2020年10月5日(月)

 北朝鮮は「バイデンよりもトランプ」 オバマ前政権の「二の舞」はNO!

 米大統領選挙はトランプ大統領が1回目のテレビ討論で支持率を下げたことや新型コロナウイルスに感染したことで批判にさらされていることから民主党のバイデン候補の優勢が伝えられているが、誰よりもトランプの再選を願っているのは他ならぬ北朝鮮の金正恩委員長である。裏を返せば、誰よりも「バイデン当選」を恐れている。

 金委員長は入院したトランプ大統領に北朝鮮の外交史上、類例のないお見舞い電報を送り、早期回復を祈願したが、これは外交辞令でもなく、本音だろう。電文の最後に「貴方は必ず打ち勝つだろう」と檄を飛ばしていたが、「コロナ」だけでなく「選挙にも勝って欲しい」とのエールが込められているような気がしてならない。

 金委員長のトランプ支持の理由はトランプ大統領と個人的に信頼関係を築いていることにもあるが、一言でいえば、トランプ大統領が言うように「馬が合う」ことに尽きるようだ。

 ベトナムでの2度目の米朝首脳会談は「タカ派」のボルドン大統領補佐官らの妨害に会って決裂に終わったが、金委員長は依然としてトランプ大統領を「トップダウン(Top Down)対話」が可能なパートナーとみている。

 一方、バイデン候補は首脳同士による政治解決ではなく、「ボトムアップ(Bottom Up」方式を嗜好している。

 バイデン候補は米国メディアのインタビューで「トランプ大統領による個人的な関係を重視した外交を続けるのか?」との質問にはっきりと「No」と答えていた。

 また、バイデン候補は昨年7月にCNNTVとのインタビューで「トランプは金正恩に全てを与えた。何度も会って、彼に正当性を与えた」と米朝首脳会談を批判していた。板門店会談についても「トランプは手ぶらで帰ってきた」と酷評していた。トランプ大統領が米朝首脳会談を前進させるための措置として取った米韓合同軍事演習の中断も批判していた。

 何よりもバイデン候補は金委員長に対しても批判的である。人権問題を重視しないトランプ大統領に比べて、人権問題を前面に持ち出して、金委員長を痛烈に批判している。昨年5月の遊説では「我々はプーチンや金正恩のような独裁者や暴君を抱擁する国民ではない」とブッシュ元大統領のように金委員長に「独裁者」「暴君」のレッテルを貼っていた。

 こうした発言もあって北朝鮮はバイデン候補を毛嫌いしている。「暴君」呼ばれた際には朝鮮中央通信を通じて「人間としての初歩的な品格も持たない俗物の恥知らずの醜態」「IQの低い馬鹿」と罵倒し、「我々の最高尊厳を冒涜するのは誰であっても許さない。きっちり落とし前をつけさせてもらう」と警告していた。

 バイデン候補はオバマ前政権の北朝鮮に対する「戦略的忍耐政策」を副大統領として支えたが、北朝鮮はオバマ政権下の8年間、首脳会談も含めて何の進展、成果もなかったことからオバマ政権の対北政策を「無能、無策」と酷評していた。

 バイデン政権になれば、オバマ政権の二の舞になりかねないというのがトランプ大統領の再選を願う最大の理由のようだ。