大統領のおかげである。全世界はこのことでトランプ大統領を尊敬しなければならない」と述べ、トランプ大統領を持ち上げた。上機嫌のトランプ大統領も「金委員長は繁栄に向けた歴史的人物として記される」と「お返し」をしたことで金委員長もまたご機嫌だった。(※写真は労働新聞から)

 ▲2020年2月16日

 金委員長は今年は4月15日の祖父・金日成主席生誕日での「参拝」はパスしたが、父親・金正日総書記の2月16日の誕生日に際しては遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿を「参拝」していた。随行した党幹部全員がオーバーやコートを脱いでいたにも関わらず、金委員長だけが皮のコートを脱がず、一礼していた。2012年に執権してからは1月1日の元旦と父の誕生日と祖父の誕生日は錦繍山太陽宮殿を「参拝」するのが慣例となっているが、コートを脱がなかったのは初めてで、異例のことだった。(※写真は労働新聞から)