2020年3月16日(月)

 韓国の「新型コロナ感染」は日本よりも先に終息する?

韓国「新型コロナ」対策本部会議(出所:韓国対策本部)


 韓国の中央防疫対策本部が午前10時に発表した韓国国内の感染状況に関する統計をみると、新型コロナウイルス感染者は前日よりも74人増え、累計で8236人に達した。中国(8万860人)、イタリア(2万4747人)、イラン(1万3938人)に続き、世界で4番目に多いが、一日の増加率は前日の76人に続いて2日連続で二桁に留まった。

 新規感染者74人のうち46人までが首都圏の京畿道城南市にある100人の信者しかいないプロテスタント系の「恵みの川教会」で発生している。京畿道の知事が宗教団体に各種集会や礼拝の自制を求めていたが、この教会は無視して3月1日と8日、15日と日曜礼拝を行っていた。

 死亡者は1人(慶尚北道在住の82歳の女性)増え、76人となったが、中国(3213人)、イタリア(1809人)、イラン(724人)を除けば、195人のスペイン(感染者7753人)や127人のフランス(感染者5423人)よりも少ない。感染者対比による致死率は0.92である。

 感染者の数ではクルーズ船感染者を含めた1514人の日本よりも韓国は5.3倍も多い。日本の国内感染者(817人)だけに限ると、約10倍も多い。また、死亡者も日本(クルーズ船の7人を含め31人)よりも2.4倍も多い。

 しかし、韓国は感染者増加の推移をみると、明らかに下降線を辿っている。

  (参考資料:「イタリア式か、韓国式か」 米議会で議論された感染対策法 )    

 韓国での一日の感染者数は2月29日が最も多く909人。以降、3月1日595人、2日=686人、3日=600人、4日=516人、5日=438人、6日=518人、7日=483人、8日=367人、9日=248人、10日=131人と、100人台まで下落し、11日に一旦242人と上昇したものの翌12日は114人、13日も110人と再び100人台をキープし、昨日(15日)は76人と、二桁まで減少した。一日二桁の感染者は21日(74人)以来で、23日ぶりである。

 韓国の感染者の急増は大邱市の教会で発生した集団感染によるところが大きい。大邱市(6060人)だけで全体の73.7%を占めているが、その大邱市は3月28日までの2週間を早期終息のための市民運動期間に設定し、「感染者を一桁にする」ことをモットーに期間中に市民に外出や移動、集合や集会を控えさせる一方で、カラオケ、多種目的施設の利用を一時中断し、防疫に力量を集中させてきた。

 その結果、大邱市でも2月29日の741人をピークに3月1日=514人、4日=405人、5日=321人、8日=297人、9日=190人とずっと三桁の感染者を出していたが、10日=92人、12日=73人、13日=61人、14日=62人、15日=41人と、10日以降は二桁に落ちている。15日の41人は2月21日(50人)以来、最小の増加率である。

 また、完治し、退院した患者は前日よりも303人増え、1137人となった。日本はクルーズ船乗客456人を含め600人(15日午前10時現在)なので日本の約2倍だ。

 大邱市の完治・退院者も3月12日には99人となり、初めて感染者(73人)を上回った。以降、14日は感染者62人に対して完治者106人、15日も感染者41人に対して完治者67人と、感染者と完治者の逆転状況が続いている。

 しかし、韓国ではこのまま終息の方向に向うとの楽観論は少ない。今後も多くの地域、とりわけコールセンターなど感染に脆弱な場所などで増加する可能性があるとみている。集合、集会など社会的自粛、自制に限界があること、感染がパンデミック(世界的大流行)となった今、欧州など海外から流入するリスクが高いこと、何よりも強力な感染力を持つ新型コロナウイルスの特性上、終息は現実的に困難との見方が支配的だ。

 このまま防疫管理を徹底させれば、5月から6月までに感染者を一日に20人前後までコントロールはできるが、完全な終息宣言は容易ではないとの見方が広がっている。

  (参考資料:「新型コロナウイルス感染」に関する日韓両国の現状を徹底比較! )