2022年7月18日(月)

 支持率急落の尹錫悦大統領の足を引っ張る金建希夫人 夫よりも低評価なのはなぜ?

スペインからの帰途、機上で随行記者らに挨拶する尹大統領夫妻(大統領室配布)


 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の国政遂行に関する韓国の2大世論調査会社「韓国ギャラップ」と「リアルメータ」の7月第2週の調査結果が出た。

 「韓国ギャラップ」(12〜14日)の調査では評価する」の回答は32%「評価しない」は53% と、「評価しない」が危険水位の30%前半まで落ち込んだ。「評価する」は前週よりも5ポイント下げ、「評価しない」は4ポイント上昇していた。

(参考資料:どうにも止まらない尹錫悦大統領の支持率の急落 早くもレームダック!?)

 全国17の市・道別調査結果をみると、唯一保守の地盤である大邱・慶尚北道だけが53%と、50%を超えていたが、残り16の市・道では「評価しない」が「評価する」を大きく上回っており、特に首都ソウルでは「評価する」の30%に対して「評価しない」は55%と、25ポイントも差が付いていた。

 「リアルメータ」(11〜15日調査)でも「評価する」は前週よりも3.6ポイント減らし、33.4%にまで下がっていた。「評価しない」は「韓国ギャラップ」よりも13.3ポイントも多い63.3%となっていた。 同調査では6月の第4週で「評価しない」(47.7%)が「評価する」(46.6%)を逆転していたが、「評価しない」が60%を超えたのは初めてである。

 この2社の他に新興世論調査機関「メディアトマト」も調査12〜13に掛けて調査を実施していたが、この調査結果でも尹大統領の評価は前週よりも5ポイントも低い32.6%となっており、「評価しない」は「リアルメータ」よりも1.4ポイント多い64.7%に達していた。

 「メディアトマト」の調査では「仮に3月9日の大統領選挙投票日に戻れるならば、誰に票を入れるのか」との設問に回答者の50.3%が「共に民主党」の「李在明(イ・ジェミョン)候補に入れる」と答え、「尹大統領に入れる」は35.3%に過ぎなかった。ちなみに大統領選挙では尹大統領は48.5%を獲得し、李候補(47.8%)に0.7ポイントの差を付けていた。

 尹大統領を「評価しない」理由についての最も多い回答は「韓国ギャラップ」の調査によると、「人事」(26.6%)、続いて「経験と資質不足」(11.0%)、「無能」(11.0%)、「経済・民生を疎かにしている」(10.0%)の順となっており、「独断的で一方的」(5%)というのもあった。しかし、一部では尹大統領の支持率降下の理由の一つに金建希(キム・ゴンヒ)夫人の悪評を指摘する向きもある。

 「メディアトマト」の調査では 興味深いことに金夫人についても調査を行っていたが、結果は意外で、 金夫人も尹大統領同様に回答者の64.9%が評価してなかった。金夫人を肯定的に評価しているのは31.0%で、尹大統領よりも低い評価だった。

 24時間ニュース放送チャネル「YTN」が7月12日に尹大統領の支持率に関して番組で取り上げていたが、出演していたゲストの一人が「金建希夫人が登場するたびに大統領の支持率が1%づつ落ちている可能性が高い」と語っていた。

 金夫人に関するオンライン上の関心度を示すソーシャル言及量(ニュース、ブログ、ツイッターでどれだけ話題になっているのか)では政権発足初期の時よりも2倍も増えているが、否定的なものが肯定的なものよりも2倍も多いことがわかった。尹政権誕生時の「金建希フィーバー」はあっという間に過ぎ去ったようだ。

 ビックデーター分析プラットフォーム「SomeTrend」が14日に発表したデーターによれば金夫人に関するソーシャル言及量は7万3130件。大統領就任時の3万1358件の2倍に達している。このうち肯定的なものは2万456件、否定的なものは4万4432件だった。

 大統領選挙期間中は「内助の功に徹する。ファーストレディとして振舞うことはない」と公言していたのに夫が大統領になるや前面に出てきて、NATO首脳会議に出席する夫に同行し、スペインを訪れたことで俄然注目されるや巷では「尹大統領でなく、金夫人がNo.1ではないのか」「尹大統領は夫人をコントロールできないのではないか」と、夫人を批判する声が上がり始めた。

 金夫人については以前から経歴詐称や株価操作疑惑などが掛けられているが、尹大統領の公約である「公正」に反し、これまで一度も警察の捜査に協力しないばかりか、経営していた美術イベント会社の社員を勝手に採用し、身の回りの世話をさせ、さらには大統領専用機に付き添いの民間人を同乗させるなど公私混同が問題視されていた。

 特に今、最も問題となっているのは金夫人のファンクラブ「ゴンヒ愛(建希を愛する)」との関係である。

 ファンクラブが大統領選挙では選挙マシンとなって20代の若者の支持獲得に一躍担ったことから金夫人は選挙後もファンクラブとの関係を重視し、非公開にすべき夫とのプライベート写真をファンクラブに流したりもしていた。しかし、ファンクラブの会長が金夫人との蜜月関係を盾に自身のフェイスブックで大統領派と対立する「国民の力」李俊錫(イ・ジュンソク)代表を批判するなど政治的な発言をするようになったことから一部メディアや国民の間では金夫人の差し金ではないかとの憶測が流れ始めていた。

 金夫人は「ファンクラブ会長の発言は自分とは無関係である」と釈明し、実際にその後、ファンクラブとの連絡を絶ったが、「国民の力」の羅卿?(ナ・ギョンウォン)元院内総務は「夫人の評判が大統領支持率下落の要因になっているので直ぐにでもファンクラブとは関係を断つべきだ」と進言していた。

 どうやら金夫人の評価は「あげまん」から一転「さげまん」に取って代わってしまったようだ。

(参考資料:南北「ファーストレディー」全比較 尹錫悦大統領夫人VS金正恩総書記夫人)