2022年12月28日(水)

 無人機で炭疽菌を撒かれればソウル市民の半数は死傷!韓国「国防研究院」の報告書

9年前の軍事パレードにすでに登場していた北朝鮮の無人機(朝鮮中央テレビから)


 韓国はここ数日間、北朝鮮の無人機にパニック状態に陥っている。

 韓国軍は26日に韓国の領空に侵入した北朝鮮の無人機5機を打ち落とせず、取り逃がしたことで国内の批判を浴びている。

 同じ過ちを繰り返すまいと、無人機対策を急いでいる矢先、昨日(27日)は、レーダーに映った鳥の群れを無人機と誤認し、慌てて戦闘機や軍用ヘリを発進させる失態を演じていた。

 今日も未明に再び監視レーダーに正体不明の航跡が映ったことから空軍が仁川及び京畿道の北方周辺に戦闘機を緊急出撃させる事態となったが、なんと無人機ではなく、風船であった。夜明け前の緊急出動だったこともあって警察には戦闘機の発進騒音で飛び起きた住民から「戦争でも起きたのかと思った」「怖くて眠れなかった」との申告が相次いだそうだ。

 ソウル市民は26日に侵入した5機の無人機のうち1機がソウル上空に出没し、3時間にわたって飛来し、大統領室のある龍山を撮影し、北朝鮮に戻ったことから韓国の防空網に穴が空いていると不安を募らせているが、それもそのはずで今朝の韓国紙「文化日報」に「北朝鮮の無人機による生物・化学テロ・・・17kgの炭疽菌でソウル市民の半分が死傷」との恐ろしい見出しの記事が載っていた。

 同記事は国策研究機関「韓国国防研究院(KIDA)」の報告書「EMP(核電磁波)防護施設早期構築案に関する研究」に基づいているが、報告書には「北朝鮮の無人機(ドローン)部隊が17kgの炭疽菌をソウル(600平方キロメートル)に噴霧した場合、ソウルの人口(約940万人)の半分に殺傷効果がある」と指摘されていた。

 北朝鮮が有事の際にソウル市民の半分以上を殺傷するには核兵器だと2.6メガトン、サリンなどの化学兵器だと1700トンの量が必要とされるが、生物兵器の場合は少量で核兵器や化学兵器よりもより大きな効果があり、また少量のためドローンによる攻撃が可能とのことである。

 報告書はまた「商業用無人機の標準的な搭載重量は約10kgで、炭疽菌などの生物兵器は数十?数百グラムで広範囲にわたって被害を引き起こす可能性があるため無人機による散布に適している」と分析している。また、「潜伏期間後に損傷が現れることから北朝鮮の関与を直ちに判別することも容易ではない」と書かれていた。

 与党「国民の力」康大世(カン・デセ)議員は、昨年10月に陸軍本部に対する国政監査で「北朝鮮がすでに開発しているドローンを使って炭疽菌で同時攻撃した場合、それに対する防御するシステムがない。(韓国が)北朝鮮の生物攻撃に対して無防備であることが判明した」と指摘していた。

 韓国では炭疽菌以外にも北朝鮮には生物兵器病原体が多く存在することから無人機を使った攻撃を受けた場合の被害拡大が懸念されている。

 KIDAの報告書には北朝鮮は炭疽菌以外にもリケッチア(発疹チフス、オーム病)、対人ウイルス(天然痘、黄熱病、インフルエンザなど)、外毒素(ボツリヌス菌や黄牛)など「生物兵器の病原体を合計13種類保有している」とされている。

 また、北朝鮮は今なお化学兵器禁止条約を締結していないが、韓国政府は北朝鮮が「神経剤」「血液剤」「びらん剤」「窒息剤」など1000トンから最大で5000トンの化学兵器を保管しているとみなしている。また、北朝鮮は米議会の報告書では現在、世界第3位の化学兵器保有国と推定されている。8つの製造工場と6つの貯蔵所があり、神経剤や窒息剤を中心に保有しているとも伝えられている。

 なお、北朝鮮の無人機の保有数は数百から1千機まで様々な説があるが、一つだけ明白なことは北朝鮮が昨年(2021年)に打ち出した「国防科学発展及び兵器システム開発5か年計画」には「500kmを精密偵察できる無人偵察機の開発する」ことが盛り込まれていることだ。

 北朝鮮の無人機のターゲットはソウルだけでなく、最南端の第2の都市・釜山を含む全土が網羅されている。

(参考資料:北朝鮮の「挑発」に韓国軍のお粗末な対応!)