2021年8月29日(日)

 差が開く一方の菅総理と文大統領の支持率

菅義偉首相と文在寅大統領(2人のHPから筆者キャプチャー)


 似て非なる日韓首脳だが、支持率の低迷では相通じるところがあるようだ。

(「安倍首相辞任」でどうなる日韓関係? 次の首相と信頼関係を築けるか?)

 菅義偉首相は昨年9月の政権発足時の世論調査では最高で74%(読売新聞)、最低でも64%(毎日新聞)の支持率があった。文在寅大統領もまた就任1周年の2018年4月には83%もあった。現状はどうか?

 菅政権の支持率は毎日新聞と社会調査研究センターが8月28日に行った世論調査では26%、毎日新聞よりも1週間前のANNの世論調査(8月21−22日)では25.8%と、26%を割っていた。いずれも前回調査から4〜3.8ポイント下落していた。

 一方、ANNと同じ日に行った産経経新聞社とFNNの合同世論調査では菅政権の支持率は32.1%あった。それでも前回よりも7ポイントも近く下降していた。

 文在寅政権の支持率は世論調査会社「リアルメータ」が8月17―20日に行った調査では41.1%、「韓国ギャラップ」が8月24−26日に実施した調査では38%となっている。文政権も前回よりもそれぞれ0.4%、2.0%支持率を下げているが、下落率は菅政権よりも小幅だ。

 菅政権と文政権の支持率を比較すると、文政権は菅政権よりも支持率で10ポイント上回っているが、今年4月末までは菅政権が44.0%と、29.0%の文政権を圧倒していた。しかし、5月に入って、逆転(菅政権32.2%対文政権33.9%)を許し、現在ではその差が開きつつある。

(参考資料:菅総理と文大統領の支持率比較:逆転、また逆転の「低支持率競争」)

 文大統領の過去3か月間の支持率の推移をみると、5月に30%台を回復し、5月第4週には39.3%まで上昇。以降6月は平均38〜39%台をキープしていたが、7月に一昨年10月以来となる40%に回復し、7月12日―16日にかけて行った調査では45.5%まで跳ね上がっていた。

 一方、菅政権の支持率は7月16日に時事通信社が発表した世論調査結果では前月比3.8ポイント減の29.3%、NHKの世論調査(7月12日)でも前回より4ポイント下がって33.0%となっていた。上昇傾向の文大統領とは対照的に下降を辿っていた。

 韓国の大統領の場合、支持率が40%を割れば「黄色信号」が、30%前半にまで落ち込めば「赤信号」が灯り、20%台で「死に体」(レイムダック)となるが、文大統領はレイムダックに入る直前で下げ止まった。歴代大統領の中で任期最後の年に40台を記録した大統領は一人もいない。ほぼ全員が20%前後で終わっていることを考えると、文大統領は善戦、検討している部類に入る。

 但し、政権政党の支持率では逆の結果が出ている。

 毎日新聞の世論調査では政権与党・自民党の26%に対して野党第1党の立憲民主党は10%、FNNと産経の調査では自民党の33.5%に対して立憲民主党は6.6%と、自民党が大きく引き離している。

 これに対して文政権の与党「共に民主党」の支持率は最大野党の「国民の力」と拮抗しているか、下回っている。

 「韓国ギャラップ」の調査では与党「共に民主党」と最大野党の「国民の力」の支持率は31%対30%と拮抗しており、「リアルメータ―」の調査では「共に民主党」の32.8%に対して「国民の力」は37.1%と、4,3ポイントもリードしている。

(参考資料:日韓首脳会談を前に支持率急下降の菅総理に対して急上昇の文大統領)