2022年1月14日(金)

 韓国大統領選 巻き返した「保守の希望の星」尹錫悦候補

与党の李在明候補と最大野党の尹錫悦候補(李氏と尹氏のHPから筆者キャプチャー)


 昨年末に支持率が急降下し、「瀕死状態」にあった最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソッキョル)大統領候補(前検察総長)が息を吹き返したようだ。

 元旦に公表された地上波放送局3社の「新年世論調査」では対立候補の与党「共に民主党」候補の李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事に引き離されていたが、選挙対策本部の大幅な刷新と李俊錫(イ・ジュンソク)党代表との電撃的な関係修復によって急速に盛り返している。

(参考資料:絶体絶命の保守の尹錫悦候補 韓国大統領選レースから落馬も! 野党候補一本化の流れは中道の安哲秀候補へ)

 経済紙「ニューストマト」(2015創刊)が成人男女約1千人を対象に行った先週の世論調査(8〜9日)では38.2%の支持率を得て、同じく38.2%の李候補と並んでいた。「ダークホース」として注目されている第2野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補は12.1%と、支持率を二桁台に乗せているが、依然として3番手。

 一方、放送会社「MBC」が世論調査会社「コリアリサーチインターナショナル」に委託して今週前半(11〜12日)に行った調査では尹候補は38.8%と、32.8%の李候補を上回ってトップに立っていた。(安候補は「ニューストマト」の調査同様に121%)

 「MBC」の調査では野党候補が一本化した場合の「相応しい候補」に関する調査も行っているが、「尹錫悦」の回答は42.1%で、「安哲秀」の39.8%を僅かながら上回っていた。

 年初めの4〜5日にかけて世論調査機関「R&サーチ」が「毎日経済」と系列の放送局「MBN」の委託を受けて行った調査では「安候補で一本化すべき」が43.5%で、「尹候補を単一候補とすべき」は32.7%だった。

(参考資料:韓国大統領選「ダークホース」として急浮上した安哲秀候補の「対日観」 親日?反日?)

 野党統一候補として尹候補が李候補と対決した場合、世論調査会社「リアルメータ」が10〜11日にかけて行った調査では尹候補43.6%対李候補38.6%で、尹候補が優位に立っていた。

 「MBC」の他にも総合ニュース通信社「ニュースピム」(NEWSPIM)が「コリア情報リサーチ」社に委託して行った世論調査(10〜12日)では尹候補は37%の支持率を獲得し、28%の李候補を9ポイントも引き離していた。(安候補は「ニューストマト」の調査よりも2%アップの14%)

 尹候補の支持率上昇は政権交代を待望する保守層の結集と36歳の若き党代表が前面に出て選挙応援に乗り出したことで離れていた20代〜30代の支持層が戻ってきたこと、さらには何かと問題になっていた行政機関の女性家族部の廃止など大胆な政策を矢継ぎ早に打ち出したことが功を奏しているとみられている。注目を浴びている女性家族部の廃止に関する賛否では国民の51.9%が「賛成」で、「反対」が38.5%だった。

 一方、「エムブレインパブリック」、「ケイスタト(Kstat)」、「コリアリサーチ」と「韓国リサーチ」の4社が共同で10日から12日にかけて行った調査(約1千人を対象)では依然として李候補が尹候補を押さえてトップに立っている。

 ここでは「MBC」の調査とは逆に李候補の37%に対して尹候補は28%と、尹候補が9ポイント引き離されていた。安候補は「ニュースピム」の調査結果と同じ、14%だった。

 メディアの世論調査は選挙期間中も実施されるが、投票日6日前から調査結果は公表できないことになっている。

(参考資料:失言のオンパレードで支持率が急落 尹錫悦候補の失言「ワースト10」)