2020年3月19日(木)

 20代の感染者は日本の69人に対して韓国は2301人! PCR検査数の差か?

電話ボックスのようなブースでのPCR検査(出所:ソウルのヤンジ病院)


 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3月16日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を抑え込むには各国による検査体制の強化が必要であることを強調していた。

 「一に検査、二に検査、三に検査」の理由について「目隠ししながら火を消すことはできない。誰が感染しているのかわからずにこのパンデミックを止めることはできない。疑わしいケースはすべて検査して欲しい」と述べていた。

 テドロス事務局長があえて言うまでもなく、検査をしない限り、新型コロナウイルスに感染しているのか、していないのかわかりようがない。興味深いのは、医療システムが発達している先進諸国ほど感染者が急増していることだ。

 例えば、19日午前10時基準でG7のうちカナダ(感染者727人)を除く、イタリア(3万5713人)、スペイン(1万4769人)、ドイツ(1万2327人)、フランス(9134人)、米国(9041人)英国(2626人)の5か国は4桁もしくは4桁以上の感染者を出している。当然だ。検査が徹底的に行っているからだ。

 G7以外でもスペイン(1万4769人)、スイス(3115人)、オランダ(2051人)、オーストリア(1646人)、ノルウェー(1589人)、ベルギー(1486人)、スウエーデン(1292人)、デンマーク(1117人)などEU諸国はいずれも日本(921人=国内感染者)を上回っている。

 韓国は経済的には日本に劣っているが、医療システムでは日本に引けを取らない。米国のシンクタンク「核脅威防止構想」と「ジョーンズホプキンス保健安保センター」が昨年10月に共同発表した「2019世界保健安保指数」では世界195カ国中、韓国は9位を占め、感染病対応準備が最も優れた13カ国の中に含まれていた。その韓国も案の定、8565人の感染者を出している。日本の9.3倍だ。

 PCR検査の件数を比較すると、日本は3月17日基準で3万4922人に検査を実施しているが、韓国は自動車に乗ったまま検査を受けるドライブスルー(乗車検診)を導入したこともあって28万6716人に対して行われている。日本の約8倍だ。韓国では一日1万から1万3千件PCR検査を行っているが、日本は3月10日の1884件が過去最大である。

  (参考資料:韓国が日本より感染者が10倍も多いのは集団感染の数と規模が原因

 安倍総理が言うように確かに人口比率からみると、1万人に当りの感染者数ではイタリア(人口約6千万人)は4.64人、韓国(約5千万人)は1.60人。両国に比べて日本(1億2千万人)は0.07(16日現在)と比較にならないぐらい少ない。しかし、感染者数と死亡者数の比率で致死率をみると、日本は韓国よりも高い。

 日本(感染者921人)は死亡者32人(クルーズ船の7人を除く)なので28人うち1人の死亡者を出している。一方の韓国は8565人の感染者に対して死亡者は92人。従って、感染者93人に死亡者1人の割合だ。

 3月18日時点で感染者が一番多い北海道はこれまでに1587人に検査が行われた結果、154人の陽性者が判明した。2番目に多い愛知では847人が(3月16日時点)検査対象となり、130人が感染していたことがわかった。3番目に多い首都・東京も1743人に対して検査が行われた結果、117人が感染していた。PCR検査数からして感染者数が多いのは韓国と異なり、感染している可能性が高い、もしくは疑いのある対象者を選別、あるいは限定して検査を行っているからなのだろう。

 しかし、韓国は日本以外の他の国に比べても死亡率は低い。イタリア(感染者3万5713人)の死亡者数は2978人なので12人に1人、スペインは感染者1万4769人に対して死亡者638人なので23人に1人、フランス(感染者9134人、死亡者264人)は34人に1人、そして9041人の感染者を出している米国は死亡者が146人なので61人に1人の割合だ。

 韓国が他の先進諸国に比べて致死率が低いのは、高齢者に感染させ、重症化させるリスクの高い若い世代の感染拡大を阻止するため早期に発見し、隔離、治療に専念していることも一因だ。

 3月18日時点で、両国の感染者を年齢別でみると、日本は50代が一番多く、169人。次に60代(142人)。以下、40代(128人)、70代(102人)、30代(96人)、80代(63人)、20代(69人)、10代(8人)、10歳以下(17人)、90代(6人)の順になっている。(非公表8人を除く)

 一方、韓国は20代がトップで2301人。全感染者の28.2%を占めている。次に50代で、19.2%の1568人。以下、40代(1141人)、60代(1012人)、30代(842人)、70代(525人)、10代(427人)、80歳以上(263人)、10歳未満(83人)となっている。

 20代の感染者数が69人対2301人というギャップこそがまさに両国のPCR検査対象、範囲の違いを表しているような気がしてならない。

  ▲(参考資料:「新型コロナウイルス感染」に関する日韓両国の現状を徹底比較! )