2020年5月21日(木)

 支持率30%台の安倍総理に60%台の文大統領 検察庁法改正と検察改革の差?

 韓国で総選挙(4月15日)が行われる直前(4月13日)に「支持率下落の安倍総理に上昇の文大統領 「コロナ対策」で明暗分かれる!?」との見出しの記事を掲載したが、この時の安倍政権の支持率は下落傾向にあったもののそれでも40%はあった。では1か月以上経った現状はどうか?

  (参考資料:支持率下落の安倍総理に上昇の文大統領 「コロナ対策」で明暗分かれる!?

 NHKの調査(5月15−17日)では「支持」37%、「不支持」45%、「朝日新聞」の調査(5月16−17日)では「支持」33%、「不支持」47%と、30%台に下落してしまっている。

 一方の、文在寅大統領の支持率はどうか?

 世論調査専門機関「リアルメータ」が韓国の「TBS放送」の依頼を受け5月18から20日にかけて全国の有権者約1500人を対象に実施した調査によれば、文在寅大統領の支持率は前週よりも0.9%上昇の62.6%。5週連続で60台をキープしている。「不支持」は31.9%と前週よりも1.2ポイント減少している。

 文大統領の支持率は3月の第2週の時点では「不支持」49.1%、「支持」47.2%と「不支持」が上回っていた。逆転したのは、翌週(3月の第3週)からで「不支持」47.9%に対して「支持」が49.3%と上昇した。与党民主党が圧勝した総選挙(国会議員選挙)の時は「支持」58.3%、「不支持」37.6%と約20ポイントも差が開いていた。

 文大統領は5月10日に大統領就任3年目を迎えたが、「リアルメータ」が「YTNTV」の依頼を受けて実施した調査(5月11日)によると、「保健・福祉」政策が最も高く評価されていた。続いて評価の対象となったのが「統一・外交・安保」と「検察改革」で、逆に「経済と雇用」及び「不動産価格の安定」は低い評価となっていた。

  (参考資料:マスク対策でも1世帯に2枚の日本 1人に週3枚の韓国

 この調査では文大統領に「残り2年の任期で期待する分野」についても設問していたが、47.8%が「経済」と回答。続いて「検察改革」(25.2%)、「不動産の安定」(10.6%)、「統一・外交・安保」(7.4%)、「保健・福祉」(3.4%)となっていた。

 「リアルメータ」はまた、韓国政府が新型コロナウイルス感染症対策として全国民に緊急災難支援金を行ったことについても「オーマイニュース」の依頼を受け5月19日に調査を実施したが、国民の71.9%が「家計の助けとなる」と評価し、「助けにはならない」(25.6%)を大きく上回った。

 年齢別では30代と40代が76.1%、75.2%と最も高く評価しており、60代も71.5%と高評価だった。最も低い評価は20代でそれでも69.4%と、50%を大きく上回っていた。

 職業別の評価順では事務職(78.0%)、労働職(76.1%)、学生(77.3%)、自営業(64.4%)、家庭主婦(63.9%)となっている。

 なお、「リアルメータ」は「TBS放送」の依頼による調査を行った際に電話、インターネットを利用した非対面または遠隔治療の導入に関する賛否も質していたが、43.8%が導入に賛成したものの過半数には届かなかった。導入反対(26.9%)に加え「わからない」も29.3%もあった。

 「賛成」の理由は「医療産業の活性化につながる」「診療接近性が良くなる」というもので、「反対」の理由は「誤診の可能性がある」「大病院の独占が強まる」というもの。年齢別では若い層ほど導入に積極的で、18歳から29歳までは52.5%が導入に賛成していた。

 安倍総理の支持率低下の要因については「新型コロナ対策」をめぐる国民の不満などもあるが、検察庁法改正の国民の反発を買ったことも大きいと言える。

 検察改革で支持率が上昇した文大統領に対して安倍総理は逆に検察庁法改正で支持率を落としてしまった。なんとも皮肉なことだ。

  (参考資料:「未曾有の災難」に見舞われても変わらない日韓関係