2021年10月20日(水)

 北朝鮮ミサイル発射の発表で日韓にズレ!

北朝鮮が19日に発射した新型SLBM(「労働新聞」から)


 北朝鮮の朝鮮中央通信は今朝、同国の国防科学院が昨日(19日)実験した新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射に成功したと伝えていた。

(参考資料:猛スピードの北朝鮮のミサイル開発 米中露に続く極超音速ミサイルの開発)

 新型のSLBMが一度も発射されたことのない「北極星―4型」、もしくは「北極星―5型」なのか、それとも去る11日に国防発展展示会でお披露目されていた規模の小さいミニの「北極星型」なのかは明らかにされていなかった。

 しかし、「側面軌道と滑空跳躍軌道を含む多くの進化された操縦誘導技術が導入された新しい形のSLBM」と発表されていることや配信された写真からミニの「北極星」が発射された可能性が大とみられている。また、滑空跳躍軌道とはミサイルが終末段階でプールアップ(滑空及び上昇する)軌道を指していることから北朝鮮版イスカンデルと称されている新型戦術誘導兵器「火星砲―11ナ」がSLBM用に改良されたものとみられている。

 「火星砲―11ナ」はマッハ6.9kmで低空飛行した後、目標地点で急上昇して目標物に突き刺さる技術が適用されている。

 但し、新型ミサイルは「5年前に初めてSLBMを成功裏に発射させ、共和国の軍事力を示威した『8.24英雄艦』から再び発射された」とされていることから、北朝鮮が建造中にあった新型の3千トン級の潜水艦からではなく、2千トン級の旧式潜水艦であることが判明した。

 北朝鮮がテストに使用したミサイルが1発なのか、それとも2発なのかは明らかにされていないが、日本の防衛省が「2発」とみているのに対して韓国の合同参謀本部は「1発」と主張している。

 また、ミサイルの発射時間についても日本は「10時15分頃」としているのに対して韓国は2分遅れの「10時17分頃」と発表しているが、防衛省は2発目の発射時間に関しては言及していなかった。

 ミサイルの飛距離については日本の「600km程度」に対して韓国は「590km程度」とほぼ変わらないが、昨日の防衛省の発表では2発目の飛距離については「引き続き分析中である」と結論を出していなかった。

 防衛省は北朝鮮が9月15日に客車から弾道ミサイル2発を発射した時は「12時32分頃及び12時37分頃」と発表し、また、約半年前の3月25日に「イスカンデル」とおぼしき新型戦術誘導ミサイルが2発発射された時も「7時4分頃と7時23分頃に発射された」と即座に発射時間を特定していた。

 今回は2発目については発射時間を特定できなかったことから実際は1発しか発射されていなかった可能性も考えられる。韓国では今回の新型SLBMの高度が約60kmと低空だったことから「海上を低高度で飛行する物体は気象状況などにより、レーダーに2重になって捉えられる」として日本の探知能力に疑問を呈している。

 なお、北朝鮮が9月11日と12日に発射した長距離巡航ミサイルについては日韓ともに北朝鮮が「発射された長距離巡航ミサイルは我が国の領土と領海の上空に設定された楕円及び8の字型の飛行軌道に沿って7580秒(126分)飛行し、1500キロメートル先の標的に命中した」と発表するまで100メートル以下の低空で飛行したため捕捉できなかったのか、発射体、発射時間、場所など何一つ正確なことを把握できなかった。

(参考資料:進水式目前の北朝鮮の新型潜水艦とSLBM(北極星1〜5)の全容)