2022年7月23日(土)

 「尹政権よりも文政権のほうが良かった」 尹大統領に屈辱の世論調査結果!

文在寅前大統領(左)と尹錫悦大統領(青瓦台HPと大統領室HPから筆者キャプチャ)


 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領にとっては屈辱の世論調査結果が出た。

 新興世論調査機関「メディアトマト」が7月19日〜20日にかけて全国約1千人に尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権と文在寅(ムン・ジェイン)前政権の「どちらを評価するか」の質問を行ったところ、なんと57.8%が「文前政権」と回答し、「尹政権」との回答者は32.8%しかなかった。(「わからない」9.4%)

 尹大統領も政権与党の「国民の力」も「エニシング・バット・ユン」をスローガンに大統領選挙を戦い、誕生した政権である。文前政権を全面否定し、政権交代を実現したのに国民の支持、評価が文前政権よりも低いことは尹大統領にとってはショックであろう。それもこれも、尹大統領の不人気に尽きる。

 尹大統領の国政運営に関する調査では「よくやっている」は前週よりもさらに2.6%減らし、30.4%。辛うじて30%を維持しているものの、「評価しない」も前回よりさらに2.5ポイント増の67.2%まで上昇し、70%台に迫っている。この趨勢だと、国民の3人に2人が尹大統領に「ノー」を突きつけるのは時間の問題となっている。

 一方、大手世論調査会社の「韓国ギャラップ」の7月第3週(19〜21日)の調査では「評価する」は前週と同じ32%と、6週ぶりに下げ止まったが、「評価しない」は前週よりも7ポイントも上昇し、同社の調査で初めて60%に達した。

 尹大統領の支持率は全国地方自治体選挙(6月1日)で圧勝した時は53%まで上昇していたが、まだ2か月も経っていないのに20%以上も減らしている。

 大統領就任(5月10日)から2か月そこそこで「不支持」が60%を超えたのは歴代大統領の中では尹大統領が初めてである。ちなみに、文前大統領の場合は「不支持」が60%を超えたのは就任から4年目の2021年4月(第3週)、また2017年に罷免(3月10日)された保守の朴槿恵(パク・クネ)元大統領の場合ですら就任3年目の2015年1月(第3週)の時だった。

 前出の「メディアトマト」の調査によると、政権与党「国民の力」と最大野党「共に民主党」の政党支持率も与党は野党よりも大幅に下回っていることがわかった。

 6月第4週までは与党が45.4%対40.2%とリードしていたが、6月第5週に41.9%対44.5%と逆転されてからは7月第1週37.9%対46.2%、7月第2週35.6%対45.4%、そして7月第3週32.4%対49.5%と、その差は開く一方となっている。

 「メディアトマト」の前回の調査(12〜13日)では「仮に3月9日の大統領選挙投票日に戻れるならば、誰に票を入れるのか」との設問に回答者の50.3%が「共に民主党」の「李在明(イ・ジェミョン)候補に入れる」と答え、「尹大統領に入れる」は35.3%しかなかった。ちなみに大統領選挙では尹大統領は48.5%を獲得し、李候補(47.8%)に0.7ポイントの差を付け、当選していた。

 今後の見どころは、大統領の支持率が危険水位の30%を割って、完全にレームダック化する20%台に突入するのか、それとも回復するのかにあるが、踏ん張って、持ち直す可能性が高い。そう多くはないが、支持率上昇に繋がる明るい材料が幾つかあるからだ。

 例えば、▲公権力の投入が不可避と言われていた大宇造船の労使紛争が平和裏に解決したこと▲53日間も空転していた国会が正常化したこと▲尹大統領がインフレ抑制など民政重視政策を打ち出したこと▲対米偏重外交を朴進(パク・チン)外相を中国に派遣し、バランスを取っていることがプラスに作用する可能性がある。

 また8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)に合わせて保革共に待望している李明博(イ・ミョンバク)元大統領や金慶洙(キム・ギョンス)前慶尚南道知事らの特別赦免(恩赦)を断行すれば「国民統合」の見地からも歓迎され、支持率の上昇に繋がるであろう。

(参考資料:支持率急落の尹錫悦大統領の足を引っ張る金建希夫人 夫よりも低評価なのはなぜ?)