2020年8月10日(月)

 どうにも止まらない文在寅大統領の支持率急落 政権与党「共に民主党」も落ち目!

文在寅大統領と与党「共に民主党」の李ヘチャン代表(青瓦台ホームページから)


 文在寅大統領の支持率下落にブレーキがかからない。

 韓国の世論調査会社「リアルメータ―」が実施した8月第1週(8月3−7日)の調査によると、文在寅大統領の支持率は43.9%と前週よりもさらに2.5%も下がった。逆に「支持しない」は3.0%アップの52.4%となった。「不支持」と「支持」の差は前週の3.0%から8.5%に広がった。

 積極的な新型コロナ感染症対策が評価され、5月第1週には71%まで跳ね上がっていた文大統領の支持率の下落は6月から始まり、6月第1週59.1%、同第2週58.2%、同第3週53.4%、同4週53.3%とダウンした。それでも50%台をキープしていたが、1か月前の7月の第1週には49.8%と、ついに50%を割り、以降48.7%(同第2週)、44.8%(同第3週)、44.4%(同第4週)と下がり続けた。先週(同第5週)は46.4%とやや上昇し、下落に歯止めがかかったかに見えたが、今回再び下降してしまった。

 下落要因は6月の時点では北朝鮮による開城の南北共同連絡事務所の爆破に象徴される南北関係の悪化、元慰安婦による「共に民主党」の尹美香議員及び慰安婦被害者支援団体「正義連」に対する告発、文大統領の対米外交を暴露したボルドン回想録の影響などが災いしていたが、7月に入ってからの低落は「共に民主党」系の朴元淳ソウル市長のセクハラ事件に加えて、高騰を続ける不動産問題の無策への国民の不満、反発が大きな要因となっている。実際に文大統領を評価しない理由として「効果のない不動産対策」を挙げた人が最も多かった。

 文在寅政権にとって深刻なのは文大統領の支持層とみられていた進歩層及び30代の離反である。また文大統領を支える政権与党「共に民主党」も枕を並べて支持率を落としていることも頭の痛い問題である。

 文大統領の「コンクリート層」と評される進歩層では支持は76.1%から71.4%に、30代では53.3%から47.3%に大幅下落していた。また、与党が圧勝した4月の総選挙で与党に票を入れた中間層は今回の調査の結果、「文大統領を支持しない」が59.8%に達していたことがわかった。大統領秘書室長を筆頭に首席秘書官ら5人が辞表を出さざるを得なかったのも文大統領の支持率急落が一因となっているようだ。

 一方、7月の第2週(6−8日)調査では40.9%もあった与党「共に民主党」は今回の調査では前週(7月第5週)よりも3.2%も減らし、35.1%。これに対して野党第1党の「未来統合党」は2.9%を上昇し、34.6%。その差はほとんどなく、支持政党でも与野党逆転は時間の問題となった。

 与党の支持率下落は、総選挙で圧勝したことによる驕りや、数で押し通す非民主的な国会運営、さらには文政権に従わない検察首脳への威圧的な言動などが要因となっているが、特に不動産の高騰を抑制するために政権与党としての責任を果たしていないどころか、与党内に不動産を幾つも持っている議員が多数いることが明るみに出て国民の反感を買っていることにある。