2021年9月18日(土)

 政権交代を待望しているのに次期大統領選支持率では与党候補がリードしている不思議な韓国の世論調査現象

与党の李在明候補(左)と野党の尹錫悦候補(京畿道と検察庁のHPから)


 日本も韓国も今は選挙の話題で持ち切りだ。

 日本では野党の支持率が低いこともあって政権交代の声は高まっていないが、韓国では政権交代を望む声が大きい。少なくとも国民の半数以上が今の進歩政権から保守政権への交代を待望している。そのことは一連の世論調査をみれば、一目瞭然だ。幾つか直近の世論調査を例に挙げてみよう。 

 世論調査会社「コリア・リサーチ」 が9月14日から15日にかけて行った世論調査によると、「与野党どちらの候補が当選すべきか」との質問に 「野党候補の当選が望ましい」との回答が45.8%と、「与党候補の当選が望ましい」の36.1%を約10ポイント近く上回っていた。

 また、世論調査会社「韓国ギャラップ」が9月13、14日の両日に実施した調査では 「政権維持を望む」が37.6%、「政権交代を望む」が55.3%と、政権交代が17.7ポイントも上回っていた。

 さらに 世論調査会社「ネクストリサーチ」が9月6日から7日まで約1千人の有権者を対象に行った調査でも 「政権交代」を望む声が51.8%と「政権維持」(39.3%)を圧倒していた

 与党「共に民主党」と野党第1党の「国民の力」の支持率をみても、世論調査会社「リアルメーター」 が9月6日から10日にかけて全国2520人の有権者を対象に行った調査では 「共に民主党」の32.6%に対して「国民の力」は37.1%と、与党よりも4.5ポイント上回っていた。

 「共に民主党」から「国民の力」への政権交代を求めるのは日本とは異なり、文在寅大統領の不人気にも起因している。最高で83%もあった文大統領の支持率が30%台まで下落したことを勘案すると、政権交代を望むのは自然現象かもしれない。

 文在寅大統領の任期は来年5月までである。大統領の任期は1期5年なので2017年5月に就任した文大統領は自動的に退任する。任期が切れる2か月前の3月に行われる大統領選挙で新大統領が誕生するが、大統選挙は当然与野党の一騎打ちとなる。

 野党候補が勝てば当然政権交代ということになるが、不思議なことに「次の大統領には誰が望ましいか」の支持率ではなんと、与党候補の李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事が野党候補の尹錫悦(ユン・ソギョル)前検察総長や洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員よりも上回っている。

(参考資料:支持率で尹錫悦前検察総長を上回ったもう一人の野党候補も「反日」なのか?)

 「大統領選挙では誰に投票するか」の「コリア・リサーチ」の調査では李候補27.8%、尹候補19.3%、洪候補12.6%と、李候補は2位の尹候補に8.5ポイントの差を付けていた。 また、「1対1で対決した場合どちらを支持するか」の設問でも李候補vs尹候補では37.8%対33.1%、李候補vs洪候補では38.2%対29.5%といずれも李候補が優勢であった。

(参考資料:「文在寅発言」よりも気になる次期大統領最有力候補の強硬な対日「3.1発言」)

 「韓国ギャラップ」の支持率調査でも同じ結果が出ており、 李候補の34%に対して尹候補は30%、洪候補は28%であった。 また、仮想対決でも尹候補も、洪候補もそれぞれ42%対43%、39%対44%と、李候補にリードされていた。

 さらに「ネクストリサーチ社」の支持率調査でも 李候補は27.8%と、尹候補(19.3%)、洪候補(12.6%)を引き離していた。

 この不可解な現象については▲李候補が強敵▲野党候補の準備不足▲野党候補の資質の問題▲与党は李候補にほぼ決まりなのに対して野党候補はまだ一本化していない▲野党候補同士の人身攻撃によるイメージダウンなどが挙げられている。

(「反文在寅」の保守大統領候補は「親日」か「反日」か 「野党の希望の星」尹錫悦前検察総長の対日観)