2021年10月14日(木)

 韓国を冷遇する日本外交 日韓首脳電話会談は依然として実現せず!

文在寅大統領(青瓦台HPから)


 本日(14日)に行うことで調整していた岸田文雄首相と文在寅(ムン・ジェイン)大統領との初の電話会談はどうやら一日延び、明日(15日)になったようだ。実現すれば、岸田首相就任(4日)から11目ということになる。ちなみに昨年9月に就任した菅義偉前首相の場合は9日目には文大統領と初の電話会談を行っていた。

 岸田首相は就任翌日の5日に米国のバイデン大統領とオーストラリアのモリソン首相、7日にロシアのプーチン大統領、8日に中国の習近平主席とインドのモディ首相とそれぞれ電話会談を行い、昨日(13日)は英国のジョンソン首相と電話会談を行った。 

 岸田首相就任日に祝電を送っていた文在寅大統領は順番では7番目ということになる。菅前首相の時は中国やロシアよりも先に電話会談が実現していた。日本の外交にとって韓国の優先順位が低くなっていることがわかる。

 会談時間はバイデン大統領とモリソン首相とは約20分間、プーチン大統領とは約25分、習主席とは約30分、モディ首相とは約25分、ジョンソン首相とは約30分だった。果たして、文大統領にはどれだけ時間を割くのか、話の中身もさることながら会談時間も注目の的だ。

 日本が韓国を意図的に疎外していることは衆院本会議での岸田首相の所信表明演説でも明らかだ。岸田首相は演説で「韓国は重要な隣国だ。健全な関係に戻すためにも、我が国の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を強く求めていく」と述べていたが、約6900文字の演説文のうち、韓国に関する言及はたった2文だけだった。

 日本政府の韓国に対する冷淡な対応は今年1月22日に日本に着任した姜昌一(カン・チャンイル)駐日大使が9か月経っても今なお外相にも首相にも会えない状態が続いていることからも明らかだ。

 前任の南官杓(ナム・グァンピョ)大使が2018年5月9日に就任した時は、当時、河野太郎外相は4日後の5月13日に、また安倍晋三首相も5月21日には着任挨拶を受けていた。河野外相は約30分間、安倍首相は約15分間、南大使と会談していた。しかし、南大使の離任時は菅首相も茂木外相も面談を拒否したため離任挨拶ができないまま今年1月16日に帰国している。 

 これに対して文大統領は冨田浩司前駐韓大使の離任挨拶も、相星孝一新任大使の着任挨拶も受けている。日本の首相が離任する大使の、また新たに着任した大使の表敬訪問を受けないというのは外交上極めて異例のことである。

 外交は相互主義、互恵主義が原則だ。首相も外相も韓国の大使に会うのが道理、外交礼儀であるというのが韓国側の立場だが、日本政府は姜大使が着任する前から菅首相も茂木外相も面会を見送る方針でいたが、岸田政権になっても面会拒否は今なお続いている。

 「元徴用工」や「元慰安婦」訴訟での韓国裁判所の判決への反発と、日本政府が抗議しても事態を傍観し、手を打とうとしない韓国政府の無為無策に対する苛立ちによるものか、それとも日本政府の同意を得ずに韓国が昨年11月23日に大使人事一方的に発表したことによる不満の意思表示なのかは定かではないが、後者の件では日本政府は韓国側に「極めて遺憾」と申し入れていた。

 韓国では2019年5月に来日した韓国国会外交統一委員会委員長ら国会議員訪日団を冷遇した件、2019年6月に大阪で開催された「G20サミット(20カ国・地域首脳会議)」で安倍首相(当時)が文大統領との首脳会談を拒んだ件、2019年7月に経済産業省で開かれた輸出厳格化措置に関する日韓課長級事務レベル会合で冷淡な対応をした件、2020年12月にソウルで開催予定だった日中韓首脳会談が日本の拒否にあい、流れてしまった件、今年2月に外相に就任した鄭義溶(チョン・ウィヨン)前国家安全保障室長が「茂木外相といつ、どこでも会う用意がある」とメッセージを発信し続けていたが、茂木外相は数か月にわたって応答しなかった件と並んで信任駐韓大使を門前払いしている件を日本の「6大対韓非礼」とみなしている。

(参考資料:韓国が不満を抱いている日本の6つの対韓「外交非礼」)