2022年8月29日(月)

 韓国人はなぜ中国を嫌うのか? 中韓国交正常化30周年なのに韓国人の対中感情は悪化の一途

中国漁船の不法操業を取り締まる韓国海洋水産部警備艇(西海漁業管理団提供)


 日本の半導体素材輸出厳格化措置や「ホワイト国」からの除外措置に反発して日本製品ボイコット運動にまでフィーバーした韓国人の「反日感情」がほぼ鎮静化したのに反比例し、「反中感情」はエスカレートする一方だ。

 中国の習近平主席と韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は中韓国交正常化30周年を迎えた8月24日、メッセージを交換したが、習主席は「中国は韓国との関係発展を非常に重視している」と強調し、「中韓両国は良き隣人、良き友人、良きパートナーにならなければならない」と韓国民に呼びかけていた。

 これに対して尹大統領も「今後の30年の新たな協力方向を模索することを希望する」とのメッセージを伝えていたが、中韓首脳の想いとは裏腹に韓国人の対中感情は今、最悪の状況にある。そのことは一連の世論調査でも窺い知ることができる。

 経済紙「ソウル経済」(8月22日付)がビッグデーター分析のツールであるSAMトレンドを活用し、SNSで米国、中国、日本、北朝鮮の4か国に言及した関連単語を分析した結果、中国に対する非好感度を表した単語が2014年8月調査時の27%から今年は約倍の50%台に達していた。ちなみに北朝鮮は59%で、米国は43%、日本は一番少なく33%だった。

 韓国人の対中非好感度は米中葛藤が先鋭化した8月のペロシ下院議長の台湾訪問でピークに達し、なんと61%にまで跳ね上がっていた。

 また、有力紙「東亜日報」が中韓国交正常化30周年に際して世論調査会社「リサーチ&リサーチ」に委託して20代から30代の成人男女420人を対象に行った世論調査(8月11〜14日)によると、韓国人の米中日朝4か国に対する好感度(最高は10点)は1位が米国(6.76点)、2位が日本(3.98点)、3位が北朝鮮(2.89点)で、中国は最下位の2.73点であった。

 今年6月に「国民日報」が世論調査会社「グローバルリサーチ」に委託して行った同様の調査(6月9〜12日)でも韓国人が一番嫌いな国が中国で、続いて日本、北朝鮮、米国の順になっていたが、「東亜日報」の調査では日本と北朝鮮が入れ替わり、韓国人の嫌いな2番目の国が北朝鮮になっている。

 「東亜日報」の調査では現在の中韓関係について「良好である」との回答は5.3%しかなく、大半が「悪い」とみている。特にペロシ下院議長の台湾訪問を70.6%が「正しい」としているのに対して中国が台湾海峡での台湾を威嚇する軍事訓練を行ったことについては76.6%が「間違っている」と回答していた。

 その一方で、回答者の78.8%が「中国は経済協力が必要な国」とみなしており、「韓国は米中狭間でどちらの方向に進むべきか」との質問に対しては51.7%が「米国との関係を強化しても中国牽制には慎重であるべき」と回答していた。「米国との関係を強化し、中国牽制に加わるべき」は33.6%にとどまっていた。

 韓国人が中国に反感を持つ理由を聞くと、「キムチとチマチョゴリ(韓服)は中国が起源であるとの主張」「香港民主化運動を武力で鎮圧するなどの人権侵害」「企業の先端技術・人材・情報の輸出と知識財産権の侵害」「中国共産党の一党統治と政治体制」「韓国のTHAAD配備への中国の経済報復」などを挙げていた。

 これ以外にも中国漁船の韓国領海内での不法操業、高句麗や白頭山の帰属問題、於島の領土問題をはじめ毎年中国から舞う黄砂に悩まされていることに加えて新型コロナウイルスが武漢から発生したことへの反感や中国人の韓国での土地買い占めなども国民感情悪化の背景にあるとみられている。

 なお、大手世論調査会社「韓国ギャラップ」が2021年10月〜12月にかけて45か国約4万2千人を対象に行った調査では中国の習近平主席に対する非好感度は2014年の15%から85%に達し、好感度は僅か8%しかなかった。習主席に対する非好感度は2016年頃からから急増し、2017年11月59%、2018年3月66%、2019年11月73%、2021年11月85%となっている。