2022年2月13日(日)

 日韓 何度会談しても水掛け論! 徴用工問題に続いて「佐渡の金山」世界遺産登録問題でも

ハノイ・ホノルルで会談した林正芳外相(右)と鄭義溶外相(韓国外交部提供)


 ハワイのホノルルで林正芳外相と鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相との間で日韓外相会談が今日(日本時間13日午前)行われたが、会談は不調に終わり、またもや「史上最悪」と言われる日韓関係の改善の糸口を見出せなかったようだ。

 両者は林外相就任から3か月後の昨年11月10日に電話で、また1か月後の12月に英国で開催されたG7外交・開発長官会議の場で遭遇し、挨拶程度のやりとりはあったものの対面方式による公式会談はこれが初めてであった。

 ホノルルのアジア・太平洋安保研究所(APCSS)で日米韓外相会談を前に行われた外相会談では日韓の主要懸案について両外相は約40間、話し合ったが、平行線で終わったとのことだ。

 新たな火種となっている「佐渡の金山」の世界文化遺産登録問題では日本政府が世界遺産に推薦したことを鄭外相が取り上げ、抗議し、遺憾を表明したそうだが、これに対して林外相も「根拠のない韓国側の主張は受け入れられない」と突っぱね、逆に韓国側の抗議に遺憾の意を伝えたとのことだ。

 元徴用工や元慰安婦問題も「議題」に上がり、1965年の日韓条約と2015年の日韓慰安婦合意ですべて解決済との立場を堅持している林外相は日韓関係を改善させるためには「韓国側が責任を持って対応する必要がある」と改めて韓国側に適切な対応を求めようだが、鄭外相は「正しい歴史認識が未来志向の両国関係発展の根幹である」として、被害者が受け入れられる解決策を日本も示すべきであると日本に求めたようだ。

 この問題では韓国は日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決を固守しているが、日本は「最高裁の判決は国際法に反しており、これを正すことが先決である」と主張しており、まさに水と油で溶け合わない。結局のところ、日韓共に従来の立場を繰り返し、既存の立場を再確認し、終わったようだ。

 会談で林外相は「佐渡の金山」の世界文化遺産登録を巡っては文化遺産としての価値が国連教育科学文化機関(ユネスコ)で評価されるよう韓国側と「冷静かつ丁寧に議論を行う」考えがあることを伝えたようだが、韓国が現状のままでの登録を承諾する可能性はゼロに近い。

 また、元徴用工や元慰安婦問題では鄭外相が「被害者が受け入れられる解決策を見いだすため、外交当局間の協議を加速しよう」と呼び掛けたようだが、これもまた日本が受け入れる可能性は極めて低い。

 会談では双方が「両国関係の未来志向的な発展に向け、外交当局間で緊密に意思疎通を図っていくことで一致した」と取り繕っているが、日韓がなかなか未来志向に進めないのは「過去の問題」がクリアされないことにあるのは誰もが認めるところだ。

 安倍政権から菅政権、そして岸田政権に変わっても、また外相が岸田文雄→河野太郎→茂木敏允→林正芳氏に変わっても、さらに韓国の外相が女性の康京和(カン・ギョンファ)から元国家安全保障室長の鄭義溶氏に変わっても、現実には日韓関係は何一つ変わることはなかった。

 今後、3月9日の大統領選挙の結果、韓国の次期政権が革新系の李在明(イ・ジェミョン)政権になっても、保守系の尹錫悦(ユン・ソッキョル)政権になっても根本的な問題が解決されない限り、変わることはないであろう。実務会談であれ、外相会談であれ、首脳会談であれ開かれたとしても今後も水掛け論で終わることになり、日韓が「良き時代」に戻ることはなさそうだ。

(参考資料:未解決の「日韓紛争」ランキング「ワースト10」)