2020年5月13日(水)

 いつまで続けるの?韓国の「日本製品不買運動」の現状

「日本車に乗れば売国奴とみなす」の横断幕(旅行者からの提供)


 新型コロナウイルスの感染拡大影響でどの国も経済疲弊が危惧されているが、日本にとっては気になるのは日本の輸出厳格化措置に反発して昨年7月から始まった韓国の日本製品不買運動の行方である。

 不買運動を主導している「安倍糾弾市民行動」など市民団体は日本の輸出規制が解除されない限り、不買運動を続ける方針のようだが、韓国関税庁によると、確かに1月の日本産消費財輸入額は1億9368万ドルと、昨年同月よりも35.9%も減少していた。全体の消費財輸入規模が前年対比8.9%の減少で留まっていたことを考えると、「日本産」の減少幅が著しいことがわかる。しかし、先週(5月5日)公表された韓国関税庁の貿易統計によると、一部の日本製品の輸入が増加していることがわかった。

  (参考資料:「新型コロナウイルス」が韓国の「No!ジャパン運動」を直撃

 昨年不買運動の影響をもろに受けたのはビール、タバコ、酒、化粧品、ボールペン、ゴルフ用品、醤油などだが、ゴルフ用品、ボールペン、化粧品、醤油などは不買運動前の状態に戻っている。

 例えば、ゴルフ用品 は不買運動前の昨年1月の時点では外国からの輸入用品のうち70%は日本からで、金額にすると、およそ1、757万ドルもあった。今年3月の基準では日本のゴルフ用品は76%に増え、金額も2,477万ドルとむしろ以前よりも増えている。

 ボールペン も昨年11月の117万7千ドルから今年2月には約3倍に近い314万9千ドルまで伸ばしている。不買運動が始まる前の昨年6月は239万ドルだったわけだから75万9千ドルも増えたことになる。韓国は例年3月から新学期が始まるので輸入が伸びたようだ。

 もう一つ回復傾向にあるのが日本の化粧品 だ。昨年11月には輸入額が約781万ドルまで落ち込んだが、今年2月には約1,303万ドルの水準まで回復していた。

 ビールと日本酒も徐々にではあるが、増加傾向にある。

 韓国では外国産ビールの販売量としては2009年から10年間もトップの座にあった日本のビール は昨年9月の輸入額は9千ドルの水準まで減少し、10月は1999年6月以来20年ぶりにゼロを記録していた。しかし、今年1月には12万6千ドル、2月には26万4千ドル、3月には約64万8千ドルまで輸入が増えている。

 日本酒 も昨年は40万ドルまで落ち込んだが、今年2月には約94万ドルに跳ね上がっていた。但し、3月は新型コロナウイルスの影響で再び約62万7千ドルと、再び下降した。

 「日本製」の中で一向に不振なのが日本車 で外国自動車輸入協会が今月11日に発表した統計によると、4月の日本車販売は1259台と、昨年よりも64.4%も減少した。先月の韓国の外車輸入が2万2945台と前年よりも26%増えている実情を考えると、日本車だけが伸び悩んでいることがわかる。

 韓国国民の多くは日本製品不買運動に賛同しているが、是非をめぐる論争がないわけではない。

  (参考資料:「GSOMIA破棄」が52% 「日本不買運動参加」が77%!韓国の最新世論調査結果

 賛成派は「自発的な不買運動は消費者の自由であり、権利である。日本製品不買運動は我が国の経済と産業を守る行為である」とか、「不買運動は日本経済を効果的に圧迫している。日本政府の態度を変えるには不買運動を続けるべきだ」と主張しているが、反対派は「不買運動に参加しないのも個人の自由だし、権利である。日本製品不買運動に参加することが正義である主張するのは望ましくない」と声を上げ、さらに「日本製品不買運動で韓日貿易秩序が崩れており、日本を相手に取引をしている韓国企業に被害を与えているのは大いに問題である」と反論している。

 韓国社会がいつまで「日本製品不買運動」を続けるのかは定かではないが、事実上形骸化しているのに等しい兆候も幾つかみられる。

 新型コロナウイルスの拡大を阻止するため取っていた「ソーシャル・ディスタンス」の措置が緩和されると、大型のスーパーを中心にユニクロ商品を求める客が増えていることや任天堂の代表的なゲーム「あつまれ どうぶつの森」の予約販売が始まった3月13日に販売所のウエブサイトに申し込みが殺到し、発売日の20日は数千人が押しかけ、子供の日(5日)には全国の販売店の前に行列までできていた。

  (参考資料:韓国の総選挙は「日韓戦」?「中韓戦」? 「親中」の与党対「親日」の野党の場外戦へ!