2020年5月11日(月)

 東京は大丈夫か!? ソウルの死亡者2人に東京は180人!

 収まりつつあった韓国で想定されていたとは言え、再び新型コロナウイルスの感染を拡大させてしまったことから韓国政府も偉そうなことは言えないが、日本政府の「コロナ対策」を評価している人が結構いることが10日に公表された共同通信の世論調査でわかった。「評価しない」の57.5%に対して「評価する」が意外にも34.1%もいた。

 「うまくやっている」あるいは「うまくいっている」と評価している理由は「医療崩壊を招いていない」とか、「都市も封鎖されていない」とか様々だと思うが、おそらく評価の基準として「人口10万人あたりの死亡者数が少ない」ことを挙げる人は少なくはないだろう。

 前回(5月5日)の拙稿(「日本は人口10万人あたりの死亡者数は少ない」は本当!?)でも指摘したが、8万人以上の死亡者を出した米国を筆頭に数万人の死亡者を出してしまったスペイン、イタリア、英国、フランスなど欧州主要国を含めブラジル(1万656人)、イラン(6589人)、カナダ(4693人)、トルコ(3739人)など日本とは比較にならないほど死亡者数が多い国々(27か国)と比べると「うまくいっている」との結論に達するようだ。胸をなでおろしたい気持ちはわかる。しかし、日本が比較したがらない韓国と比べると、人口10万人あたりの死亡者数は日本のほうが高いのである。

 死亡者数は5月10日現在、日本は633人。クルーズ船の13人を含めると646人。これに対して韓国は256人である。人口は韓国の5178万人に対して日本は1億2647万人と、韓国の倍以上だが、10万人あたりの死亡者は僅かながら韓国のほうが下回っている。韓国と比較すれば、日本はうまくいってないことになる。もちろん「韓国とそれほど変わらないのならばうまくいっているほうだ」と思っているならば話は別だ。

 一般的に知られてないが、日韓の致死率が逆転したのは一昨日(9日)からだ。今後、死者が1人〜2人(ゼロの日もある)しか出ていない韓国に比べて日本は日々二桁を出しているのでどこかで歯止めをかけなければこの差はさらに拡大することになるだろう。

 特に、心配なのは東京だ。

 東京の感染者は4869人と、全国感染者(1万5777人)の約3分の1弱を占めている。一方ソウルは683人と、全国感染者(1万909人)の約16分の1程度である。人口約1千万人のソウルに対して東京は約1千395万人と4百万人ほど多いが、感染者数では東京はソウルよりも7倍も多い。PCR検査数ではソウルよりも10分の1も少ないのにである。

 肝心の死亡者数では全国(624人)の28.8%占めている東京が180人なのに対してソウルは僅か2人である。どう見ても、東京に限っては「人口10万人あたりの死亡者数は少ない」とは言えないだろう。

 但し、韓国第3の都市・大邱と比べると、東京はまだましなほうと言える。

 大量の集団感染を引き起こした大邱市の感染者数は全感染者の63%を占める6861人、死亡者は174人。東京は大邱よりも感染者数で約2千人も少ないし、死亡者数は変わらない。東京が大邱市(人口250万人)よりも人口が5倍以上であることを考えると、東京はうまくいっていることになる。

 比較の対象次第で評価は異なることがわかるだろう。比較するならば、うまくいっている対象を引き合いに出して、教訓を学び、努力をしなければいつまで経っても良くはならないだろう。

  (参考資料:「人口10万人あたりの死亡者数は日本は少ない」は本当!?