2020年12月22日(火)

 支持率急落の日韓首脳 どちらが先にV字回復できるか!

菅義人総理と文在寅大統領(筆者キャプチャー)


 何かと粗利の合わない菅義人総理と文在寅大統領だが、奇しくも共に枕を並べて支持率が急落している。

 直近の菅義偉総理の支持率は最も低いのがANN(19−20日)の世論調査で38.4%。続いて朝日新聞(19―20日)の39%、毎日新聞(12日)の40%、NHK(11ー13日)の42%となっている。ANNと毎日新聞の調査では支持率と不支持率が逆転していた。総理就任からまだ3か月しか経っていない。

 およそ2か月前の菅総理の支持率は53%(朝日新聞)、55%(NHK)、57%(テレビ朝日)と平均して55%前後もあった。「共同通信」の調査では60.5%もあった。かなりの落ち込みである。

 一方、文在寅大統領はどうか?

 直近の世論調査会社「リアルメータ」(14−16)の調査では38.2%、「韓国ギャラップ」(15〜17日)の調査では40%となっている。一時は36.7%(「リアルメータ―」)まで下がったこともあった。菅総理と似たり寄ったりである。

 文大統領も2か月前は45.8%(「リアルメータ―」)から47%(「韓国ギャラップ」)もあった。この時点から約7ポイントも下げている。7月の第1週に49.8%と、50%台を割ってから50%台を回復できず、常に「不支持」が「支持」を上回っている状態が続いている。

 韓国の場合は、40%を割れば「黄色信号」が、30%前半にまで落ち込めば「赤信号」が灯り、20%台で「死に体」(レイムダック)となる。そのことは、直近の3人の大統領のケースからも窺い知ることができる。

 文大統領の先輩にあたる盧武鉉大統領(2003―08年)の任期最後の年は27%、後任の李明博大統領(2008年―13年)も24%で任期を終えていた。二人とも有終の美を飾ることができなかった。

 文大統領の前任者の朴槿恵大統領(2013年−17年)に至っては「崔順実スキャンダル」に見舞われながらも保守層のボーダーラインである30%台をキープしていたが、最後は力尽き、何と10%まで落ち込み、任期途中で弾劾、罷免されてしまった。

 日本の場合、メディアによって危険水準の基準は様々だが、菅総理の場合はそれでも安倍前総理の5月時の調査結果に比べればまだましなほうだ。当時の安倍前総理の支持率は「朝日新聞」の調査(5月23−24日)では29%(「不支持」47%)、NHKの調査(5月15−17日)では37%(「不支持」45%)に下落していたからだ。

 それでも、安倍前総理は辞意表明時には病気で辞任したことへの「同情」や「餞別」の意味もあってか、支持率は共同通信の調査(8月29−30日)で56.9%、読売新聞の調査(9月4−6日)でも52%もあった。朝日新聞(9月2−3日)の調査に至っては安倍前総理を「評価する」が71%もあった。

 菅総理は何よりも「コロナ対策」が、文大統領は主に「不動産対策」が支持率急落の原因となっているが、いずれも至急に解決できる問題ではない。それでも、両首脳ともなんとかしなければならない切羽詰まった事情がある。

 菅総理は自民党総裁としての任期は来年9月までなのでそれまでの間に支持率を回復させて、総選挙に打って出て、勝利をおさめ、引き継続き政権を維持したいところである。

 文大統領も任期は再来年の5月までだが、来年9月に与野党の次期大統領候補が決まれば、その瞬間から自動的にレイムダックに入ってしまう。何よりも与党候補に進歩・左派政権を継承させるには大統領選挙の前哨戦とされる3月のソウルと釜山の2大市長選挙に必勝しなければならない。

 日韓両首脳共に同じ悩みを抱えているが、どちらが先に支持率をV字回復できるのか、この勝負もまた見物である。