2021年3月17日(水)
韓国は日米「2プラス2会談」をどう取り上げたのか?韓国マスメディアの「見出し」
日本で「2プラス2会談」を終えたブリンケン国務長官とオースティン国防長官が次の訪問地である韓国を訪れ、今日ソウルで鄭義溶外相と徐旭国防相と「2プラス2会談」を行う。
韓国政府は東京で直前に行われた日米会談及び会談後に発表された共同声明の分析に余念がないが、韓国メディアの報道は総じて客観報道に徹していた。それも日米「2プラス2会談」が中国への対応が焦点になっていたことから日本のメディアに倣って中国絡みの見出しを掲げているメディアが目についた。
例えば、保守紙「中央日報」は「中国が国際秩序を棄損」の見出しを、進歩紙の「 ハンギョレ新聞」は「米日『中国』を4度も言及し、『インド・太平洋安全阻害』」の見出しを掲げて日米会談を伝えていた。
「中央日報」は2019年の「2プラス2会議」では中国を刺激することを懸念し、中国を名指ししなかったことや今月12日に開かれた日米豪印戦略対話(QUAD=クアッド)首脳会談の共同声明でも中国を明示しなかったことに言及し、今回の中国名指しの会談が極めて異例であると報じていた。また「ハンギョレ新聞」も「米国と日本は共同発表文で異例にも『中国』を4度も言及し、批判するなど今回の会談の目的が中国牽制にあることを明白にした」と『中央日報』と同じスタンスで伝えていた。
経済紙では「毎日経済」
が「米国『中国の強圧・侵略行為に反撃』・・・『バイデンアジア外交始動』」の見出しを掲げていたほか、TV媒体では国営の 「KBS」
が「米日外交・国防長官会談・・・『中国牽制・韓米日協力』を再確認」のタイトルを付けて「米国と日本はバイデン政府発足後初めて開いた『外交・国防長官会談』で中国の海洋進出と人権問題を牽制する一方で、韓米日協力の重要性を再確認した」と伝えていた。また、「TV朝鮮」もオースティン国防長官の「米日同盟は脅威に対処する礎」の発言を見出しにしていた。
日米共同声明に日米韓の3か国強調関係の重要性が盛り込まれていたこともあって、北朝鮮の核への対応を見出しに掲げ、扱ったメディアも多くあった。
保守紙「東亜日報」は「北の核対応戦略、韓米日3国協力非常に重要」、同じく保守紙の「朝鮮日報」は「米日の外交・国防長官で韓米日協力の重症性を再確認」との見出しを、また、政府寄りの 「ソウル新聞」は「米日『北の完全な非核化のため緊密協力・・・韓米日共助重要』」の見出しを掲げていた。
また、経済紙の「アジア経済」は「米日、北朝鮮非核化意志再確認・・・中国には牽制球」、テレビ媒体の 「JTBC」は「米国務長官『北の脅威に韓・米・日共同対応の重要性』の見出しで日本での動きを伝えていた。
「中央日報」は他の記事(「ブリンケン『対北戦略全ての選択地を検討』・・・『あらゆる圧力手段』も議論」)で記者会見での「米国の北朝鮮戦略は可能なすべての選択地を検討中である。北朝鮮の武力が国際平和と安全に脅威となっている。北朝鮮の完全な非核化に対する意志を再確認し、国連安保理事会の決議に伴う義務を順守することを北朝鮮に促す」と語ったブリンケン長官の発言を取り上げていた。
米国が韓国に「反中戦線」に加わるよう圧力を掛けるのではと憂慮するメディアもあり、「京郷新聞」
は「米日 異例的な『反中メッセージ』・・・韓国に賛同するよう圧迫も」との見出しを掲げた記事の中で「中国に対する批判水位を高めた米国は韓国に対しても対中権勢に加わるよう圧迫する可能性が大きくなった」と伝えていた。その根拠として共同声明で日米韓3か国の協力が「我々が共有するインド・太平洋地域の安全と平和,及び繁栄に必須的である」と明記していることを上げており、具体的に「中国を牽制するための協議体である『クアッド』への参加を要求する可能性もある」と同紙は指摘していた。
これについては前出の「ハンギョレ新聞」もブリンケン長官が「その後、韓国に行ってもこのようなメッセージを伝えたい」と発言したことを捉え、「中国や『クアッド』には直接言及しなかったものの、韓国政府には少なからぬ負担になる見込みだ」と報じていた。