2022年8月2日(火)

 韓国国防相「北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射を準備中!」 核実験が先か、ICBMが先か?

軍事パレードのフィナーレに登場したICBM「火星17型」(朝鮮中央テレビから)


 韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防部長官は昨日(1日)国会国防委員会での業務報告で北朝鮮が「長距離弾道ミサイル『火星17』の発射を準備している」ことを明らかにした。

(北朝鮮 「コロナ非常事態」でもICBMの発射と核実験を準備!)

 北朝鮮は5月25日以来、「火星17」を発射していない。

 韓国国防部の分析では「火星17」は2月27日、3月5日、3月16日、3月24日、5月4日、5月25日の計6回ロフテッド方式(高角度)で発射されているが、このうち北朝鮮は2月27日と3月5日の発射は「偵察衛星用」と称し、3月24日の発射のみ「大陸間弾道ミサイル『火星17』を発射して、成功させた」と発表していた。

 北朝鮮の発表では最高高度約6248km、約1時間11分飛行し、飛距離は1100kmに達していた。

 北朝鮮は残りの3発については発射の有無を明らかにしていないが、韓国は3月16日の発射は高度20kmで空中爆破し、失敗したものと推定し、5月4日は高度約780km、飛距離約470km、5月25日は高度約540km、飛距離約360kmあったものと分析していた。

 韓国国防部は準備中の7度目の発射が何に向けた実験なのかは明らかにしていなかった。また、北朝鮮はICBM(大陸間弾道ミサイル)の再発射準備と並行して「液体燃料から固形燃料によるミサイルへの性能改良も並行して行っている」と推定していた。

 金正恩(キム・ジョンウン)総書記は昨年1月の労働党第8回大会で「国防科学発展及び兵器システム開発5か年計画」を示し、ミサイル分野では極超音速滑空ミサイル、1万5千kmの射程圏内を正確に打撃できるICBM及び軍事偵察衛星、多弾頭ミサイルに加えて潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)を早期に開発し、配備するよう訓示していた。

 注目の北朝鮮の7度目の核実験の可能性については咸鏡北道吉州郡の豊渓里にある核実験場の3番坑道の復旧が完了しており、「金正恩(総書記)の決心次第でいつでもできる状況にある」(李国防部長官)と予測していた。

 米韓では春頃から北朝鮮の核実験が鳥沙汰され、4月は15日の金日成(キム・イルソン)主席生誕110周年、25日の朝鮮人民軍創建90周年、5月は10日の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領就任式、21日のバイデン大統領の訪韓、6月は25日の朝鮮戦争勃発日、そして7月は4日の米独立記念日、17日の金正恩元帥称号10周年、27日の朝鮮戦争休戦日(北朝鮮は「戦勝記念日」と呼称)あたりが「デー」になると予測されていたが、肝心の北朝鮮はこれまで核実験については沈黙を守ったままである。

(参考資料:過去のケースから北朝鮮の核実験が延期される可能性はないのか?)

 前述の「国防科学発展及び兵器システム開発5か年計画」には核兵器の小型化と軽量化及び超大型核弾頭の生産が盛り込まれていた。

 なお、李国防部長官は金総書記が「戦勝節」(7月27日の朝鮮戦争休戦日)の式典で尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対して「尹錫悦と軍部のごろつき」とのどぎつい表現を使って扱き下ろしたことについて「挑発的で非理性的な妄言である」と糾弾し、「こうした妄言に対してこれからは強力に対応する」と答えていた。

(北朝鮮が核実験を強行すれば、「金正恩斬首作戦」が再浮上!?)